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【韓国旅行記】〜ラブストーリーは突然に!?〜後編2

【前回までのあらすじ】
韓国に無事到着したみるかく子。タクシーに同乗した6歳年下のキムさんからお礼のご飯に誘われている。みるかく子はいろいろ悩んだ末、彼を朝ユッケに誘った。一緒に楽しく生肉を食べることができるのか!?
2人の運命はいかに!

■年下の男の子


わたしが行きたいユッケのお店は広蔵市場の中にある。

というか、広蔵市場にユッケのお店がたくさんあるらしい。

市場には、何でもかんでも


これでもか!!!


ってくらいのお店が立ち並んでいる。

この写真は飲食店が集まってるけど、生地のお店がズラッと並ぶ通りもあった。

ちょっと寄り道してみたかったが、ユッケのお店は人気店なので並ぶかもしれないと思い、真っ直ぐユッケのお店に向かった。


私が到着したのは10時開店の15分ほど前だったと思う。すでに5人くらいのお客さんが並んでいて、開店5分前くらいになると私の後ろに長蛇の列ができた。


日本人の観光客が多いような気がした。

ところで、韓国旅行にきてる日本人の女の子たちって、なんでみんなあんなにお洒落で可愛いん??


キムさんに、「お店につきました。並んでいます。」と連絡すると、


「私ももうすぐ着きます。」


と返事が来た。



程なくしてキムさんが前方から歩いてきたのだが、列に並んでいるわたしに気が付かずに通り過ぎてしまった。


「あっ!!!」

と咄嗟に声が出て、呼び止めるような仕草をしたけれど、キムさんは気が付かずに歩き続ける。


周りの視線がわたしに注目する。


恥ずかしい。


この場合はなんと呼び掛ければいいのだろうか。
パパゴとカカオトークでは◯◯씨(彼の名前+さんづけ)で呼んでいるが、その名前を口に出して呼んだことがないので気恥ずかしくてためらわれる。


わたしは彼を追いかけて、後ろからトントン、と無言で方をたたいた。


やっとわたしに気がついた彼は、少し驚いたような顔をしていた。


それもそうだろう。彼に初めて会った大雨の朝、わたしは眼鏡+どすっぴんの状態だった。

1人で空港に向かうだけの予定だったので、まさか人に会うと思っていないわたしは、気の抜けた顔のままキムさんと出会っていたのだ。


あの出会いがバチェラーだったら、ファーストインプレッションローズは確実に貰えないだろう。


キムさんは、

「人が多いですね。このお店は知りませんでした。」

と言った。


お店が開店して、順番に席に案内されるのを待つ間、アジュンマが通り過ぎて何やらわたしに話しかけてきた。


もちろんわたしは何を言われているかわからないのでキョトンとしていると、キムさんが横から助け舟を出してくれて、アジュンマと会話していた。


韓国人だから韓国語を話せるのは当たり前なんだけど、

韓国語を話せるだけでかっこいい。


私「おばさんは何と言っていたの?」

彼「人がたくさん並んでいるので美味しいの?と聞いてきたけど、わたしも初めてのお店だからわからないと答えた。」


韓国人だから韓国語を話せるのは当たり前なんだけど、

わたしがPapagoで翻訳したハングルを一瞬で理解できるのもかっこいい。


韓国マジックとはおそろしい。



「何が食べたいですか?」


キムさんがお店の前のメニュー看板に目をやって言った。


「タコがのってるのが食べたいです。」


そう答えると、キムさんは意味深に笑って、


「本物を見たら考えが変わるかもしれません」


と言った。


きっと、


「この日本人はタコの踊り食いを食べれないだろう」と思われているのだろう。


なめてもらっては困ると思い、白魚の踊り食いなどの写真を見せた。

日本にもこんな食べ物があるんだよ、って。


そうこうしているうちに店内に案内され着席すると、キムさんがすぐに聞いてきた。


「お酒を飲みますか?」


一応、朝から飲むのはやめとこうかな……と思っていたけど、すすめられたら飲まないわけにはいかないだろう。(勧められてはいない)


