見出し画像

【あなたのそばにもいるかも…?】絵本「たべてあげる」

新年最初は、おせちとか七草がゆなどの季節の食べ物を紹介する絵本を…と考えていたのですが、あっという間にそんな時期は過ぎてしまいました。
なので、とりあえず食べ物に関する絵本を選んでみました。(季節感は特になし)
この絵本、私は少し前(といっても1年以上前だと思います)にテレビで麒麟の川島さんがテレビでも紹介していたのを見て知りました。
ちょっとシュールなおはなしです。

食べ物の好き嫌いが多いりょうたくんは、ピーマンを食べたくありません。だれかかわりにたべてくれないかな~と思っていました。すると…

「たべてあげる」
コップのうしろから
ちいさな おとこのこが でてきました。

「たべてあげる」ぶん/ふくべあきひろ より

この男の子は、りょうたくんそっくり。『ぼくは ちいさな りょうたくん いやなものは ぜんぶ ぼくが たべてあげるよ』と、ピーマンを食べてくれました。
ちいさなりょうたくんは、次の日も出てきて、今度はにんじんを食べてくれました。嫌いな野菜を食べずに済むし、おかあさんにはほめてもらえるので、ちいさなりょうたくんに嫌なものはなんでも食べてもらい、りょうたくんはどんどんわがままになっていきました。
すると…

「たべてあげる たべてあげる」
ちいさなりょうたくんは どんどん たべて
おおきくなりはじめました。そして
りょうたくんの きらいじゃないものまで
どんどん たべてしまうようになりました。

「たべてあげる」ぶん/ふくべあきひろ より

ちょっと怖い展開になっていきます。
とはいえ、パターンとしては『りょうたくんが、「嫌いなものちゃんと食べるから、もう出てこないで!」と叫び、ちいさいりょうたくんが「もう、なんでも残さずに食べるんだよ」と言って帰っていく。そして、りょうたくんは何でも食べるようになり、二度とちいさなりょうたくんは現れませんでした』←みたいな展開になるのかな、と。

でも、この絵本、そんなわかりやすい結末ではありませんでした。気になる方はぜひ読んでみてくださいね。
私は本の紹介をテレビで見たあとに、続きがすごく気になって、何件か書店に探しに行ったのですが、置いてなくて、やっと見つけた大きな書店ではビニールがかけられていて読めず(買えばよかったのですけどね)。。隣りの市の図書館で予約してやっと読むことができました。

この絵本はやっぱり、好き嫌いが多いお子さんに読んでみてほしいです。
好き嫌いがある子に向けての絵本って、この本のようにちょっと怖がらせるタイプと、食べ物ってこうやって作られて食卓に届いているんだよという食育を学ぶタイプのものがありますよね。
子どものしつけの理想としては、怖がらせるよりは、食の大切さを教えて「こうこうこういう理由でなんでも食べたほうがいいんだよ」、というのがいいんだろうなとは思いますが、そんな簡単に好き嫌いがなくなるわけもなく。

怖~い昔ばなしが多いことから考えても、「悪いことをしたら怖い目に遭う」という考え方は昔からあるので、怖~い絵本に子育てのお手伝いをしてもらうという手もたまにはアリかなと。といっても、怖がらせるしつけも、慣れてしまえば効果がなくなると思いますが。
逆に怖がりすぎるお子さんは効き目が強すぎて、怖いのがトラウマになってしまうかもしれないので気を付けないといけないですね。

幼児さんや怖がりなお子さんは、大人が最初に読んでから、読んであげるかどうか決めた方がいいかもしれません。私は、絵はかわいいけど内容はちょっと怖い感じが、せなけいこさんの「ねないこだれだ」を思い出しました。

小さなお子さん(特に好き嫌いが多い子)に読んであげるのももちろんいいですが、1ページ1ページ目が離せない展開と、斬新な結末は面白いので小学生高学年のお子さんの読み聞かせにもいいんじゃないかなと思いました。私はまだ読み聞かせに使ったことはないですが、大人でもお話の結末にゾワっとなったので、小さい子よりブラックユーモアを楽しめる大きいお子さんのほうが反応がいいかもしれませんm。

表紙の裏、裏表紙の裏には、いろんな食べ物をバクバク食べるちいさなりょうたくんの絵がたくさん描かれているので、それも忘れずに見てほしいです。クスッと笑える感じになっています。

ちいさなりょうたくんは、なんか、ゲゲゲの鬼太郎(今なら、妖怪ウォッチ?)に出てくる妖怪みたいですね。食べ物を残してばかりいる子どもに憑りついて、子どもがが嫌いなものを全部たべてくれる妖怪”たべてあげる”。気づいたら、どんどん成長していき、最終的には○○してしまう…、みたいな。
「たべてあげる」だけでなく、「べんきょうしてあげる」、「うんどうしてあげる」といったおはなしもあっても面白いかも、と思ったりしました。

子どもじゃなくても、疲れているときなどに嫌なことをやってくれる”ちいさな自分”がたまに現れてくれるといいな、とは思いますが、毎日現れてくれると、りょうたくんみたいにどんどんわがままになったり怠惰になったりしちゃうんだろうな~。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?