物価高！　ブリの値段に驚いた話　#寒い日のおすすめ

えっ？…私は老眼鏡をかけている目を見開いた。6･5･2。652。庶民的なスーパーで、たった二切れのブリが652円もするのだ。もしかしたら、老眼鏡の調子が悪いのかもしれないと思って何度も確認したけれど、間違いない。

それは私比で小さなブリだった

二切れって言ったって、一切れが二口ぐらいで食べられる大きさなのだ（あくまで私の場合。普通の人は三口かも）。それが652円もするなんて。税込みで700円は超えてしまう。

日頃、公共の場で周りの人の迷惑になるような行動をしないよう注意している私だが、この時ばかりは、鮮魚の商品ケースにへばりついて考え込んだ。

ブリの塩焼きをおかずにすれば、塩を振ってグリルに入れておけば簡単に出来ると思っていたのに。ブリがこんなに小さいなら、他にもいろいろ作らなければならないではないか。ブリが高いうえに、他にもいろいろ作るなら完全に予算オーバーだ。

やっぱりやめようかな。もっと安い魚もあるでしょ。

サーモンでも良かったかもですよね！

でも。私はブリの値段を確かめようとして、思わずブリのパックを手に取ってしまったのだ。コロナになってから、いったん手に取った食品は、たとえパックされたものであっても絶対に元のところに戻してはならない。“買う”の一択。そんな圧を感じるのは私だけだろうか。

（いや、コロナ前から食品をベタベタ触ってはいけなかったのだが、間違って手に取ってしまったものは返しても良かったように思う…。メロンを触って熟れているかどうか確かめている人もいたよね？💦）

買うしかない。ブリには悪いけど、なんだか、とっても残念な気持ちになった。

でもブリは出世魚だよ

そのとき、頭の中に声がした。

「でもブリは出世魚だよ」

そうなのだ。ブリは稚魚のときから成魚になるまで、成長の過程によって呼び名が変わるのだ。（具体的な呼び名は地方によって異なるが、いずれにしても稚魚から成魚になるまでに呼び名が変わっていく）。

「出世魚」と呼ばれる魚は、成長に伴って呼び名が変わります。ブリの場合は モジャコ（約３～７cm）→ツバス（約15～30cm）→ハマチ（約40～60cm）→ブリ（約60cm以上）となります。

環境省せとうちネットより引用

課長から部長に、部長から取締役に。島耕作さんのように呼び名が変わる、縁起の良い魚なのだ。

じゃあ、いいかー。私はブリをかごにいれた。

誰が出世するんだったっけ？

家に帰って早速お高いブリを焼いた。

脂が乗ったブリは口の中でトロットロに溶けて、それはそれはおいしかった。一緒に作った大根のお味噌汁との相性も抜群！

ブリを食べたら出世できる上に（？）こんなにおいしいなんて。幸せを嚙みしめた。

ん？　私はフリーランス。夫は定年退職。子どもは残業で夕飯はいらない。

誰の出世のためにブリを食べているんだっけ？？

ま、いっかー。人生もブリもおいしければ出世なんて、ね？

三田綾子