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おっそろし。 スイスコンサルプロジェクト ~多国籍チーム編~

このコンサルティングプロジェクトの一環で異文化間研修の時間があった。
(プロジェクト概要はこちら)

6人で構成される学生チームは基本的に、半分がスイス人半分が留学生であった。
そこで、異文化間コーチと呼ばれる先生が、それぞれのチームの課題を把握しながら、解決へと導いてくれる。

それほど多国籍チームでの取り組みは難しい。今回はその研修や実際のプロジェクトを通して学んだ3つのことについて書き残しておく。

"世界共通語"

英語が話せれば世界の誰とでも繋がることができる。

と、言い切るのはなかなか難しい。

特に厄介なのがアクセント。まぁ聞き取れない伝わらない。
日本人の英語をカタカナ英語、と表現するように、いくら同じ英語を使っていても母語の影響を受けてしまう。

これはアクセントだけに言えることではない。英語の構成方法も微妙に違う。
外国人が話す日本語を思い浮かべるとわかりやすいかもしれない。

「私はマイクです。私はアメリカ人です。私は23歳です。私は...」
日本語は主語を省略する世界でも珍しい言語。だから私は、私は、と続けられると不自然に聞こえてしまう。しかし、間違っているわけではない。

外国人にとって主語は必須のため、彼らが伝えようとすることをそのまま翻訳すると私は、私は…になってしまう。

つまり、全員が英語を話しているとはいえ、そもそもの意思疎通から苦労することが多かった。

あれ、英語なのにわからない。

これは日本で英語を使うだけでは起こり得なかった衝撃的な体験だった。

いつやるか、〇〇でしょ

多国籍チームビルディングで課題になった一つがタスクマネジメントの違い。

やるといった一日前には必ず終わらせているスイス人たち。
1日ちょっとずつを綺麗に計画してなるべく1日に余裕を持たせるスペイン人。
明確な計画は立てずともチャキチャキこなしていくオランダ人。
丁寧に取り組むため時間がかかり、締め切り直前まで時間をかける日本人。

もちろん人によって違いはあるものの、一般的な国民性の違いは、10ヶ国語を話す言語学者であるRichard D. Lewis によって提唱されている。

Cultural Types (The Lewis Model)


チームの半数を占めていたスイス人は上記のモデルの左下、まさに"Linear-Active"と呼ばれるところに位置している。
これは、計画を立て、立てた計画に従って忠実に行動するタイプ。

オランダ人もスイスの二つ上に位置しており、比較的計画的だが、スイス人ほどではないことがわかる。

一方でスペイン人は真上の"Multi-active"と呼ばれるところの一つ左下に位置している。つまり、一度にたくさんのことを行うタイプ。優先順位をつけつつ、いろんなことをこなすのが得意。

はたまた私たち日本人はというと右下の"Reactive"の一つ左に位置している。
これは、礼儀や敬意に重きを置く文化と言われていて、これが丁寧な仕事ぶりに繋がってきているのかもしれない。

つまり、3つの方向にバラバラな国籍が見事に集結してしまった。
多様性に富んでいるのは素晴らしいところだが、多様性を活かす前の段階、意思疎通を行い、理解し合い、信頼を築くまでのハードルがなかなか高かった。

でも結局はコミュニケーション。最初はお互いのタスクをこなすスピード感が合わず、早く終わらせる側からすると直前まで手をつけないメンバーにハラハラし、直前に終わらせる側からするとまだ時間はあるのに急かしてくるメンバーにストレスを感じ、とお互いモヤモヤすることが多かった。

そこで、その現状について、異文化間チームビルディングの時間に話し合った。
その結果、それぞれが締め切りに対して、「締め切りまでに」だけではなく、「いつやるか」ということを公言する、という新ルールができあがった。

ローコンテクスト vs ハイコンテクスト


こいつがラスボスだった。上記の2つ、英語の違いやタスク管理の違いは慣れとコミュニケーションで解決できた。でもこれだけは解決の手段として役立つはずのコミュニケーションが課題となっているがゆえになかなか難しかった。

そもそローコンテクストとハイコンテクストとは。
コンテクストとは、英語で「文脈」を表す言葉。つまり、ハイコンテクスト文化は言葉以外のニュアンス、例えば仕草や表情などもコミュニケーションに含まれる。
一方でローコンテクスト文化では、文脈などは関係なく、言葉で表現された内容が高い価値を持つ。だからこそ、論理的な思考力や説明力に長けている。

Low vs High Context

チームの半分を占めるスイスはローコンテクストのトップで日本はハイコンテクストのトップ。

そりゃコミュニケーションの方法が全然違うわけだ。

一番衝撃的だったのが、私が最も集中しているミーティングに対して、私の集中力を指摘されたことだった。

私は集中すると発言をするより聞くことに専念し、頭の中で整理をすることが多い。

しっかりと目を見て話を聞いていたし、相槌も打っていたので、日本にいたらまあ誰もが私が集中して聞いていることは明らかだったはず。

しかし、発言にこそ重きを置いているスイス人からは、私が沈黙でいることを、興味がないから、別のことを考えているからだと思われていた。

真逆。冤罪もいいところ。

異文化間理解コーチングで気になるところをシェアする時間があったからこそ誤解が解けたが、この機会がなかったら当たり前があまりにも違いすぎて、自分たちだけで気づくことはできなかったはず。お互いの仲を深めるどことか、信頼を失うところだった。おっそろし。

ぶっちゃけ

いやあ、大変だった。
将来は海外経験を活かせたら嬉しいな、なんて思ってたけどこのままじゃ貢献するのは厳しいだろうな。

今回のチームでは全然貢献できなくて、もどかしくて、悔しかった。
けど、なんとなくこの悔しさは次に生きる気がする。

中学生の初めての留学の時もそうだった。クラスメイトが何言ってるかわからなくて、話せないから会話にすらならなくて、ブチギレされて涙が止まらない夜もあったっけな。

それでもめげずに、というかむしろその悔しさをバネに英語もたくさん勉強した。だから今、少なくとも自分の考えを伝えることに困ることは無くなった。

そう考えると、今回はだめだめだったけど、この悔しさを糧に、英語力やコミュニケーション力、仕事力を磨き続けたい。そしていつかは、バックグラウンドの違いをむしろ楽しみつつ、世界中の人と一緒に、社会に価値提供できるようになりたいな。

焦らず。ゆっくり。一歩ずつ!

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