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今週の「CM解剖」 001 〜金麦篇〜

お久しぶりです。CMの石原です。

タイトルを変更しました。
題して【今週の「CM解剖」】。

気になったCMを1カットずつ分析する。
そんな内容に変更してみます。

1カットずつ意図を理解する。
それがクリエイティブとしての間違いのない判断につながります。

CM制作において、代理店の人間は多くの人を動かす立場。
それは多くの人たちの時間を奪う立場でもあります。

だからこそ、
いいCMを細かいところまで分析して、
よりよい判断ができるプランナーになりたい、
という目的が裏にはあります。
が、結構、趣味な要素も大きいです。

もちろんWHOやWHATを理解するのも大切です。
どんな背景があって生まれたCMなのかも
解き明かしていきたいと思います。

CM概要

金麦『浜辺篇』

10月の酒税改正にあわせて第三のビールの税率が上がり、値上げがはじまり、お得感がなくなっていくはず。
また競合他社は「うまい!」とタレントがリアクションするCMが多い。
その状況から、金麦は、共感を重視した愛されるブランディングに舵を切っていると感じます。
暑いとビールはうまい、よね?
「そうそう、そうなんだよ」
このような共感を積み重ね、
愛着を作り出すことを狙っていると考えます。

勉強になったポイント

1カット目

小物→オレンジ。車の色→黄色。
海の青色の「補色」でまとめることで画がしまる。
主役は目立つように青いシャツに。
他二人は地味めに抑える。

2カット目

本来なら「指輪おとしたかも」は悲しみや残念さを表現するはず。
しかし楽しげなトンマナを守るために「笑ってセリフ」を読むという演出。

背景を海にして、抜けのいい、気持ちのいい映像に。

3カット目

リアリティを担保するために、友人たちが深刻めに聞き返したか。

1カット目より、さらに引いたカットで変化をつけ、
飽きさせない工夫を入れる。

4カット目

「き〜んむぎ」コールには驚いた。
自分はこの流れを書けないと思う。
落とし物をして、奢れと煽るのは斬新。
「ビール」と「指輪を落とすこと」。
この2つには、距離があるため、記憶に残るCMになる。

5カット目

2回目のコールが別カットに。
1回目)コールに渋る → 2回目)コールに乗る
この時間と感情の跳び加減で、何回もコールされていたことが伝わる。
たのしげな様子が伝わりやすくなっている。

また友人たちの顔が見えないように撮影する工夫で、
タレントの顔に自然と目がいく。

6カット目

商品カットを違和感なく登場させている。
コールと、商品カットのインサートの相性がよすぎる。

7カット目

顔が切れるほど寄る。
コールの盛り上がる様子に合わせる意味のあるアップ。

8カット目

車から海辺への移動をつなぐカット。
これがあることで一気にストーリーが伝わりやすくなる。

「わー!」と言いながら走ることで、たのしげな様子がより伝わる。
大人が声を上げながら走るのは、
本当にテンションが上がっている時だけだから。

9カット目

「ポケットに」と喋らせるより、ポケットを握った方が自然。
CMのクオリティを上げているカット。尺も削れる。

10カット目

中腰のポーズを取ることで
探し始めてから、ある程度の時間が経っていることを表現。

11カット目

友人に話しているから、カメラから目線を外す。

12カット目

追いかけるカット。
実際はしないかもしれないけれど、見ていて気持ちがいい。
楽しげな様子が伝わってくる。自然な演出。

13カット目

ビールのシズルカット。
泡のバランスと色合いが絶妙で美味しそうに見える。
他のメーカーよりも美味しそうに見える。
どれくらいトライ&エラーをしたのだろうか。

細かいが、缶の蓋を開ける音が、前のカットに入っている。

14カット目

今日も暑いぞ。金麦が上手いぞ。
こののナレーションが効いてる。
暑い時、特によく動いたあとのビールが美味しいことはみんな知ってる。
だからこそこのCMでビールの美味しさが簡単に思い出すことができ、
半ば強制的に飲みたい気持ちにさせられる。

グッと回り込む撮影方法で
グッと勢いよく飲んでしまうほど
金麦は美味しいことを表現。

15カット目

乾杯する前に飲んだから友達はこんなしかめっ面してる笑

16カット目

乾杯カット。
缶とコップに分けることで、パッケージも、ビールのシズルも、伝えられている。

17カット目

最後に金麦を笑顔で飲む様子と笑い声も入れることで
金麦なら楽しい時間が過ごせるという印象を残せている。
右脳に効いているラストカットだと思う。


ということで、今週は金麦でした。
来週もよろしくお願いします。良い週末を!


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