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雨の日、バーガーショップにて

休日、雨が降っていると少し憂鬱な気持ちになる。
晴れていればシーツ洗ったり布団干したりできるのに。
低気圧で何となく体も重い。
せっかくの休みをそんな気持ちで過ごしたくないので、気分転換に昼食は久しぶりにハンバーガーでも食べようとバーガーショップへ行った。

チーズバーガのセット。
ポテトのMにホットコーヒーを注文して席についた。

向かいの席には5、6歳くらいの小さな女の子と、お母さんらしき女性が座っている。
テーブルに空のコップ、子どもの皿に少し残ったポテト。
もうお昼ご飯は食べ終わった頃のようだった。
席についてすぐ一瞬女の子と目があって、なんとなく勝手に見て申し訳ない気持ちになった私はパッと俯いて目を伏せてポテトを食べた。

私は子どもと目があって微笑み返せるような素敵な人ではないのだ。
大人だろうと子どもだろうと、ふいに目が合うと気持ち悪がられていないだろうかと心配になる気の小さい人間なのだ。

久しぶりのフライドポテトは美味しかった。
太めでホクホクしている。
口の中がちょっと熱かったので、ほっほと息を吐きそうになったけど、女の子がまだ見てるかも・・・と思ったらなんだか恥ずかしくて我慢した。
コーヒーもホットだったので口の中を少しやけどした。

「これは持っていくね。」

女の子の声がしてチラリと見ると、もう帰るらしい様子で、女の子はお母さんが使っていたカップを両手で持って立っていた。
女の子は重ねたトレーに食器をまとめているお母さんを置いて、レジ横の食器を返す棚に向かった。
棚の奥に居た店員が「ここで大丈夫です、ありがとうございます。」と声をかけると、「これ、お母さんの。」と女の子。
「お手伝いしたの。お片づけできて偉いね。」と店員が返す、そんな会話が聞こえてきた。
店員の声は丸く柔らかく、女の子は弾むように話している。
そして店を出る時、大きな声で「美味しかった〜!バイバーイ!」と店員に声をかけて女の子はお母さんと出て行った。

なんて平和なんだろう。
微笑ましすぎるやりとりに、雨で憂鬱な気持ちなんてスッキリどこかに消えてしまっていた。
胸の中がぽかぽかふわふわとしている。

私はその最中も相変わらず少し俯いてずっと机を向いていたけれど、少し幸せな気持ちでチーズバーガーにかぶりついた。
フレッシュなトマトの味がする。
久しぶりのチーズバーガーは思ったよりさっぱりとして美味しかった。