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【D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略】 -ほぼ1,000字感想文


○タイトル:D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略
○著者  :佐々木 康裕
○発行  :NewsPicksパブリッシング (2020/1/10)

■ざっくり概要

近年存在感を増しているD2C[Direct to Consumer]に関して、事例紹介、歴史、これからの展望に関して、整理がされている一冊。 

著者である佐々木康裕氏は日本初デザイン・イノベーション・ファームであるTakramのビジネスデザイナー。D2Cの興隆をビジネス視点、ブランディング戦略視点など、多角的に考察されている点が、非常に学びになる。

また、後半では日本におけるD2C市場の展望に関しても持論を展開しており、今後の市場動向に興味を惹きつけられた。


■学びポイント

○そもそもD2Cとは

D2Cは2007年頃にその原型が生まれ、2013~2014年以降に急速に成長を遂げた。伝統的な小売ブランドとの主な違いは下記の表の通り。

特に、ブランドストーリーと顧客接点を大切にし、それらを綿密に設計するためのデータサイエンスに長けている点が大きな差分である。

[Direct to Consumer]という名の通り、マーケットプレイスや百貨店などへの卸売は基本的にせず、デジタル領域を主戦場としている。しかし、近年ではその定義が拡張されつつあり、ニューヨークのSOHO通りにはD2Cブランドが実店舗を構えている。

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○D2Cとミレニアル世代の関係性

D2Cは「小売のミレニアル世代化」と呼ばれるほど。ミレニアル世代とは、1980年~1990年後半までに生まれ、2000年代に社会に出る世代のことである。主な特性は下記の通り。

[厳しい懐事情]
就職時期とリーマンショックが被るなど、上の世代と比較して所得水準が低い。安価で品質の高いD2C商品に惹きつけられている。

[デジタルへの感度]
幼少期からPC、スマホが当たり前の世代であり、旧来のマス広告の影響が弱まっている。SNSや口コミという顧客発信に対する信頼度が高い。

[社会的意義の重要性]
上の世代と比較して、教育水準が高く、社会問題に対する関心が高い。旧来の大量消費社会に対する疑問を強く抱いている。


○D2Cと日本

D2Cはアメリカ発。日本でもD2Cブランドは増えているが、転用だけでは成功できないと著者は言う。

一つの理由は、元々日本には低価格・高品質な商品が定着していること。(ユニクロや無印良品など)この点のみをウリにしても、戦うことができない。

もう一つの理由が、流通。日本には既にコンビニやスーパーマーケットという既存の強力な流通チャネルが存在している。依然として日本のEC化率が低いことは、D2Cブランドにとっても向かい風である。


↓出典元

↓著者のインタビューはこちら(一部画像を引用させて頂きました。)

※関係者の皆様へ
感銘を受けた作品だからこそ、より多くの方に読んでもらいたくnoteを記載させて頂きました。作成画像など、内容に問題がある場合は即刻掲載停止しますので、ご一報頂けますと幸いです。



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