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【ほっこり不思議ワールド】くうたん

不思議な生きもの「くうたん」と、ある一家との出会いを通して、家族のあたたかさを描いた傑作絵本!

講談社BOOK倶楽部 HPより

という解説がありますが、私的には「家族のあたたかさを描いていたのね…!(驚)」という感じでした。
この作品、不思議な世界観で、なんとも説明し難い”ふわふわした”読後感なんです。あたたかさも感じるのですが、それ以上に、え?どういうこと?と狐につままれたような感覚になります。きっとそれは大人になってしまったから。
幼児さんや低学年のお子さんなら、素直に絵本の世界に入り込んで、あったかーい気持ちになると思います。色んな年齢の子どもの反応を見てみたい絵本です。

あらすじを簡単に書くと。
こうたくんは庭で何かの卵を見つけます。その卵から生まれたのは「くぅくぅ」と鳴く不思議な生き物。「くうたん」と名前を付けた、そのかわいらしい生き物は日に日に大きくなり、気づいたら家に入りきらないほどに成長します。不思議な生物を目の前にする家族の対応は?そして、くうたんはどうなってしまうのか。

「くうたん」は「くぅくぅ」鳴くだけなのですが、ほんわかした表情やふわふわ感がなんともかわいらしいんです。でも、ページをめくる毎にとんでもないスピードで「くうたん」が成長するのを見ていくと、ちょっと怖くもなり、どんどん不思議な世界に引き込まれていきます。

まだ小さい「くうたん」をこうたくんとおねえちゃんがお世話するシーンなどはほのぼのするし、昭和感がある一軒家で家族と「くうたん」が過ごす風景などを見ると、なんだか懐かしい雰囲気。ちびまる子ちゃんの世界に近い感じです。
「くうたん」がいることによって、昭和の世界にファンタジーの要素が入るのですが、絵が昭和なのですごい違和感…。堅実そうなお父さんと家事をてきぱきこなしてそうなお母さんが「くうたん」を以外にも受け入れているのがシュールなんです。
特にお父さん。怪訝な顔で「くうたん」を見るお父さん。大きくなった「くうたん」を見て引き取り先を真剣に考えるお父さん。いい味出してます。
きっと真面目なお父さんなんでしょう。
いやいや、もっと驚いたり慌てたりしようよ、とツッコミたくなります。

そう、これはドラえもんの世界観ですね。あんなに不思議なロボットがいるのに、のび太のお父さんとお母さんは普通に受け入れている。今思うと、不思議ですよね。ネコ型ロボットが通りを歩いていても誰も何も言わず、タケコプターで子どもが飛んでいる姿を見ても誰も騒がない世の中。

子どものときにドラえもんを見ていた大人は、この絵本を読んで、”結局、「くうたん」ってなんなの?”なんて、野暮なことを言ってはいけませんね。
あのときのように、何も考えずに全てを受け入れて、物語の世界に入って、あたたかい気持ちになりましょう。
あぁ、「くうたん」にスリスリしたーい。


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