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地域と学校 読み聞かせが生んだ繋がり


ー小学生が"地域の人"と関わる大切さはよく説かれているが、具体的にはどうやって?。読み聞かせを通じて大切な繋がりが生まれていたお話。

こんにちは、
地域おこし協力隊で図書室にいるきむらです。


図書室につきものなもののひとつ、"読み聞かせ"。

自分たちが読み聞かせの時間を提供することもあれば
学校で読み聞かせボランティアをしている方々と
知り合ったり、絵本を一緒に探したり。


もうすぐ90歳になる図書室の常連さんは、
12年もの間、小学校で読み聞かせを行っていた。

当時の校長先生と仲が良かったことから始めることになり
その後、校長先生が変わっても、交流は続いた。

「ご迷惑かけないうちに、引退しようと思って。」

先日、図書室に現れたその方がそう言った。
近頃は声が出にくくなったり、
体調を崩すこともあったりで
読み聞かせを降りることを決めたという。

読み聞かせ会はコロナ禍でここ2年行われていなかったが
感謝の会を学校が催してくれることになり、
最後の読み聞かせに
思い出の絵本を探しに図書室を訪れた。

絵本のタイトルが並んだメモを
私に向けながら発さられたその引退宣言が
あまりにも凛としていたので

まだ大丈夫なのに。みんな続けてほしいだろうに。
という勝手な願いと、
きっと名残惜しいところだけど区切りをつけるんだな
と理解できてしまう思いと、
一瞬で渦巻いて、すぐに言葉を返せなかった。 

こんなとき。
こんな素敵な交流が途絶えるのは
とてももったいないなと思うとき、
近くに跡継ぎがいれば、引退する側もそれを受け取る側も
もう少し気持ちが軽いだろうなと思った。

人口4千人に満たない町で、高齢社会。
更に、全校生徒で10人程度の小学校、
その周りに住む地域の人の数は知れていて
なかなか見つけられないものだ。

小さな町でみんな繋がってるから
見つけやすそうなものだが
分母が小さければ、、、。

地域と学校のつながり。
これは私が自分の小学校時代に感じられなかったもので
この地域に来てから良いなぁと思うもののひとつだ。 

小学校では"地域の人"という
言葉はよく聞いた気がするが、
実際に地域の人と交わった記憶はない。

大きな町ではなかなか感じられないものかもしれない。
この町では
保護者以外の、地域の人が子どもたちを見守り
子どもたちも地域の人と日々関わっている。
具体的には、お互いに名前と顔を知っていて
町を歩けば挨拶、一言二言お話ができる、
そんな関係。

最近は"図書室の人"も
その"地域の人'の括りの中に入ることができてきて、
子どもたちに認識されたり声をかけてもらえたり
時には頼ってもらえたりして、とても嬉しい。

だから今回も、「……引き継ごうかなぁ。」と
ポロッと口からでた。

小学生と関わるということは、長期スパンで見ると
中学生、高校生、町をつくっていく若者、
と関わることだと、この一年で身に沁みた。

大きな町にいたときは、子供と関わっても
そんなふうに未来を感じることはなかった。

先ほど分母が小さいと、、と言ったが
分母が小さいと、一人の存在がとても大きく
明確にくっきりと見える。
町に1学年20人程度となると、世代を作る
町を作る一人一人に見えてくる。 
(大きい町や国レベルでもこういう視点になれば
政治や社会問題とと教育が結びついたり
より住みよい社会になったりするのだろう。)


さて。
話は戻って今日、最後の読み聞かせ会が開かれた。
想定外の取材陣の多さにも動じずに
しっとりと読み聞かせ、
子どもたちもしっかり集中して聞いていた。

子どもたちからの読み聞かせのお返しもあり、
最後には寄せ書きや12年分のアルバムのプレゼント。
終始あたたかな空気が流れた素敵な会となった。

そんな会に参加してみて
地域の人が学校と関われているというのは
双方にとって良いことだと、改めて感じた。

子どもたちには、外を歩いていて
まわりに知ってる人たちがいるということは、
意識はしてないにしても安心感につながっていると思う。

地域の人達も、子ども一人ひとりを知っていて
育っていく様子を見守っていることで
地域社会のつながりを感じられたり
楽しさや嬉しさになったりもする。

学校に限らずだが
周りに住んでいる人が知り合いか知らない人かでは
安心感や住みよさが格段に異なると感じている。

では、地域と学校の関わりを作る
具体的な方法はなんだろうか…?
よく聞くのは
職業体験や町マップ作成、インタビュー、、、
読み聞かせボランティアもその中の一つだが
他の活動より良い点があると気づく。"継続性"だ。
毎月会うとなると、お互いによく知る存在となるため
その他の方法より近づきやすいだろう。

この読み聞かせ会は
私はひとまず引き継ぎながら、
また近所の方々に繋げられるように
広報・募集活動をしていきたいと考えている。

長い間紡がれてきた
小さい町の小さい学校ならではの良さを
このまま大切にしていきたい。

 
〜今日の一冊〜
「なずずこのっぺ」
今回のお話の主役が最後の読み聞かせ会に選んだ絵本。
何語かわからないセリフだけで話が進む。
昆虫の言葉がわかる気がしてくる不思議な絵本。
読み聞かせウケが良いらしい。



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