【家計管理】金持ち父さんがデビットカードを勧める理由
金持ち父さん、貧乏父さん
もう20年以上前になるだろうか?
ロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』が書店を賑わしていたのは。
当時、興味本位に手にした本には、お金持ちになる人の行動原理が記されていた。
まだ、お金のことを大っぴらに語ることが憚れる空気感が少しだけ残っていた日本で、この本をきっかけにして投資の世界に踏み出した人も少なくなかったように思う。
かく言う自分も、この本に刺激を受けて、資産運用を巡る暗中模索の旅をスタートさせた一人だ。その意味で忘れがたい書物ではある。
この本の中では、金持ち父さんと貧乏父さんが登場するが、それぞれ下記のような設定であったと記憶している。(記憶が朧げなので間違っているかも笑)
ここでいう経済合理的な行動とは、例えば無駄な借金をしないとか、元手を貯めて、それを効率の良いビジネスに回して資産を増やすなどの行動を指す。まさに、資本家としての行動だ。
『金持ち父さん貧乏父さん』の中で、クレジットカードの利用について触れられた部分があったかどうかは、全く覚えていないが、本の趣旨を自分なりに勝手に解釈すれば、以下のようになるだろう。
経済合理的な行動ができる人はデビットカードを利用し、金持ち父さんになる。それに対して、クレジットカードを利用し続ける人は貧乏父さんになる確率が高いのだ。
デビットカードのメリットについては、別記事でも書いているので参考にして欲しい。
借金かどうかの違い
クレジットカードとデビットカードは非常によく似ている。券面には、VISAブランドであれば、どちらも同じVISAマークが表示されており、カードを見ただけでは両者の見分けがつかない。
それどころか、使用できる店もほぼ同じである。VISAマークが掲示されている店なら、クレジットカードでもデビットカードでもどちらでも買い物ができる。
端末を操作する店員も、クレジットカードとデビットカードの違いを気にしていない。デビットカードを提示しているのに、「1回払いでよろしいでしょうか?」とか聞かれるのも珍しくはない。そんな時は、「いやいや。デビットカードだから、自動的に1回払いになりますけど」という心の声は飲み込んで、「はい」と答えている。
クレジットカードとデビットカードは、外見上も使用方法もほぼ変わらない為、同じ物という認識があるが、1つだけ大きな違いがある。
それは、借金かどうかの違いである。
言うまでもなく、クレジットカードは借金であるのに対して、デビットカードは借金ではない。この違いが、デビットカードを勧める最大の理由だ。
クレジット払いとデビット払いの違い
具体例で見てみよう。
下図は、クレジットカードであるイオンカードの利用日と支払日の取り決めを示している(1回払いの場合)。
具体例で示すと、4/11から5/10までの利用額の支払日は6/2であり、利用日から支払日まで最大50日程度のタイムラグが生じている。
1回払いなら利子も払わないで済むから、便利だし別にいいんじゃないかと思う向きもあるかもしれない。確かに、利子は発生しないが、上記のタイムラグが、資産把握を困難にし、資産形成の最大の障害となってしまうのだ。
クレジット払いの場合
例えば、毎月20日に10万円の給料が振り込まれる会社員が、毎月25日にイオンカードを使って10万円の買い物を繰り返した場合の預金残高の推移を見てみよう。
グラフで、純資産=預金残高ー借金残高 である。
純資産は正味の資産を意味するが、クレジットカード払いを利用すると、純資産以上に預金残高が増えてしまい、一見金持ちになったように錯覚してしまう(本当は借金があるのに・・・)。さらに、与信枠内であれば、預金残高に関係なく買い物ができてしまうのだ。
これは、資産形成において、非常に危険な状態である。クレジットカード払いを利用することは、目隠しをしながら資産管理をおこなうのと同義である。
デビット払いの場合
これが、デビットカード払いの場合はどうなるであろうか?
デビットカードは即時払いを特徴としており、決済した瞬間に銀行口座からの引き落としが完了する。そのため、利用日から支払日までのタイムラグが存在しない。
グラフに示すように、純資産と預金残高が完全に一致する。預金残高が不足しているのに、買い物ができてしまうなどということも生じない。
これは、資産形成において非常に好都合である。デビットカード払いを利用することは、資産管理をおこなうための第一歩と言える。
結論
ロバート・キヨサキ氏の著書『金持ち父さん貧乏父さん』を引き合いに出して、ここまで、デビットカードのメリットを語ってきた。
金持ち父さんになりたければ、デビットカードの利用を検討して欲しい。
しかし、そのロバート・キヨサキ氏も10年程前のことであろうか、所有会社が負債を抱えて破産したというニュースが流れたことがある。
ここからの教訓は、他人から聞いた話をそのまま信じて実行しているだけでは駄目だという当たり前の真実だ。
何事も自分の頭の中で咀嚼して納得したうえで実行することが肝要なのだ。ましてやお金のことで納得できないことはしてはいけない。
「おあとがよろしいようで」 テケテンテン・・・
※本記事は、お金に関する個人の見解を綴ったものであり、特定の投資手法や商品などを勧誘するものではありません。投資は自己責任でお願いします。
お金の教科書
資産運用についてもっと知りたい方は、拙著『資産運用の新常識』を参照ください。
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