学歴コンプレックスは癒せないけれど
11月24日に行われる「文学フリマ」@東京で、ふたたび冊子を出せることになりました。
「創作メルティングポット」のメンバーで、小説を書くのはこれが3作目だ。
・下戸がうらやむ怒りと酒【創作メルティングポット#06】
・「好きだからふれられない」という愛情表現と無限セクシュアリティ
「酒呑みに告ぐ」シリーズは、リライトして再編集版を出そうかと思っている。
自由演技(1回目)、百合(2回目)と来て、次は何のテーマで書こうかという話になって、決まったのが「コンプレックス」だった。
テーマが決まった時点で、ほぼ即決で学歴コンプレックスを題材にすると決めた。
生きるために必要なポジティブエナジーの源泉に一点小さくも明らかに黒々と浮く異物──もしくは、いつも何をするにも音も匂いもしないけれど常にそばにいる影──そんな存在。学歴コンプ。
テーマが決まってからは、思いついたフレーズやテキストを、スマホとiPadのメモ機能にバラバラと書いていったのだけれど。
笑っちゃうほど書きたいことが山ほど出てくる。
文字を打ち込む手が止まらない。
予定していたボリュームの数倍まで膨らんでしまいそうなパラグラフなんかは、物語の筋道をすっきりさせるために渋々カットした。
筆を進めるスピードの速さと同時に、創メルで書いた他の2つの小説と明らかに違ったのは、メモアプリを開いて書き進めるたび、どうしようもない悔しさがブワッブワに立ち昇ってきたことだ。
時々心の声が漏れて「くそーーーー!」と声に出してしまったこともある。
何それという感じだが、本当だ。
このnoteは、小説の入稿が終わって書いている。
けれど「くそーーーー!」なんて思いながら書いていない。すこぶる穏やかなキモチ。
「わたしが書いたのはコンプレックスというより、怒りなのか……?」と、ふと思う。
「コンプレックス=自分で許せない自分のこと」なのだとしたら、「くそーーーー!」と心の中で罵声を浴びせているのは自分……ということになるのだろうか。
優秀な学歴がない自分。
優秀でないことを卑下している自分。
そもそも学歴がないと疑わない自分。
社会人になって5年くらい経つのにまだ学歴コンプを克服できていない自分。
など。
コンプレックスと怒りが、わたしの場合は強く結びついているのだと思う。
ハッピーでご機嫌で、いつも愛の溢れた人になるのは、もうずいぶん前にあきらめた。
わたしの原点には、どす黒いコンプレックスがマグマみたいに滾っている。
そしてそれはどんなに水をかけようと、決して消えずに、爆発する時を待っている。
ということで、小説という形を借りて、爆発させることにした。
なぜなら怒りを怒りのままに「くそーーーー!!!!」と表現したところで、ただただ、ダサい。
理想の学歴は獲得できなくても、美学を追求することくらいなら、できる。
美学に偏差値はないから、いくらでも試せる。
学歴コンプは、きっと一生癒せない。
けれどその消化しきれないモヤモヤを、これ見よがしにぶつけたところで、誰が慰めてくれようか。
怒れる学歴コンプをフィクションに焼き直して言いたいことブチまけるほうが、癒せずとも、笑い飛ばせるくらいにはなるんじゃないかしら。
まあ、書きながら「くそーーーー!!!!!」って、声に出ちゃってるけどね。
スポーツ選手が力んで掛け声を出すソレと似たものだと思って、堪忍してくださいませ。
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