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英国散歩 第17週|イングランド各地のクリスマスシーズン風景④オクスフォード+ブレナム宮殿

イギリスのクリスマスシーズンはだいたい1月初旬まで。
長く楽しいシーズンが終わりを告げましたが、これまで撮った写真の整理も兼ねて、イギリス・イングランド各地のクリスマスシーズン風景の紹介を続けます。

4回目の今回は、英語圏で最も古い大学・オクスフォード大学を核とした学園都市「オクスフォード」。オクスフォード近郊にある世界遺産・「ブレナム宮殿」の贅を尽くしたクリスマスデコレーションもセットでお届けします。
いずれもクリスマス後の年末の訪問でした。

※コーヒーハウスに関して内容追記(2022/01/23)


過去3回分はこちらから 。



オクスフォード(Oxford)

・ロンドンから西へ電車で1時間ちょっと、言わずと知れた名門大学・オクスフォード大学を核とした大学まち。人口は約15万人。
・オクスフォード大学は、1096年には何らかの形で授業が行われていたとされ、英国最古、英語圏最古の大学。(英国で2番目のケンブリッジ大学は1209年~。オクスフォードから逃れてきた学者達によって設立されたとされます)
「不思議の国のアリス」が生まれた地(作者ルイス・キャロルはオクスフォード大学の数学教師)、近年では映画ハリーポッターシリーズのロケ地があることでも知られ、聖地巡礼のごとく世界中から観光客が訪れる。
ロンドンと英国内を代表する観光地・コッツウォルズやバースを結ぶ動線上に位置することも、観光客誘致の面では有利。


商業施設

オクスフォードで最古とされるパブ「The Turf Tavern」のデコレーション
Turf Tavernへとつながる路地。大学施設の案内板が数多くあるオクスフォードのまちなかで、「An Education In Intoxication」と書いてあるのが粋ですね(Intoxication:ほろ酔い、陶酔、中毒)


こちらも人気なパブ「The Crown」、カウンター周りもクリスマス仕様です
The Crownの目抜き通りからのアプローチ。こちらも奥へと入り込んでいくワクワク感があります


市中心部に迷路のように縦横に伸びる屋根付きマーケット「Covered Market」。生鮮食品からカフェ、雑貨屋さんまで何でもあります。頭上には「不思議の国のアリス」関連のライトアップされた人形が飾られています


College Storeというお店ですが、ハリポタグッズもたくさん


こちらは1650年創業と書かれたコーヒーハウス、「The Grand Cafe」
当然改修されていますが、趣がある店内です
”イングランドで一番最初のコーヒーハウス”と書かれています。余談ですが、これには諸説あり、我こそが最古だと主張するコーヒーハウスがイングランドにもう1店舗あります
それがなんと道路を挟んだ向かいのお店
1654年創業の「Queens Lane Coffee House」。この日は残念ながら休業でした
ウェブサイトを見ると”ヨーロッパで最も古いコーヒーハウス”とあります。先ほどのThe Grand Cafeの主張と完全に矛盾しますね…。深入りすると長くなりそうなので、これはまた別の機会に


***コーヒーハウスに関する追記(2022/01/23)***

後日、少しだけ追加で調べてみました。
その結果、分かったことは、

The Grand Caféは、「1650年にイングランドで最初のコーヒーハウスが創業した場所」にあるコーヒーハウス。ただし、The Grand Café 自体の設立は1997年。
QUEEN'S LANE COFFEE HOUSEが、1654年創業の「現存するヨーロッパで最も古いコーヒーハウス」。
③結論として、両者の主張は食い違っておらず、どちらも歴史的に価値のある店(もしくは場所)。

ということでした。

(個人的には、The Grand Café 側の店先の説明書きがややミスリーディングなのが原因だと思いつつも、上記①の太字の内容自体はきっと確からしいので、商売上はそれを大きく見せたい気持ちも理解できるなぁと。。
細かい史実が気になる人はHPをちゃんと読めばいい、ということですね。)

