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【大学講義体感①】東大工学部ってどんな勉強するの?


皆さん、こんにちは!
ドラゴン桜塾塾長の永田耕作です。 

今回から、新しい企画が始まりました。その名も、「大学講義体感シリーズ」です!
 
皆さんは、大学の各学部でどのような講義や研究が行われているか知っていますか?
 
たとえば僕は現在、東京大学の教育学部に所属しているのですが、もしかしたら「教育学部は全員が先生になることを目指すのではないか? だからこそ、教職の授業や、学校のカリキュラムについて学ぶ授業などが多いのではないか?」と思う人もいるかもしれません。
 
ですが、東大の教育学部は、教員養成を目的とした学部ではありません。その証拠に、必修の授業に「先生になるための授業」は含まれていないのです。
 
このように、大学での学びというのは想像と現実の間に「ギャップ」があることが多いです。そこで、このギャップを埋めて、より皆さんに大学での学びに対して明確なイメージを持ってもらうために、今回からこの「大学講義体感シリーズ」を始めていきたいと思います。
 
このドラゴン桜noteマガジンを普段から読んでくださっている方はご存知の通り、執筆メンバーは基本的に東大生で構成されています。我々が運営しているYouTubeチャンネル「ドラゴン桜塾」でも、東大の現役生や既卒生が出演し、自身の受験体験を共有したり、大学での学びを紹介したりしています。
 
今回はそんなメンバーの一人で、現在東京大学の工学部社会基盤学科に所属している学生がとても面白い問題を教えてくれたので、ここから紹介していきます!
 
皆さんもぜひ一緒に解いてみましょう! 

 

①工学部”社会基盤学科”って何を学ぶの? 

問題を紹介する前に、まずは工学部社会基盤学科ではどのような学びが行われているのかについて紹介します。
 
皆さんは、普段「カーナビ」は使用しますか?
 
普段行かないところまで車で移動する場合、ほとんどの人が使うのではないでしょうか。
 
カーナビ(カーナビゲーションシステム)とは、車両に搭載される電子装置で、ドライバーに対して道案内を行うシステムです。GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)を利用して現在位置を特定し、地図データを基に目的地までの最適なルートを表示します。
 
現在のカーナビの技術は素晴らしいもので、リアルタイムでの道路の交通量や渋滞の情報だけでなく、工事している箇所の情報などまでキャッチしています。それらを反映させた上で、目的地まで最も短いルートや、最も経済的なルートを表示させているのです。
 
実はこの「交通量を反映させる」というところに工学部での学びが生かされています。どの道にどのくらいの車がいる状態が、一番効率的なのか、それをコンピュータが計算をして編み出しているのです。
 
さて、工学部での学びの概要ついて理解できたところで、ここからは実際に問題を見てみましょう! 

 

②「交通量問題」にチャレンジ! 

こちらが、東京大学の工学部社会基盤学科で習う「交通量配分問題」のざっくりとした概要です。


もちろん実際の学部での授業では、もっと複雑な条件が加わったり、変数が増えたりしてレベルが高くなっているのですが、基本的な考え方は同じです。つまり、この問題をマスターすれば、工学部で習う授業を理解することにつながるのです!

さて、この問題は簡単に言えば、「出発地Aから、目的地Bまで2本の道路があるとき、どちらを選ぶか」ということです。
 
今回の条件では、上の道路で移動する場合の所要時間は「20+5x1」、下の道路で移動する場合は「30+10x2」となっているため、一見すると上の道路の方が常に速いように見えます。

しかし、極端に上の道路だけが混んでいると仮定するとどうでしょうか。例えば、交通量を「x1=9, x2=1」とすると、上の道路では65分かかってしまうのに対し、下の道路では40分で移動できることが分かります。このように実際に数字を代入してみると、問題の条件がより分かりやすくなりますね。
 
ちなみに、このような状況は現実でも頻繁に起こっています。塾長である僕の出身は愛知県の名古屋市なのですが、その名古屋と東京を結ぶのが「東名高速道路」です。日本の大動脈の一つであり、多くの観光客やビジネスドライバー、トラックの運転手さんなどが利用しています。

そのため、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など人の移動が多いシーズンには、時に「40km」の渋滞など、信じられないほど混雑していることがあります。
 
そうなると、普段は下道よりも圧倒的に速いスピードで移動できるはずの高速道路が、かえって下道より時間がかかる、ということも起こりうるのです。まさに、先ほど実験した「x1=9, x2=1」の例ですね。
 
さて話を戻しましょう。この交通量配分問題では、全体の交通量が2本の道にどのように分かれるかを考えます。ここで大事になるのは、「均衡」という概念です。
 
皆さんがドライブをする際に、道AとBのどちらかを選ぶとしましょう。道Aを選べば30分かかる、道Bを選べば35分かかる、となった場合、皆さんはどちらを選びますか?
 
のんびりドライブをする方が好き、という方は例外かもしれませんが、おそらく多くの人は、5分早く到着できる道Aを選択することでしょう。このように、時間がかからない方の道を多くの人が選ぶことで、徐々に交通量が大きくなっていきます。
 
この選択が繰り返されると、どこかのタイミングで道Aが混雑して、道Bよりも通過するのにかかる時間が長くなることがあります。すると今度は逆転し、道Bを選択する人が増えるのです。
 
これが永遠に続いていくと、いつか「均衡点」を迎え、道Aと道Bの所要時間は同じになるのです。
 
この概念を利用し、「t1 = t2」と仮定して問題を解くと、最適な交通量が求められます。

この仮定によって、「t1 = 20 + 5x1」と「t2 = 30 + 10x2」の式のそれぞれの左辺が等しいということで「20 + 5x1 = 30 + 10x2」と一つにまとめることができます。

そして、「x1 + x2 = 10」の式と連立方程式を解くことで、答えが導き出せるのです。

答えはこのようになり、x1が22/3、x2が8/3、つまり大体7:3の割合で交通量が配分されると、両方の道での所要時間が均衡に達し、みんながより早く目的地に到着できるようになります。
 
この「交通量問題」の考え方は、カーナビだけでなく、道路を作ることにも活かされています。それぞれの道路の最適な交通量がどのくらいかを計算することで、無駄のない道路設計ができるようになるのです。
 
つまり、道路が作られているのは、数学のおかげ、といっても過言ではないのですね! 

 

おわりに 

今回は「東大講義体感シリーズ」ということで、東大で実際に行われている講義の中身を紹介していきました。
 
ドラゴン桜では桜木先生が「東大へ行け!」というシーンが何度もありますが、実際に大学ではどんなことを勉強するのかよく分からない人も多かったでしょう。
 
このように、今後も僕たち現役東大生が色んな学部の講義の中身を紹介していきますので、これを読んで大学に入ってからの勉強に少しでも興味を持ってもらえれば幸いです!
 
今回の交通量配分問題についての話は、僕が塾長を務めるYouTubeチャンネル「ドラゴン桜塾」でより詳しく説明していますので、ぜひこちらもご覧ください! 

今回の記事は、ここまでとなります。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!

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