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詩 『遺書』

詩 『遺書』


ごめんね。
ごめんなさい。
そう書き出せば悲しいね。 

わかっている。楽しいこともたくさんある。
苦しいこともたくさんある。
それこそが人生と。
ひとりじゃない。大丈夫。
そう何度も言い聞かせた。
苦しくなるたびに、涙するたびに
気が遠くなったんだ。
こんなことが続くのか。と、

順風満帆。
そんな訳にもいかなくて、
情けない自分と理不尽な人生に絶望した。
その度に沈んでいく心。
ずっとずっと大切にしてきた命だから。
大切に大切に終わらせたい

誰だって、魂を触る手は温かい
魂を見つめる瞳は温かい
ずっとずっと笑顔でいなきゃ壊れてしまう
苦しくなる度に自分の気持ちと向き合い続ける
そんなに強い私じゃない
大好きな人たちに囲まれて
本当に幸せな人生
何一つ苦しむことなんてないけれど
それでも気がつくと涙が溢れている
気がつくとトイレにこもっている
気がつくと呼吸がはやくなっている
そんな自分を見るのが苦しい。

誰かを愛する喜びも
誰かを信じる喜びも
誰かに傷つけられた大きな穴の空いた心も
誰かに癒やしてもらえることも
人生捨てたもんじゃない
人との出会いを諦めるもんじゃない
人との出会いに怯えるもんじゃない

嫉妬という感情も
好きと言う感情も
素直になる心地よさも
誰かに愛される幸せも
誰かに包み込まれた瞬間も
愛する人の唇に触れた瞬間も
全て大切な時間だった
全てが青春だった

人の幸せを素直に喜べない自分も
本当の心に蓋をして自分を見失った日々も
それでも全ての人の幸せを祈り続けた日々も
他人の頑張る姿を見て自分を嫌いになった
そんな苦しみに生きている実感を憶えて
心地よかった

全てが大切で全てに感謝し続けて、
空を見上げて笑顔になって
自転車に乗って
泣きながら夏の夜風に吹かれて
そうやって生きていることを楽しんで
そんな日々が積み重なった今が一番幸せです

大切な人の大切な場所へ行ったあの日も
誰かに傷つけられたあの日も
そんな日々が積み重なった今が一番幸せです
些細な出来事に幸せを感じた日々


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