おそらくこういった事情も全部ひっくるめた上で、1654年創業の「現存するヨーロッパで最も古いコーヒーハウス」であるQUEEN'S LANE COFFEE HOUSE 側がHP上で大人な文章を掲載していましたので引用しておきます。
(”おもちゃ屋”はややトゲがあるものの、)締めの1文が素晴らしいです。

こちらが、The Grand CafeのHP。”Site of the oldest Coffee house in England”(イングランドで最も古いコーヒーハウスの敷地)とあり、店先での表現と少し異なり、最古を自称していません
The Grand Cafeのサイトには、丁寧な歴史説明ページもあり、きちんと「~ 1997 when The Grand Café was established…..」(The Grand Cafeが設立した1997年)と書かれていました


そして、下記が、QUEEN'S LANE COFFEE HOUSEのHP上の文章です。

Now, you may have noticed that there are two coffee shops claiming to be the oldest in Europe, Queen’s Lane Coffee House, and The Grand Café. The Grand Café is known to be the site of the first coffee house in England (according to Samuel Pepys’ Diary, 1650), making it the Oldest, whilst Queen’s Lane, which opened in 1654, is said to be ‘The Longest Established Coffee House in Europe”. This means that Queen’s Lane has always been a coffee shop, since 1654, whereas the Grand Café has opened as many different types of businesses during that time, including a toy shop once. Both of us are proud to be cafes with historical value.

皆さんは、ヨーロッパで最も古いと主張する2つのコーヒーショップ ーQueen’s Lane Coffee House と The Grand Café -があることにお気づきになったかもしれません。The Grand Caféは、イギリスで最初のコーヒーハウスの場所として知られており(1650年のSamuel Pepysの日記による)、1654年開業のQueen’s Laneは、「ヨーロッパで最も長い歴史を持つコーヒーハウス」と言われています。つまり、Queen’s Laneは、1654年以降ずっとコーヒーショップでしたが、The Grand Caféはその間、おもちゃ屋を含めて様々な種類のビジネスをしてきました。
私たちはともに、歴史的価値のあるカフェであることを誇りに思っています。 
(筆者訳および太字化)

Queen’s Lane Coffee House, The history of the café


※なお、以上の整理は、あくまで両者の主張がともに正しいという前提に立って、両者の主張が矛盾していないことがわかっただけで、それらが史実かどうかはわかりません。。

*** コーヒーハウスに関する追記(2022/01/23) おわり ***




話を戻して、こちらはショッピングセンターの「WESTGATE」のデコレーション
少しですがクリスマスマーケットのストールも並んでいました


ストリート

オクスフォードの歩行者天国、目抜き通りの「Cornmarket Street」。案外、目立ったイルミネーションは見られません。ちなみに、左手前に連なるハーフティンバーの建物はGrade Ⅱの指定建造物(Listed building)


鉄道のオクスフォード駅と中心部を結ぶ「George Street」のイルミネーション
同じくGeorge Streetの劇場「New Theatre Oxford」に並ぶ人々。イギリスではクリスマス付近の過ごし方としてミュージカルを見るのが人気なようです。


クリスマスと関係ありませんが、駅からすぐの整った街並み。キックボードシェアはケンブリッジにあるのと同じ「Voi」。ですがポート設備がないケンブリッジと違い、こちらはちゃんとポートが分かりやすく囲われています


オクスフォード大学

オクスフォード大学のクライスト・チャーチ。ハリーポッターのロケ地としても有名です


ハリーポッターファンならわかるかもしれない、賢者の石でマクゴナガル先生が登場する階段。ライティングがされていました
別のアングルも。コロナでなければこんなに空いていなかっただろうなと思います
ホグワーツのダイニングホールのモデルになったとも言われる「The Great Hall」


壁にずらっと肖像画が並ぶ様子はたしかにホグワーツ魔法学校に似ている気がします
ハリーポッターでロケ地になった、Bodleian Library内のDivinity School。映画で医務室になっていた場所ですね
炎のゴブレットのダンスの練習場としても使用されていました

