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日本の最西端、与那国島へいってみたら

沖縄の離島に心奪われてから、次はどの島に行こうかと計画する日々。次に決めたのが、台湾に近い日本最西端の島、与那国島だった。

与那国島といえば、ドラマ『Dr.コトー診療所』のロケ地だ。20代前半だとこのドラマを知っている人も少ないかもしれない。知っていても再放送かな。形から入りたいタイプなので、特別編も含めてすべて見返して、サントラも何度も聴いて島を訪れた。

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私が沖縄に行くとき必ず台風が発生、もしくは天気が荒れる。

どうやら、今回もまた4月には異例となる台風を発生させてしまったらしい。台風と被るかもしれないと思い、滞在期間を延長して与那国島で7日間過ごすことにした。

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与那国島までは石垣島からフェリーでいくか、石垣島もしくは那覇から飛行機に乗っていく。フェリーは週に2便しかないため飛行機を選んだ。

島の周囲は27キロほどで、島の集落は北部の祖納(そない)地区、南部の比川(ひがわ)地区、西部の久部良(くぶら)地区の3箇所。レンタカーを借りて島をとりあえず一周する。どうしようか、初日で観光スポットを見終わってしまった。

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泊まった与那国ゲストハウスFiesta(フィエスタ)には、屋上があって、朝日も夕日も海も眺められる。黒猫ニャーがゲストの心を癒やして、宿のオーナーは美味しい魚をお客さんと採りにいく。

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ダイビングで訪れているお客さんが多くて、ウエットスーツを着て「行ってきまーす」と出発する姿がたくましくてかっこよかった。

JICAでモンゴルに行き、千葉の地元で居心地の良い場所をつくりたいと夢を叶えるために行動している人。名古屋から引越して竹富島の飲食店で働いている人。数日前からゲストハウスで働き始めた人。
焼酎杜氏を目指す人。観光学部に通う関西の大学生。

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少しの時間だった。けれど他愛もない話をしたり、少ない希望に懸けて厚い雲で覆われた夕日を見に行ったり、ドラマ『Dr.コトー診療所』の1話だけを見直して、ここ行った!と喜んだり、美味しい魚料理にほっぺたを落としそうになったり。

ゲストハウスではじめて出会った人たちと触れ合う時間ってこんなに楽しかったんだなって久しぶりの感覚だった。また、どこかで会いたい。

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宿のオーナーもそうだけど、与那国島に移住して長い人に何人か出会った。ヨナグニウマの体験牧場「ちまんま広場」を運営するご夫婦、コロナがなければ与那国織りが体験できる「てぃぬ花工房」のつのださん、植物園みたいな緑あふれる庭が印象的だった「山口陶工房」のご夫妻。

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旅して、魅了されて、住むことを決めた方々。

「いい島でしょう?」

笑顔で話してくださったみなさんの、おだやかな表情が忘れられない。心からそう感じているんだ、と声のトーンや表情から伝わってきて、その笑顔につられ自分も笑顔で「はい。」と答えた。

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灯台や牧場で自由に草を食べ続ける馬たち
台風の影響で強い波が押し寄せる六畳ビーチ
広い大海原があらわれる瞬間
集落を見渡せる宇良部岳

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新鮮で美味しいカジキ
天気予報があてにならない変わりやすい天気
ティンダバナや久部良バリに残る島の伝説
島に多い野良猫

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うつくしく咲いたテッポウユリ
ヤギが乱入したご飯屋さん
雨音を聴きながら体験したヨガ
広い運動場でキャッチボールをしていた少年二人

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聞いたことがない鳥の鳴き声で目が覚める朝
雲の隙間から見えた星と、満月の夜
断崖絶壁にぶつかる波の音
いつまででも眺めていたかった紺碧の海

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島をドライブして、同じ場所を何度も訪れるのに、飽きなかった。

ある夕方、祖納港で波を待つサーファーを見かけた。知りあいなのか、話を聞きつけたのか、町の人が集まってきた。

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右を向くと、17時のサイレンが鳴る中、海が見える橋の上でゆったりと時間を過ごしている老夫婦。

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この時間、とてもゆっくりと時間が流れ、センチメンタルで好きだった。与那国島は関東よりも1時間ほど日が沈むのが遅い。

「日本最後の夕日が見える丘」、があるくらい。17時はまだ太陽の日差しが少しばかりきつく、サングラスを持っていなかったから、じりじり目が焼けている感覚を味わいながらその光景を眺めていた。

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島の人からしたら、きっとこの光景は日常なのだろう。非日常だからこそ胸がこがれたんだと思う。でも、こんな「非日常」が「日常」になるって、とても心が穏やかになるんじゃないかな。

海と自然と、ときどき馬。
満員電車はないけれど、馬の渋滞に出くわす。けれどそこに苛立ちはない。(島の人の本心はわからないけれど)

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どこを見渡しても自然で溢れていた与那国島。(海のゴミは多く、台湾に近いためか砂浜に落ちているゴミは日本語ではなかった。)

離れ難かった。

宿の人たちに見送られ、夕方の便に乗るため空港に向かう。どうやらその日の夕日は台湾が見えたらしい。「夕日、リベンジしてきましたよ」と送られてきたLINEに笑顔になる。

コンビニがある石垣島は都会だ。一泊し、成田空港へと向かう。日暮里、新宿、そして最寄り駅に到着してしまった。駅には人があふれかえっていて、車もたくさん行き交う、1週間前と同じ光景。

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あぁ、この環境にいたら息苦しいな。1週間ぶりに最寄り駅についたときのあの感じは、じわじわと都会疲れがきていた私に都会を離れようと決断させてくれた。

関西から引っ越してきたとき、ずっと住む場所じゃないだろうなとは思っていた。心地よいと感じる場所で生きていきたい。

わたしは、この直感を信じて行動したい。

世界一周から帰国して、関東に行くと決断したときみたいに。

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