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衆参補選の情勢のまとめ

 10月22日に投開票が行われる衆参2補選は、今後の与野党の趨勢や、岸田政権の運営にもかかわる重要な選挙です。現状を簡単にまとめました。

参院徳島・高知県選挙区補欠選挙

 参院徳島・高知県選挙区の補欠選挙は、野党各党が支援する広田一氏と、自民党の西内健氏の一騎打ちの構図となっています。

 まずは情勢報道を見てみましょう。

 この表は、各社の選挙情勢の記述を極限まで要約したもので、形勢が良いものを暖色、形勢が悪いものを寒色として、記述の表現の差が開くほど濃い配色で塗っています。「1 先行」「2 追う」などと表記されている数字は、報道における名前順となっています。表からは、野党側の広田氏の「やや先行」以上で各社の記述が整合していることがうかがえます。

 徳島・高知は2016年に設置されてから、一度も野党が勝利したことがない選挙区です。しかし今回の補選は、自民党の元参院議員が暴力行為で辞職したという経緯もあって、自民党は大きなビハインドを負っているのでしょう。

 次に示す有権者数の分布からは、この選挙区には2つの大票田があることがうかがえます。

 このように大票田が2極存在することは、2つの県が合併された「合区」であることのあらわれです。候補者は広大な選挙区をまわりきることが難しく、合区は低投票率となりがちです。第26回参院選(2022年)の投票率は、徳島が全国最低で、高知も7番目に低い結果でした。

 この低投票率は、合区という事情から、候補者が「自らの県の代表」とみなされにくいことにもよっています。

 今回の補選では、野党側の広田氏は高知県土佐清水市の出身です。高知2区(高知市、土佐市、須崎市、宿毛市、土佐清水市、四万十市、吾川郡、高岡郡、幡多郡)から出馬した履歴もあり、これらの地域で票が伸びそうです。

 対して与党側の西内氏は高知県須崎市の出身です。両候補がいずれも高知県に基盤をもつ人物であることから、徳島の投票率はさらに低下する可能性があります。

 相対的に野党は高知で、与党は徳島で強い地域特性があるため、徳島で選挙が盛り上がらないであろうことは、与党側が状況を打開しにくい要因となっているはずです。


衆院長崎4区補欠選挙

 長崎4区の補欠選挙は、自民党の現職が亡くなったことにともない実施される選挙です。自民党の金子容三氏と、立憲民主党の末次精一氏の一騎打ちの構図で、各社の情勢報道は互角といっていい状況です。

 なお、情勢報道は慣例として形勢の良い候補が先に記述されますが、「接戦」「競り合う」などの優劣表記のない場合でも、名前順が先の候補の当選例が多いことが統計的に知られています。

 長崎4区内の最大の票田は佐世保市です。

 第49回衆院選(2021年)の投票率は、選挙区全体でほぼ均質な数字でした。

 野党側の末次氏は佐世保市の出身であり、ここで票を十分におさえられるかが鍵となりそうです。対して与党側の金子氏は、選挙区外の長崎市出身であるものの、選挙公報を見る限り佐世保市内の学校に通っていた経歴もあり、ここでの浸透を目指した攻防が展開されそうです。


 以下では、もう少し詳細な解説を行います。とはいえ、ぼくは調査のデータを内輪で横流しするようなことは好ましくないと考えているので、過去の選挙結果などをもとにして、基本に忠実なことを書いているだけです。よかったらご覧ください。*(๑˘o˘๑)*

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