何もできない大人の初めての伊勢神宮一人旅 その3 移動編
私を乗せた新幹線はどんどんと名古屋へ進んで行った。道中何をしようと一応持ってきた本をパラパラとめくるも、外の景色が気になって結局ほとんど読まずにかばんにしまった。
良し悪しがわからず適当に選んだ席だったが、後ろのおじさんはめちゃくちゃバリボリ音をたててお菓子?を食べ、がっつりお酒を飲んでいるタイプだった。音は気になるが仕方ない。私はどうにもこういうヒキがある。
気を取り直して窓の外に目を向ける。
富士山見えるかな…
車窓といえば富士山である。どこのタイミングで現れるかわからない富士山を一生懸命探した。
途中で
反対側の席じゃないと見れないのでは…?
そもそも富士山はほんとに見えるのか…?
あと、今日曇ってるし…
と、様々な憶測がよぎったが、どうにもこうにも正解がわからないので窓の外を見続けるしかなかった。
しばらくすると車掌さんの声が聞こえてきた。どうやら切符の点検のようだ。これも初めての経験である。自分のところに来るまで少しそわそわした。
切符って書いたりチケットって書いたりしてるな…ご容赦ください…
車掌さんが来たのでポケットからチケットを取り出して渡した。手元に返ってきたハンコが押されたチケットを記念に写真に収めた。
後ろでバリボリ音を立ててたおじさんは、あらかた食べ終わったのか静かになっていた。
そうだよなあ永遠に食ってるわけじゃないし、いつかはおさまるんだから、瞬間瞬間でめくじらたててもしょうがないよなあと思った。
結局富士山は見えないまま、新幹線は名古屋に到着した。無事にここまで連れてきてくれてありがとう。
新幹線を降りて、今度は乗り換えだ。全部全部新しいことなのでとても新鮮である。
ホテルの夕食はないので、ホテルの近くにお店があるかわからないし、特に行きたいところもなかったので名古屋でお弁当を買っていくことにした。
どれにしよう…
カツサンドにするか悩んだが、名物がたくさん入ってるっぽいお弁当にした。
お弁当を手にし、いよいよ伊勢市へ向かう。ホームを探し、無事に予定通りの電車に乗り込んだ。
あんまり感覚がわかってなかった私は、名古屋から伊勢市まで座るタイミングを逃しずっと立ちっぱなしになってしまった。元々電車は座らないタイプなので立ってたが、さすがに座ればよかったと思った。激重荷物を持って誰にも頼まれてないのに立ち続け…何故わざわざ苦行の道を選んでしまうのか。
途中の乗り換えも難なくこなし、無事に伊勢市に到着した。
いつもは乗り換えで間違えることが多い私だが、この日は電車が遅れてずれていたにもかかわらず、間違えることなく正しい電車に乗れたので少し達成感があった。
伊勢市に着いた時にはすでに薄暗くなっていて、もう少し時間遅れてたら怖かっただろうなと思った。
ホテルの場所をマップで確認したあと途中で飲み物とチョコレートを購入し、へとへとになりながら見えてきたホテルへ向かったのだった。
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