生産者や販売者を「推す」感覚! 「フェアトレード・コイン」が教えてくれること。
こんなところにサステナブル vol.2
こんにちは。コピーライターのつかもとちあきです。
最近、SDGsと並んでよく聞く「フェアトレード」という言葉。フェアトレードは直訳で「公平・公正な貿易」という意味です。そんなフェアトレード商品を私たちが購入することで、その仕組みづくりを応援できるという訳ですが、今回は、このようなサイクルをさらに加速させるサービス「フェアトレード・コイン」をご紹介します!
フェアトレード・コインでフェアトレードな想いを持ったお店を応援!
フェアトレード・コインを導入しているJICA中部なごや地球ひろば内にある、フェアトレードショップmeetsさんで取材を行いました。
店内には、フェアトレードチョコレートやコーヒーをはじめ、生産者の顔が分かって、地球や人のためにていねいにつくられた商品がズラリ。
商品を見てわくわくしている私に、オーナーの中島幸志さんが、フェアトレード・コインについて特徴を分かりやすく説明してくださいました。
手に入れることは、「いいね」すること
中島:フェアトレードの商品って、ちょっと高いイメージがあるでしょ?でもその価格って、生産者を応援できるよう、設定されているんです。今回ご紹介する「フェアトレード・コイン」は、フェアトレード商品を購入する際に使える電子マネーです。お金と捉えると「支払って終わり」ですが、販売者、生産者に対する「ギフト機能」があったり、コメントや「いいね」を送る機能があるなど、「応援」というかたちで販売者、生産者とのつながりが持続する仕組みなんです。
つかもと:「つながりが続く」お金って、いいですね。早速、アプリをダウンロードして使ってみましょう!
つながりが続くお金「フェアトレード・コイン」を使って買い物してみた!
素敵な商品がありすぎて、欲しいものがカゴいっぱいに。今回はコーヒー豆1点、紅茶1点、チョコレート4点、ミニサイズのコーヒーと紅茶1点ずつを買い、他に気になったものはまた買いに来ようと思いました。
まずはフェアトレードコインのプラットフォームとなる「eumo」という専用アプリをダウンロード。店頭POPの二次元コードからも手に入れられます。
アプリを立ち上げて、まずは5000円チャージしてみましょう
おや?3カ月の利用期限がある!?
【フェアトレード・コインの特徴1】
貯められないお金。だから、循環させる!
中島:フェアトレード・コインは、放っておくと、くさるんです。つまり、失効してしまう。だから、チャージした人はみんなフェアトレード・コインが使える店を探して、買い物をする。そうすると、お金は循環するんです。
つかもと:循環するお金によって関係がずっと続く。だから生産者や販売者を継続的に応援できる。それが、フェアトレード・コインなんですね!
【フェアトレード・コインの特徴2】
「ギフト機能」によって、未来の自分の買い物も応援できる!?
買った商品は合計4363円(税込)でした。フェアトレード・コインには「ギフト機能」があり、購入の際、生産者や販売者のために、チップのようにプラス料金をのせることができます。“ギフト”をどれくらいのせるかは自分で決められるので、わたしは5000円チャージして4363円支払った残りの637円を“ギフト”としてお支払いしました!
販売店で“ギフト”がたまっていくと、販売店ではそれを、フェアトレードやSDGsに関わるセミナーやイベントに参加してくれた方にクーポンとしてさしあげるのだそう。参加者はクーポンを使いながらフェアトレードアイテムを購入し、また新しい循環が生まれるのです。さらに、“ギフト”を払った人は、ギフト額に応じて後日再分配を受けられ、お金が戻ってくる。未来の自分の買い物まで応援できる仕組みなんですね。
取引完了画面には、販売店からのメッセージが。また購入したくなりますね!
美しいモノゴトの裏側にある、悲しいストーリー
つかもと:中島さんは、ウェルビーイング(みんなにとって良い状態)をつくるための起業支援もされていると伺いました。お金を儲けるだけのビジネスには興味がなくて、社会課題の解決に興味がある、と。
中島:僕は30歳の時、世界20カ国を旅してきました。いろいろなカルチャーショックを経験しましたが、都会と背中合わせのスラム街で暮らす人、毎日の暮らしで銃を抱えながら仕事をする人などに出会いながら、ただ生まれた地域がちがうだけで、こんなにもちがうのか、と、やりきれない気持ちになりましたね。そういう状況を少しでも変えたいと思って、ショップの運営や起業家支援を始めました。
つかもと:海外での経験が今の原動力なんですね。世界中どこでも、お金儲けをするためにお金を循環させずに貯めこみ、富を得る人がいると、格差が生まれる。格差社会の解決には“循環”が大切なんですね。
中島:そうなんです。だから、贈るように売る、贈るように買う、というふうに、お金に関わるすべての人がギフトを手渡し受け取る感覚を忘れてはいけないと思っています。
お金の本質に触れ、「応援」「贈る」「循環」という言葉が、何度も出てきた中島さんのインタビュー。日本の社会では、お金をむき出しのまま渡さなかったり、「つまらないものですが」と言ったり…お金について目立つことをすることを嫌う感じがあります。しかし、フェアトレードが広まりつつある今は、お金の行く先をしっかり見つめる時なのかもしれません。そう、アイドルの推し活をするように、生産者や販売者を「推す」感覚! この人へ感謝を届けたいと思って買うと、いろんなお買い物が楽しく思えるかもしれません。