ハリーポッターの設定では、グリフィンドールやスリザリンといった「寮」が出てきますが、それはオクスフォード大学(やケンブリッジ大学など)の「カレッジ(学寮)制」と似ています。
ハリーポッターでは4つの寮それぞれに談話室や寝室など生活面の基盤があるものの、授業については異なる寮の学生が同じ魔法生物の授業に出席したりしています。現実のカレッジ制も同様で、オクスフォード大学の場合は39のカレッジ(そのうちの1つが上述のクライストチャーチ)が存在し、各カレッジが自分たちのカレッジ生の生活をサポートするものの、それは各学生の専攻とは関係ないため、それぞれ授業には様々なカレッジから学生が集まっています。

オクスフォード大学は、ハリーポッターの映画のロケ地になるだけではなく、そのストーリー設定に際してもある程度参考にされているのだと思います。




ブレナム宮殿(Blenheim Palace)

・オックスフォード郊外のウッドストックに位置。
・イギリスで王室以外が所有する唯一の宮殿
・スペイン継承戦争でフランス軍・バイエルン軍に勝利した際の褒美として、イングランド王国がジョン・チャーチルに土地を与え、18世紀初めに建設された。第二次世界大戦で「ヒトラーから世界を救った」とされる元イギリス首相、ウィンストン・チャーチルの生家でもある。
・バロック様式の宮殿、周囲のランドスケープの価値が認められ、1987年に世界文化遺産に登録。
・クリスマスシーズンは、贅を尽くした宮殿内のデコレーションと、庭園のイルミネーションが大人気。(今回、庭園のイルミネーションはチケット売切で行けませんでした)


ブレナム宮殿入口ゲートではポップなリボンが出迎えてくれます。宮殿と聞いてイメージする厳かな雰囲気とはややギャップがあります
ゲートをくぐるとそこにはメリーゴーランド、滑り台、カフェテラス。完全にウィンターフェスティバルの雰囲気です


バロック様式の宮殿建物。このあたりで大音量のクリスマスソングが流れていました


宮殿内のエントランスホールには巨大なクリスマスツリー
今回、「The Story of Nutscrucker」という宮殿内のクリスマス展示に参加してきました。ツリーの裏手から見学コースがスタートします
宮殿内の1つ1つの部屋が独特な世界観で飾り付けられ、そこを自分のペースで見て回ります
ツリーだけでなく、暖炉や床なども細かい装飾品がきれいに配置されています
こんなクオリティで飾り付けられた部屋がひたすら続きます
ただでさえ豪華絢爛な宮殿内。そこがツリーやクリスマスの小物で装飾され、さらに豪華にライティングされています
1つ1つが本当に丁寧に飾り付けされており、この付近からは、今シーズンのためだけにこれをセットしたスタッフの方々の労力を想像してしまい気が遠くなりました…。
かなり立派なパイプオルガンがある部屋(Chapel?)も贅沢に使用されています
くるみ割り人形?に扮した演者の方もいました。前回のバースのローマンバスのローマ人など、イギリスではこういった展示の要所要所でキャラクターに扮した演者を配置する方法がよくとられるようです



宮殿内の部屋はまだまだたくさんありましたがキリがないので以上として、こちらは外の庭園のイルミネーションの様子(点灯前かつチケットがないので立ち入れず)


夜だったら幻想的だったであろう光のトンネルも


宮殿敷地内はとにかく広く、ほかにハリーポッターのスネイプ先生関連のロケ地となった木などもあったのですが時間がなく断念


ブレナム宮殿は、王室に匹敵するほどの名家の富、財力を大いに感じる、贅を尽くしたクリスマスデコレーションを見ることができました。


第4回オクスフォード+ブレナム宮殿編は以上です。
次回は、本シリーズ最終回のロンドン編です。



References

University of Oxford, Introduction and history
VisitBritain, Inbound town data
Experience OXFORDSHIRE, Oxford Harry Potter
Queen's Lane Coffee House ウェブサイト

UNESCO, Blenheim Palace
Blenheim Palace ウェブサイト


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