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冬の朝へ

冬、晴れの日の朝が好きだった。

日の出前に目覚めて朝食をとり、コーヒーを飲みながら1時間ほど勉強をしていると、少しずつのカーテンの下から光が差してくる。
太陽が登ってきたと思ったら、クリップで止めたカーテンの隙間をちょっと覗いて天気を確認する。
光の強さから晴れだろうと思っても、空を見ると案外雲が厚かったりもするので、そういう時はカーテンは閉じたままにしておく。
せっかくカーテンを開けてもすぐ暗くなるとちょっと気落ちするから。
良い感じの晴れだと思ったら、日焼け止めを塗ってなければ急いで塗ってから部屋の電気を消してカーテンを開ける。
朝日のオレンジ色の光が部屋に入ってくると、空気が暖かく変わる感じがして心地が良い。
実際室温はそんなに変わっていないのだろうけど、光を浴びると頭がそう錯覚するのだと思う。
私の住むアパートから太陽の登る方向に高い建物が無いので、部屋には早いうちから日の光が差してくる。
それがこの部屋の良いところ。
隙間風は入ってくるし夏は熱がこもって暑いし時々住民の怒鳴り声が聞こえるし隣の部屋はたぶん事故物件だけど、朝と昼の日当たりがとにかく良いところが好きだ。
ちょっと肌寒いなってくらいの寒さの時は、窓も開けて空気を入れ替える。
夜の間に滞った空気が入れ替わって、より心地が良い。
冬は寒いので朝日がありがたく感じる。
夏になると朝でも日差しが強すぎて、ありがたいどころか辛いことが多い。
こっちゃ寝起きだぞ。朝からそんなに熱くならないでくれ!と思う。
なので夏の朝はあまり長くカーテンを開けない。
これからの春は、夏よりもまだ過ごしやすいけれど冬に比べると雨も増えるだろうと思うとやっぱり冬の朝が名残惜しい。

冬の朝に飲むホットコーヒーも好きだった。
私は寝ている間暖房を消して、朝目覚める1時間ほど前に予約で暖房がつくようにしている。
1時間程度ではまだちょっと室内は寒い。
布団からなんとか這い出たら、まず台所に移動してコンロでお湯を沸かす。
台所はさらに寒い。
お湯が沸くまでの間にトースト焼いたりカット野菜を皿に盛って朝食の準備。
ちょっと前まではトーストだけで済ましてたけど、9時くらいにはお腹が空いてしまうので、最近はサラダや夕飯の残りなども食べるようにしている。
お湯が沸いたら大きめのマグカップになみなみホットコーヒーを入れる。
何度も立ってコーヒー入れに行くのが面倒なので、朝食と勉強中に飲むために多めに入れるようにしている。
寒い寒いとなってる中で温かいコーヒーをちょっとずつ飲んでいくと、顔が蒸気でほんのり温まる感覚が気持ちが良い。

3月になった。
日が登る度少しずつ空気が柔らかくなってきている感じがして、すっかり春の朝である。
春は嫌いじゃ無い。
春の温かい空気も心地良くて過ごしやすいし、花も綺麗な季節なのでむしろ好きな方だ。
晴れた日に桜の花弁なんて風に舞ってたらワクワクして最高の気分になるのはわかっている。
でも冬が去ってしまったことに少し寂しさを感じてしまう。
寒くて寒くて容赦無く冷たくされてもうやめて〜!って日もあったけど、私結局冬のこと好きだったんだ。
冷たい空気の中を、朝日を浴びたり温かいコーヒーを飲んだりして少しホッとするようなささやかな瞬間が幸せだったんだ。

あ〜あ、もう行っちゃった。
寂しいよ。
しばらく春とか秋とかと遊んでるからさ、また帰ってきてね。
夏?夏とはほどほどに付き合うつもりだよ。
あの子すぐ熱くなるから。


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