助産師って何しているの?~出産編その1~
助産師になって7年目になりました。
はじめの投稿にも書いた通り、今は休職中です。
助産師って、我ながらすごく良い仕事だな~と思うんです。
でも意外と助産師の仕事内容って知られていないんですよね。
”助産師=赤ちゃんをとりあげる”
というイメージは間違っていないし、看護師免許と助産師免許の違いは赤ちゃんを取り上げられるかどうか、というのが大きな差だと思いますが、それ以外にもいろいろとやっているし、できることは意外と幅広くあります。
〈助産師の業務内容を紹介しようと思ったきっかけ〉
初対面の人に「職業は?」と聞かれて、「助産師です」と答えると、結構な確率で「助産師って何するの?」と聞かれます。
だいたいそういう会話が生まれるのって話の序盤で、残念ながら助産師について深く語れるようなシチュエーションでもなく、私も「お産のお手伝いをして、赤ちゃんをとりあげたりしているよ」とだけ言います。
まあ、これはよくあることだし、病院に受診して看護師さんと接することはあっても、助産師と接して働いているところを見たりする機会ってなかなかないから知らないよな~くらいにしか思っていませんでした。
ある時、医局の飲み会に誘っていただいて色々な科の先生方と飲んでいたんですね。で、たまたま心臓血管外科の先生とお話する機会があって、その先生に言われました。
「へえ~助産師さんなんだ。助産師さんって普段何してるの?赤ちゃん生まれるまでは待機してるの?夜勤中とか、生まれそうになったら呼ばれる感じ?」
と。
ほう。そうか。
赤ちゃんを取り上げるその瞬間以外、たとえ医療者でも助産師の役割って知られていないんだな、と感じました。
ちなみに生まれそうになったら呼ばれるのは医師で(私が働いていた病院の場合)、助産師はそのずっとずっと前からそこにいます。
でも、その先生は単純な興味で聞いてくれたんだと思うんですけど、なぜだかちょっと悔しくなりました。
なので、助産師がどんな仕事なのか紹介してみようかなーと思いました。
助産師といっても、病院やクリニックで働いたり、助産院を開業したり、性教育に携わったり、マタニティヨガやベビーマッサージを教えたり…。本当にいろんな働き方や分野があるんですけど、私は総合病院の産科で働いていたので今回紹介できるのはその限りで、本当に一部分だと思っていただければと思います。
ただ1から10まで書くととんでもない量になりそうなので、ざっくりと。
「ざっくりと」と言いながら、紹介したい内容がたくさんありそうなので、ちょっとシリーズ化してみます。今回は第1弾ということで、出産に関することを書いてみます。
〈1.お産の進み具合を判断する〉
一般的には陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまで、初めてのお産だと半日程度かかると言われていますが、ほんっっっっとうに人それぞれ。
100人いたら100通り。同じ進み方をする人は誰一人としていません。
ゆっくり進んでいたと思ったら破水して一気に進んだり、勢いよく進んでいても途中で停滞して2-3日かかったり。
助産師は、産婦さんの様子、陣痛の状態、お産が始まってからの時間、子宮の入り口の開き具合などなど…さまざまな要素を統合して、お産の進み具合を判断し、なおかつその後の進行の予測を立てます。
産婦さんのそばで陣痛の間隔や長さ、痛がり方、陣痛中の過ごし方を観察したり、お腹に触れて陣痛の時のお腹の張り具合を見たりします。
あとは内診。子宮の入り口の開きを指で測ります。指が定規代わりです。手をチョキの形にして、人差し指と中指の間がどれくらい開いているかで何㎝開いているか判断します。
子宮の入り口って赤ちゃんが生まれるときには10㎝まで開くんですけど、内診で培った感覚のおかげで、普段でも指さえあれば10㎝までは割と正確に測れるという特技を身につけました。笑
たぶんこれは助産師あるあるですね。
子宮の入り口の開き以外にも、赤ちゃんの頭がどれくらいまで下がっているか、赤ちゃんが適切に回って降りてこられているか、子宮の入り口の位置・薄さ・軟らかさ、赤ちゃんを包む膜の状態…いろいろなことを内診でみていますが、専門的になってくるので割愛しますね。
進んできたかな~とか、しばらく診察してないからどれくらいまで子宮の入り口開いたかな~とか、破水した!とか。内診するタイミングはお産の進み具合とか、施設のルールとかでいろいろあるんですが、内診はお産の進み具合を判断する大事な材料になります。
〈2.産婦さんと赤ちゃんの健康状態を判断する〉
大前提として、助産師は正常な分娩であれば医師の介入なく取り扱ってよいこととされています。ただし、異常が起きたら迅速に医師の介入を求めなければいけません。
そのため、産婦さんと赤ちゃんの健康状態を把握することは大切です。
産婦さんのほうは、血圧や熱を測ったり、全身状態を観察したりと身体的な側面はもちろん、精神的な側面もみています。
お腹の中にいる赤ちゃんの健康状態は、主に”分娩監視装置”というもので把握します。分娩監視装置とは、赤ちゃんの心拍と陣痛の状態を経時的に観察する機械のことです。
赤ちゃんの心拍数は、体の中の酸素のバランスや血のめぐりによってリアルタイムで大きく変化します。分娩監視装置をつけていると、赤ちゃんの心拍数をグラフみたいに波形化して可視的に把握することができるので、お産の時には、陣痛によるストレスやそのほかの要因で赤ちゃんが苦しがっていないか、その数値や波形から判断します。
ちなみにこんなかんじです。
(※日本産婦人科医会HPよりお借りしました)
通常赤ちゃんの心拍数は1分間に120~160回程度ですが、赤ちゃんに酸素が行き渡らず苦しくなると心拍が下がります。子宮の中で感染がおこると、心拍が160を超えて上がったまま下がらなかったりもします。
様々な要因で心拍は上がったり、下がったりするんですが、赤ちゃんの心拍が正常ですよ~っていうには3つの要素があって、これも専門的になりすぎるので割愛しますが、根拠をもって赤ちゃんが元気だと言えるか常に目を見張っています。
そして、心拍が下がった時には早急に駆けつけ対処したり、医師を呼んだり、原因探索をしたりします。一口に心拍が下がるといっても、波形の形によって意味が異なってくるんですよね。
波形をリアルタイムで把握して、赤ちゃんが元気であることを確認することや、何か異常があった時にはすぐに対応することがお腹の中にいる赤ちゃんを守るために大切です。
赤ちゃんが生まれる直前まで常にこの心拍を把握して、元気な赤ちゃんが生まれてこれるよう介入しています。
この波形を正確にかつ瞬時に読み解くのは新人時代は大変で、先輩や先生にたくさん教えてもらったり、セミナーで勉強したりした思い出があります。
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出産編、まだまだ書きたいことがあるんですが、長くなってきたので今日はここまでにします。
同職者が見たら、もしかしたら補足修正したくなる部分もあるかもしれませんが、大目に見てもらえると嬉しいです。
続きはまた次回。
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