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富士山を望む街・吉原で開催される東海一の祇園祭

静岡県の吉原で開催された祇園祭に行ってきました。祇園祭と聞くと夏のイメージですが、吉原祇園祭は6月の第二土日と一足先に開催されます。
天神社・木之元神社・八坂神社・八幡宮・山神社・和田八幡宮の六社合同で開催するお祭りで、地元では「おてんのさん(天王祭)」と呼ばれ親しまれています。


前日からお祭りの雰囲気が漂う

公式に発表されてるものではないですが、前日の金曜は試験曳きや前夜祭が行われています。
前日に試験曳きを行っているお祭りはよくあるのですが、本番のような派手さはないものの、地元の人々が集まって当日を待ち望んでいる様子が私は好きです。

前夜祭

前日は少しお囃子を行って終わるだろう思い、早めに宿に帰ってくつろいでいたのですが、本番さながらの盛り上がりが続き、お囃子の音に誘われるように再び外に出ました。

山車

吉原祇園祭では21台の山車が町中を駆け巡ります。高欄型、江戸型山車、舞台屋台、吉原雛壇型など、その種類は多岐にわたります。前日から町中に響き渡るお囃子で、当日の期待がどんどん高まっていきます。

木遣り道中・梯子乗り

初日は神事を行った後に、木遣り道中と梯子乗りが行われます。木遣りとは、複数人が作業を行う際に、掛け声や合図のために唄われる作業唄です。

木遣り道中

梯子乗りは、高所で危険な作業をするため機敏さと慎重さ、そして勇敢さが必要な鳶職人や火消しの訓練として取り入れられたもの。今では各地のお祭りで、無病息災、疫病退散、火の用心などを祈念して披露されます。

梯子乗り

梯子を固定しているのは「鳶口(とびくち)」という火事のときに家屋を壊して延焼を防ぐための道具。テコの原理で梯子を固定するようなイメージらしいです。
固定してるとはいえ梯子は揺れていたため、かなりのバランスと度胸が試されそうです。見ている方もハラハラしました。

宮太鼓の競演

初日の夕方には宮太鼓の競演が行われます。綿密に練習を重ねて演目を披露する人もいれば、その場で即興で叩く人もいるそうです。
力強く叩かれた太鼓の音は町中に響き渡ります。もともとこの太鼓は「呼び太鼓」と呼ばれ、神輿が来ることを町内の若衆に知らせるために叩かれていたものです。太鼓の音と周囲の歓声が相まって、大いに盛り上がりました。

宮太鼓の競演

山車引回し

21台ある山車が町中で引回しされます。昼と夜の二回行われ、夜にはライトアップされます。山車がすれ違うときには、相手に負けまいと太鼓と鉦が激しく打ち鳴らされ、迫力満点です。

本町一丁目の山車

山車には細かくて美しい彫刻が施されており、町ごとに異なる特徴があります。そのため、町内の山車を見て回るのも楽しみの一つです。南町区の山車の飾り付け前に見学させてもらい、その精巧な作りに感動しました。

南町区の山車の彫刻

夜には本町通りに21台の山車が集まります。この1kmほどの通りには、ライトアップされた山車と夜店を求めて多くの人が集まり、その賑わいは壮観です。そして、本町通りに響き渡るお囃子の音は、より一層祭りの雰囲気を盛り上げます。

夜の山車引回し

けんか神輿

2日目には神輿の練り歩きとけんか神輿が行われます。吉原祇園祭は笹神輿という笹で覆われた珍しい神輿です。神輿の姿が見えないほどの大量の笹で覆われています。
抜け落ちた笹は、家の軒下に飾ることで厄祓いの効果があると伝えられています。

笹神輿

道中では神事の後に神輿に立ち、酒を頭から被って身を清めます。

酒で身を清める

荒神様(すさのおのみこと)を奉る神輿は、その名の通り荒々しく辻や町境では上下に神輿を揺すり災厄を防ぎ祓います。昔は家屋を壊すことがあるぐらい荒々しかったそうです。

神輿を揺らす様子

神輿同士を激しくぶつけ合うけんか神輿も行われます。
複数の神輿がぶつかり合う様子は非常に迫力があります。

けんか神輿

吉原祇園祭は、京都の祇園祭の流れを汲み、悪霊、疫病を退散させる祈りが受け継がれてきたお祭りです。しかし、吉原がかつて宿場町であったことから、各地の祭りの様式が混ざり合い、現在の祇園祭が形作られたと言われています。
宿場町の歴史があるからなのか、旅行者である私にも地元の方々は親切に接してくれ、2日間のお祭りを十分に楽しむことができました。

唯一の心残りは、天気は悪くなかったものの、日中は富士山が雲に覆われていたことです。早ければ梅雨に入る時期なので、仕方がないことですが。
来年も吉原祇園祭に足を運び、富士山とお祭りの風景を同時に見れることを願っています。

最後にXに投稿した夜の祇園祭の様子です。お囃子の音を聞きたい方はぜひご覧ください。


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