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演劇部から劇団へ

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演劇の資料を整理していると他よりひとまわり小さい紙に手がとまった。

劇団員募集!

演劇部のとある先輩が部活を辞めて一般の劇団に入った後、籍を残したまま旗揚げをした。私は元後輩として旗揚げ公演のお手伝いに呼ばれた。チラシの挟み込みの時に散々みたはずの小さい紙だったけれど、その時は特に気にならなかった。当時と違い今は大学の演劇部を辞めようとしていたので導かれるように見学に行くことにした。


6月の雨の降る日、左足を引きずって劇団の見学に行った。

とてもアットホームで、歓迎してくれて、私も仲間になれるのではないかと希望を抱いてすぐに入団を決めた。


公演が2種類あって、一般的にイメージされる「本公演」と、台本を持ったまま動きをあまり出さないでやる「リーディング公演」がある。こちらは朗読に近い。

私が入団した時、リーディング公演のキャスティングがまだ確定していなかったので、ダブルキャストで出してもらえることになった。本来なら嬉しいはずだが、私は自信がなくて不安だった。下積みしてやっと表に出られる流れだと勝手に思っていたから、逆に「え、出ていいの?」と思ってしまった。団長としては「素人には素人の良さがある」という考えらしくて、同時期に入った新人たちもほとんどが何かしらの役で出演が決まった。


稽古は学ぶところがたくさんあってとても充実していた。人手は足りてないので、裏方もみんなで分担して行うのだが、そちらはどうしたらいいのか全く分かっていなかった。新人が急に増えて忙しいこともあって、付きっきりで裏の動きを教えてもらう機会がなかった。また、私自身も積極性に欠けていてなあなあにしてしまった。


部活と一般の劇団で大きく違うところは、やはりお金の面。部活は大学の後援会から予算を頂けるので少し部費を集めるだけで、無料で公演ができた。しかし一般の劇団は後援会がないから、劇団員からの団費と公演の利益でやっている。プロではないので、客演を除いて、公演で団員にお給料が発生することがない。そういう訳で公演の利益が少ないと困るのでチラシを置かせてもらったりSNSで宣伝したりしなくてはならない。そしてチケットのノルマもあった。有料で公演する分プレッシャーが大きくなった。一生懸命練習してきたが、友人にチケットを買ってもらうのがなんだか申し訳なくてあまり宣伝できなかった。それでも演劇部繋がりの友人や先輩、同じ学部の人が来てくれると言ってくれて本当に嬉しかった。


本番の初日、私は劇場の最寄り駅の前で看板を持って立っていた。ダブルキャストなので、もう1人が出演する回は私が外にいて、私が出演する時はもう1人が外に出ることになったのだ。暑い日だったからか、お客さんらしき人からポカリスエットを頂いた。お客さんまでアットホームなんだなと思うと、私も仲間になれたようで胸が熱くなる。そしてお客さんの中にチケットを買ってくれた私の先輩や友人もいるということ、人の輪が大きくなっていくことが、とても心地よかった。


2日間にわたった公演は特に問題なく終了した。1回の公演が終わる毎に、お客様にアンケートを書いてもらっていた。片付けを終えてアンケートを回し読みしていくのだが、そこに私が演じた役の名前はなかった。他の登場人物にはいろんな感想が寄せられていたのだが…。無事公演を終えた安心感に小さな影がよぎる。


(つづく)

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演劇の話をしたいとずっと思いながら、なかなかまとめられないでいた。今はもう観に行くことすらできていないけれど、やっぱり演劇が好きな気持ちはまだある。

数ヶ月前、団長が亡くなった。お葬式に参列してきた。正直、劇団の情報はチェックしていたけれど、退団してから直接会うことがなくて、私なんかが行っていいのかなと思うこともあった。だけど最後に後悔したくなくて、団長を慕っていた気持ちに嘘はないから行ってきた。

演劇に関わっていた日々を振り返って、本当にたくさんの方に支えられていたこと、私って何にもできてなかったなといろんな気持ちがわいてきた。

あとがき?もまとまりなくなってしまった(^^;)
演劇の話は今年の内にまとめられたらいいなあと思っている。

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