サウンドオブミュージック 心色
いつも通る桜並木。今は緑が眩しい並木道。両側に白いヒメジオンが咲き乱れていた。神社の森はいつも深緑。水が張られた水田は雲を映す。木漏れ日が落ちる道を、薄く影のように広がる遠くの山々に向かって、自転車を走らせた。気持ち良い風が吹く。
初夏の瑞々しい緑とヒメジオンの小さな花々に幸せを感じる。お気に入りの田舎の道。
春には桜と菜の花の道。秋にはコスモスの道。冬には霜が縁取る川に夕日が映える道。
ホワホワと白い花をたどる青々しい道。『エーデルワイス』を鼻歌にしていた。
『エーデルワイス』と言えば、映画『サウンドオブミュージック』❣️大好きなミュージカル映画。何度見たか分からない程お気に入り映画。1965年公開アメリカ映画。
『ウエストサイド物語』のロバートワイズ監督。
『麗しのサブリナ』『王様と私』『ウエストサイド物語』『傷だらけの栄光』『北北西に進路をとれ』のアーネストレーマン脚本。
『オクラホマ』『回転木馬』『南太平洋』『王様と私』のリチャードロジャーズ作曲。
『王様と私』のオスカーハマースタイン2世作詞。本作中の曲『エーデルワイス』が絶筆になったとのこと。
『ファンタジア』『ウエストサイト物語』『メリーポピンズ』『チキチキバンバン』のアーウィンコスタル編曲。
『メリーポピンズ』『ビクター/ビクトリア』のジュリーアンドリュース主演。
ミュージカル映画にたずさわる、そうそうたるメンバー参加のミュージカル映画。
話は第二次世界大戦、ナチスドイツの魔の手が伸びる1930年代オーストリア、ザルツブルク。美しい高原風景が広がる。修道女見習いのマリアが、トラップ大佐の7人の子供たちの家庭教師として雇われる。母を早くに亡くし、寂しい子供たちの心を明るさと歌でほぐして行くマリア。大佐のかたくなな心にも歌は響き、2人は結婚。ナチスドイツの残忍な思想の配下に入ることを拒否し、家族で参加した音楽祭を利用し、スイスへ亡命するためアルプス超えをする一家。 そこまでが、映画となっている。
トラップ一家はナチスに邸宅を取られ、友人のため無一文になりながら、アルプス超えから約10年後、支援者を頼りアメリカに渡り、トラップファミリー合唱団として1956年まて全米を巡業。故郷ザルツブルクに似たヴァーモントに土地を買い、ロッジを建て自給自足しながらホテル経営を始める。今でもトラップファミリーロッジは存在しているそうだ。
あれはいつだったか、随分ご高齢になられたファミリーの女性が、ロッジを背景にインタビューに答えておられた。巡業中の楽しかったことを。マリアの明るさや機転に支えられてどんな時も前向きでいられたことなどを話されていた。シワが深く刻まれた笑顔には、夢見るような瞳の輝きがあったのが印象的だった。
戦時中のこと。亡命者は、祖国からすれば祖国を捨てた人。アメリカに渡れば、敵国人。お金持ちだった大佐は無一文となり、家族は極貧生活も経験している。大変な苦労をしている一家に違いないはずだが、家族の記憶には楽しい記憶が蘇るという。
名曲の数々に、ストーリーの盛り上がり、映画も素晴らしかったが、トラップファミリーの家族の生き証言が重なり、思い出すだけで胸が熱くなる。
ギターの弾き語をしながら、優しい声で歌うトラップ大佐の『エーデルワイス』。雪山を背景に緑豊な野原に咲く高山植物の白い花。5月6月に咲く花。花言葉は”高潔””勇気””忍耐””大切な思い出”。
ドイツに併合される祖国オーストリア、愛する祖国に永遠の祝福があるように願いを込めた歌。
『エーデルワイス』を鼻歌に、ヒメジオンの白い花に幸せをかんじている。
過去嫌な出来事もあったが、今日の風景に感謝しよう。
気分は風景をいかようにも変える。悲しい気分の時は風景も悲しく映る。怒りに満ちた時は怒りの風景に…描く絵も憂いを帯びるのだ。
だから、この心の平和に、今日出会えた風景に感謝しようと思う。
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