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「絵を描く。」ということ。



かなしい、つらい、くやしい、
にげたい、なんで、
消えてしまいたい。


たのしい、うれしい、きれい、
しあわせ、だいすき、
生きていてよかった。


そんな感情を、思考を、記憶を、
あなたと2人きりの世界で。


ここには、誰もいれない。
誰にもわたさない。
誰にも教えない。

ふたりだけのひみつ。
ふたりだけの記憶。



体や脳が溶けて、
わたしとあなたの境界線が、
曖昧になっていく。

ほら、だんだん、一緒になっていく。


このまま溶けて、わたしのかたちがなくなって、
一緒になれたら、きっとしあわせ。

あなただけのわたしになりたい。
わたしだけのあなたでいてほしい。
わたしを掬って、救って、すくって。
全部わすれさせて。









「絵を描く」ということ。

すきとか、きらいとか、得意とか苦手とか、
そんなことを考えるフェーズは終わった。

わたしにとって絵を描くということ、
表現するということは、

「掬い」であり、
「救い」である。

頭の中にある感情や思考、記憶は
そのままにしておくとバラバラになったまま
もう戻らない。

だから、私はコトバに置き換える前に、
バラバラになっていた感情、思考、記憶を
絵と一緒に掬って、救ってあげる。


絵を描いている時、
私は溶けて絵と一体化する。

希望も絶望も、天国も地獄も、
まわりの環境も、わたしのことも、
絵を描いているときだけは、
他人事になって、全部忘れられる。

全部忘れて、あなただけになる。


ていうか、恋人とか、好きな人の前で、
他の子のことなんか考えられへんくない?


そういう存在。




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