何もできない大人の初めての伊勢神宮一人旅 その8 パニック編
駅に着くと電車はすでに停まっていた。よし時間ぴったりだ。しかし電車の中の座席を見て疑問が浮かび上がる。
あれこれ乗って大丈夫なやつだよな…?
電車の中は人が全然乗っておらず、椅子が普通の電車よりふかふかしている。
もう一度調べると電車はこれで間違ってない。どうしよう駅員さんに聞きたいな…発車時刻ギリギリだったので入口まで戻ったらきっと乗りそびれてしまう。これを逃すと次の電車が来るまでだいぶ待つことになりそうだ。時間ギリギリだった為存分に考えさせてもらうこともできず、発車ベルもなってしまったので電車に飛び乗った。
乗り込んでから車両と車両の間の所で改めて自分が乗っている電車のことを調べる。
•特急列車は乗車券とは別に特急券が必要
•事前に特急券を買わずにSuicaのみで特急に乗ることはできない
え。
大パニックである。
乗っちゃったどうしようどうしよう!!!!!!こんなんキセル状態じゃん!!!!!!!!!!
まじで一刻も早くお金を払いたい。神様にお参りしたあとにキセル状態はやばすぎる。
車掌さんを探すべく、車両から車両へと足早に移動する。
空いてる…急いでる時とかに乗る電車なのだろうか…この世界に一人だけのような感覚に陥り、パニックと不安な心が更に煽られる。
どんどん移動するも、なかなか車掌さんが見つからない。一刻も早くこの罪悪感から解放されたい一心で、あんなに疲れてたのにすごい早足になっていた。
車掌さんいた…!!!!
「すみません!!Suicaで乗っちゃったんですけどどうしたらいいですか!!!!!!」
どこから乗ってどこまで行くのか聞かれ、特急券分の料金を支払った。
良かった…ごめんなさい…
「座席の指定はできないので、誰か来たら移動してください」
「わかりました」
深く息を吐いて席についた。
お金払えた…良かった…
ちゃんとした知識がないと、自分だけじゃなく他の人にも迷惑がかかってしまうということを学んだ。
特急とかの区別がつかん。。
乗り換えを調べる時は乗り換え案内で調べていたので、候補に特急が出てきても指定席◯◯円と記載されていたおかげでこれは高い電車だ!と理解して省けていたんだが、
さっきは現在地から全てのルートをどうやって行くかで調べていたので、指定席◯◯円の記載がなく、全然気付くことが出来なかった…
電車賃自体も冷静に考えたら行きと比べて高いはずなんだが、土地勘がないのでどれくらいが相場かわかっておらず、全く疑問に思っていなかった。
あと、Suicaだとお金いくら払ったって意識が完全に薄くなる。。
もう同じ轍は踏まないぞ…というか踏みたくない…特急とか急行とかの違いをちゃんと覚えようと思った。
ようやく座れたものの、特急の料金を支払っただけで席の指定はできていないので、私が座っている席を指定しているひとが来たらどかなければならない。
まず指定席なのに相手に余計なコミュニケーションをとらせてしまうのが申し訳ないし指定席なのに座ってるってなんか怪しいしかと言って一から説明するのもまた怪しいし…色んな考えがぐるぐる巡り、小心者の私はびくびくしていた。
まあ席たくさん空いてるし…
しかしそのたくさん席が空いてる中でミラクルを起こしてしまうのが私である。
電車が停まり、人が乗ってきて、通路を挟んで並びの席に座った人が不思議そうに席の番号を呟いている。
……私が座ってる席…!!!!
めちゃくちゃ謝った。。良い人だった。。本当にすみませんでした…
違う席に移動したものの、もはやまた同じことが起きたらどうしようと気が気じゃなかった。途中で通りかかった車掌さんにこの席は指定されてるか訊いてみたが、購入されることもあるからわからないと言われたので耐えるしかなかった。
名古屋で降りる予定だったので、名古屋のひとつ前の駅に停車してもうこの後は人が乗ってこないという状態になってからようやく安心することができた。
本来ならふかふかの椅子で居心地の良い電車のはずなのに、ほとんどの時間を緊張状態で過ごし、旅の余韻に浸る余裕もなかった私を乗せた特急はその後無事に名古屋に到着したのだった。
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