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話題の『失敗の科学』を読んだら、数年に一冊クラスの良書だったのでまとめてみる

先日、僕の人生にとって非常に多くの知見をもたらしてくれた『失敗の科学(マシュー・サイド 著)』という本を読みました。

本書は2016年に書かれたとのことですが、最近この本をおすすめしている人を多く見かけるような気もします。私も誰かのおすすめツイートか何かを見てこの本を手に取りました。ご存知の方も多いかもしれません。

世の中には誰かの成功体験や成功法則を書いた本で溢れていますが、本書は失敗談を取り上げ、深堀りし、失敗のメカニズムを徹底的に分析するという、いままでにありそうでなかった斬新な本です。


本書全体を通して、航空業界や医療業界、司法などの幅広い分野における興味深い失敗エピソードをベースに、多くの有益な「失敗論」が語られています。
そのエピソードの選定の仕方が秀逸で、まるで創作物のようにワクワク・ドキドキしながら読んでしまいました。
この本は、何かを学ぶという観点でも優れていますが、単純に読んでいて面白かったです。

この記事では、私が本書を読んで「特にハッとさせられた」有用な知見を、私の経験や思考を交えつつ、挙げてみたいと思います。

本書から得た知見

取り組みの結果が「成功」か「失敗」かわからないことの怖さ

本書は割と分厚いです。様々なエピソードと、そのエピソードから得られる知見がたくさん書かれています。しかし、実は筆者が主張していることは多くありません。
いくつかの同じ主張を、いろんな観点から、読者が腹落ちするように主張しているのです。

そのうちのひとつが、
ある取り組みの結果が「成功した」か「失敗した」か正しくわからなければ、成長が限りなく遅くなる』
という趣旨の主張です。

言われてみれば当たり前のようなことですが、意外と意識していないとこれを実践するのが難しいです。

ある施策の結果そのものを「見える」ようにする時点で、すでに簡単にはできないことが多いです。なにかを計測するのにも労力や工夫が必要です。加えて、得られた結果の分析についての難しさもあります。

でもそのどちらも実践することが非常に重要とのことです。

例えば、ある団体がアフリカの学校に教科書を配った結果、その学校の生徒の成績が伸びたという実際の事例があり、当然関係者は、教科書を配ったおかげだと考えましたが、実はそうではなかったのです。他の要因のせいで成績が伸びていたのです。(正しく要因を検証できていなかった)

ある施策に対する成果を正しく測ることは、意外と難しい。それを防ぐために、対照実験(その施策をしなかった場合にどんな結果になるのかを確認すること)の重要性が説かれています。


とにかく量をこなすことの重要性

前述の「本書の主張」は、他にもあります。

ある取り組みで成果を出したければ、頭で考えるだけでなく、とにかく試行回数を増やせ、ということです。

工場のあるマシンにトラブルがあり、そのマシンの形状の最適解を求めるときに、数学者や物理学者が頭を捻って考えるよりも、実際にいろんな形状を作って試して改善する行為を繰り返した方が圧倒的に効果が出たというエピソードがあげられていました。

また、他にも以下のエピソードもありました。

ある陶芸クラスの初日、生徒が2組に分けられ、一方は作品を「量」で評価し、もう一方は「質」で評価すると告げられた。量のグループは最終日に全作品を提出し、各自、総重量が50ポンド(約23キロ)なら「A」、40ポンド(約18キロ)なら「B」と評価される。質のグループは質のみによる評価なので、自分で最高だと思う作品をひとつ提出すればいい。結果、面白い事実が明らかになった。全作品中最も「質」の高い作品を出したのは、「量」を求めたグループだったのだ。

マシュー・サイド. 失敗の科学 (p.158). Kindle 版.


成果を出したければ、たくさんのアウトプットをして、その結果を比較して、改善するという行為が不可欠のようです。

でも、ただ闇雲に行動を取れば良いのではなく、頭を使って考える作業と、実際にアウトプットを出す作業の両サイドからのアプローチが重要、と主張されています。

個人でビジネスを0から作ろうとしている私にとって、非常にためになる知見でした。


小さなことの改善が凄まじい成果を出すこと

この本では、マージナルゲインの重要性も説かれています。

マージナルゲインについて、私は本書で初めて知りましたが、要は「大きな目標を小さな要素に分解して、その小さな要素をひとつひとつ改善することで高い成果を得られる」という考え方のようです。

こちらの記事に詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてください。

大きな目標を小さな要素に分解した後に、それぞれの要素を何度も仮説検証して改善していくことが重要というような主張がされています。


最後にひとこと

最近、本を読んだらアウトプットすることが重要だとよく聞きます。
確かに、自分の言葉で整理して書き残すことは、積み重ねていくと大きな価値になりそうです。
そのため本記事を書きましたが、慣れないうちはなかなかうまくまとめることが難しいですね。
本のアウトプットは案外時間と労力がかかってなかなか大変ですが、自分のためになってると信じて継続してみます。

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