"네, 맥주.(はい、ビール。)"


と、短く答えた。


店員さんがオーダーを取りに来て、キムさんがタコの乗ったユッケとビールを頼んでくれた。キムさんはお酒は飲めないそうで、コーラを注文していた。


定員さんに、ビールの銘柄を聞かれているような会話が聞こえたので、わたしは「Kelly!」と言った。



注文を終えてビールが来たあと、ビールを指差して、


「ソンソックが広告をしているから。」


というと、キムさんが笑っていた。



そして、手慣れた様子で机の下からお箸とスッカラとナプキンを取り出してわたしの分もセットしてくれた。


おぉ〜、やっぱり韓国人だ。


というごく当たり前のことでちょっと感動してしまった。


キムさんはユッケの食べ方のお手本も見せてくれた。

卵と混ぜて、海苔にユッケ、たこ、カイワレ、千切りにされた梨などを包んで、ごま油と塩で食べるようだ。



このうごめくタコとユッケがずっと食べたかったのだ。


旨い。ビールに合う。サイコー。
帰国前に食べることができてよかった。


ユッケを食べながら、わたしたちはたくさん話をした。舞台はどうだったか、仕事は何をしているのか、兄弟がいるのか、などなど。


キムさんが言った。


「知人のお葬式が急遽入ったので、あの日は絶対韓国に帰国したかったんです。恩返しがしたかったから。だから、本当に帰れてよかった。ありがとう。」


あー、パパゴで「仕事」って訳されてたのって、お葬式のことだったんだ……とやっと理解できた。だからあんなに諦めずにタクシーで空港に向かおうとしたんだ。

(Twitterの韓ドラ沼民に、韓国語で「仕事」と「用事」は同じ言葉を使うと教えてもらったので、「仕事」の謎が解けました。ありがとう。)


前回会った時より会話がスムーズだったし、キムさんは前より表情豊かで、いろいろ話題を振ってくれた。もしかしたら、初めて会ったときは人見知りをしていたのかもしれないな、と思った。


いろんな話の中で、やっぱりまた聞かれた。


「年齢を聞いてもいいですか?」


きた。


わたしはパパゴを通さず答えた。


"비밀이에요.(秘密です。)"


キムさんは、「えー、、」というような顔をしていった。


「わたしは教えたのに。」


ので、


わたしはこう返した。



「わたしは聞いてないから。あなたが自分で言ったんでしょ。」


我ながら何とも屁理屈な女である。


「基本の挨拶じゃん……」とふてくされるキムさんに言った。


「わたしは누나(お姉さん)です。^^」


キムさんはちょっと目を丸くして言った。


「嘘だ!!!」


いや、嘘じゃねぇし。
なんでわざわざ年上って嘘つくねん。



「韓国は上下関係が厳しいと思うけど、わたしは気にしません。」


と言ったら、キムさんが、


「じゃぁ気楽に話しましょう。」


と言って、お互い敬語を使うのをやめた。


その後、お互い独身で恋人もいないことなど話した。


キムさんは高校も男子校で、その後軍隊に行ったりして、社会人になってからも女の子と出会う機会になかなか恵まれずにいたらしい。


私「でも、韓国ってソゲッティンがたくさんあるんでしょ?」

彼「する人もいるけど、自分の場合はあまりしない。」


これまでの話の印象から、彼は内向的な性格であるということが読み取れてきた。

わたしは続けて聞いた。


「じゃぁどうやって女の子と出会うの?😂」


キムさんが一瞬考えてこう言った。






「バスセンターで?」




これは口説かれているのか?





でも、わたしはヌナなので、平然と返した。




「いや、それは特殊な例だから✋」



そんなこんなで楽しく話しながら美味しく食事をいただいた。食べ終える頃に、キムさんが言った。


彼「コーヒーでも飲みに行く?」

私「うん、そうしよう!ヌナがコーヒー奢ってあげる!」



キムさんは笑っていた。



真っ赤な林檎を頬張ってないけど


ネイビーブルーのTシャツは着ていないけど



キムさんはかわいい年下の男の子。





続く……

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