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鍋を被った少女が琵琶湖畔を練り歩く鍋冠祭り

5月3日に滋賀県の米原の筑摩神社で開催された鍋冠祭りに行ってきました。
筑摩神社の筑摩祭は「伊勢物語」に詠まれていて、平安貴族にも広く知られていたお祭りです。現在では鍋冠祭りと呼ばれています。

近江なる筑摩の祭とくせなむ
つれなき人の鍋の数見む

伊勢物語 百二十 筑摩の祭

午後に各宿から御旅所に参加者が集合します。

太鼓山

こちらが筑摩の御旅所。続々と集まってきます。

筑摩の御旅所

14時ぐらいから鉾持を先頭に渡御が始まります。

鉾持

緑の狩衣を着て、黒い鍋を被っているのが鍋冠乙女です。鍋は一閑張と呼ばれる張子で作られています。手には扇子を持っていて、その姿はとても可愛らしいです。

鍋冠乙女

祭りの由来は諸説あるそうです。筑摩神社に伝わる「筑摩大神之紀」(永禄十一年記)によれば、「鍋冠は十五歳未満の少女をもってこれを役とす、若しその中に犯淫の輩在るときは、必ずその鍋落ちて発覚す」とあり、婦女の貞操を重んじる祭りとされています。
しかし、筑摩神社の祭神は「御食大神」「宇迦之御魂神」「大年神」であり、いずれも食物を掌る神々であることや、筑摩の地は平安時代に宮内省内膳司に属する「筑摩御厨(ちくまみくりや)」と言う、宮中の食べ物をつかさどる機関があったことから、神前に作物、魚介類などを供えるとともに、近江鍋と呼ばれた特産の土鍋を贖物(しょくぶつ)としたことが原初の姿と言われています。

筑摩神社の立て看板

当日はまだ5月とはいえ、夏を感じさせるような暑さでした。緑の狩衣を纏い、鍋冠を被っている子どもたちは暑そうで、休憩しつつ進んでいました。天気が良くて琵琶湖も綺麗です。

アイスを食べて休む鍋冠乙女

渡御の行列には太鼓山もいます。太鼓を叩くバチは木を整形したものではなく、木の形状がそのまま残ったままのものでした。柳の木を使っているそうで、手に持つ部分以外は皮を剥いでバチにしています。

太鼓のバチ

そのせいか耐久性はあまりないようで、何度か折れている場面を見ました。

太鼓のバチが折れる

御旅所を出発してだいたい1時間半ぐらいで筑摩神社に到着します。

筑摩神社に到着
お参り前に一休み

神社にて御神体やお参りが行われて、最後に千秋楽でお祭りは終了です。

千秋楽

初夏のような天気の中、広大な琵琶湖を背景に練り歩く行列と太鼓の音や、鍋冠乙女のかわいらしい姿は、心に残る風景となりました。

琵琶湖と鍋冠乙女

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