三春充希(はる) ⭐第50回衆院選情報部

未来社会プロジェクト代表。様々な統計をもとに世論や選挙、社会問題を研究しています。著書…

三春充希(はる) ⭐第50回衆院選情報部

未来社会プロジェクト代表。様々な統計をもとに世論や選挙、社会問題を研究しています。著書に『武器としての世論調査』。 ツイッター:https://twitter.com/miraisyakai フェイスブック:https://www.facebook.com/miraisyakai

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果たして「野党の支持率は伸びていない」のか?

 内閣支持率や自民党の支持率が下落して、第二次安倍内閣の発足(自民党への政権交代が起きた2012年)以降でもとりわけ低い水準にあることが世論調査から明らかになっています。その一方で、「野党の支持率も伸びていない」という主張もしばしば耳にします。そうした主張は妥当なのでしょうか。3月14日までに発表された各社の世論調査をもとにして、与野党の平均の推移を描きました。 与野党の支持率 現在、与党を合計した支持率は28.1%、野党を合計した支持率は24.8%となっています。また、支

    • 空白の党――失われた1300万票を描く

       民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(2012年)の投票率は一転して下落し、現在に至る長い低迷がおきています。  図1には第45回衆院選(2009年)について、図2には最新の第49回衆院選(2021年)について、各市区町村の投票率を地図として示しました。なお、投票率には比例代表におけるものを用いましたが、小選挙区と比例代表は同時に投票が行われるため

      • 支持率の本当のみかた

         世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選挙で既存の議員を落選させて、解雇する力を秘めている点においてでしょう。既存の議員は先の選挙で議席を勝ち得た人たちです。ですから今の支持率を読むときに先の選挙との落差を見ることは、単なる「高い」「低い」という印象をこえた実力評価となるわけです。  次の図を見て下さい。この図の曲線は、原則として過去11年あまりで実施され

        • 【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

          「第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防」に掲載しきれなかった、自民党の全候補者の比例票の分布を、今回は資料として収録しています。ただし優先的に当選する「特定枠」として立候補した藤井一博氏と梶原大介氏は、そもそも票のデータがないため含まれていません。  収録しているのは赤松健氏、長谷川英晴氏、青山繁晴氏、片山さつき氏、足立敏之氏、自見英子氏、藤木眞也氏、山田宏氏、友納理緒氏、山谷えり子氏、井上義行氏、進藤金日子氏、今井絵理子氏、阿達雅志氏、神

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        • 最高裁国民審査の地域分析に関する中間報告2

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        • 今月は2つ書きました

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        • 最高裁国民審査の地域分析に関する中間報告

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        • 自民党の分析を出しました(風邪もなおりました)

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
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        • 今月は2つ書きました

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        • 最高裁国民審査の地域分析に関する中間報告

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          空白の党――失われた1300万票を描く

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           民主党政権が誕生した第45回衆院選(2009年)は、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで最も投票率が高かった選挙でした。しかし自民党が政権を奪還した第46回衆院選(2012年)の投票率は一転して下落し、現在に至る長い低迷がおきています。  図1には第45回衆院選(2009年)について、図2には最新の第49回衆院選(2021年)について、各市区町村の投票率を地図として示しました。なお、投票率には比例代表におけるものを用いましたが、小選挙区と比例代表は同時に投票が行われるため

          空白の党――失われた1300万票を描く

          支持率の本当のみかた

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           世論調査でわかる支持率とは、実のところ、人々の漠然とした気分が作り出すさざ波に過ぎないのかもしれません。そのさざ波に特別な意味があるならば、それはやがて来る選挙で既存の議員を落選させて、解雇する力を秘めている点においてでしょう。既存の議員は先の選挙で議席を勝ち得た人たちです。ですから今の支持率を読むときに先の選挙との落差を見ることは、単なる「高い」「低い」という印象をこえた実力評価となるわけです。  次の図を見て下さい。この図の曲線は、原則として過去11年あまりで実施され

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

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          「第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防」に掲載しきれなかった、自民党の全候補者の比例票の分布を、今回は資料として収録しています。ただし優先的に当選する「特定枠」として立候補した藤井一博氏と梶原大介氏は、そもそも票のデータがないため含まれていません。  収録しているのは赤松健氏、長谷川英晴氏、青山繁晴氏、片山さつき氏、足立敏之氏、自見英子氏、藤木眞也氏、山田宏氏、友納理緒氏、山谷えり子氏、井上義行氏、進藤金日子氏、今井絵理子氏、阿達雅志氏、神

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――全候補者の比例票の分布

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

          「みちしるべ」に参加すると最後まで読めます

          過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表における自民党の絶対得票率――つまり自民党に投票した人が有権者全体に占める割合を、4つの階級で表したものです。その割合は赤に近づくほど大きくなっています。  さらに次の図を見てください。これは第26回参院選(2022年)が行われた年における過疎の地域を表示したものです。  過疎は自治体の人口や財政力の要件によ

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

          次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

          「みちしるべ」に参加すると最後まで読めます

           先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき参院選の全国比例の検討をしていません。  そこで今回は参院選に関して同等のシミュレーションを行い、その議席帯の分布を明らかにしていきます。ドント式など基本的な計算は衆院選と共通するものが多いので、必要に応じて下の記事を参照してください。

          次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

          次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

          「みちしるべ」に参加すると最後まで読めます

           日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が大きく、その見積もりは重要です。  そこで今回は、各政党の地域的な勢力バランスを反映したうえで投票率と得票数が様々に変化した場合を想定し、次期衆院選の比例代表を念頭においた大規模なシミュレーションを行いました。  その結果、獲得が見込まれる各政党の議席数を、投票率と得票数でつくられる平面上の「議席帯」として

          次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

        記事

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

          過疎化する自民 自民党は都市と地方のどちらの方で強いのか。その問いへの答えとしては、ただちに以下の図を示すことができます。これは第26回参院選(2022年)の比例代表における自民党の絶対得票率――つまり自民党に投票した人が有権者全体に占める割合を、4つの階級で表したものです。その割合は赤に近づくほど大きくなっています。  さらに次の図を見てください。これは第26回参院選(2022年)が行われた年における過疎の地域を表示したものです。  過疎は自治体の人口や財政力の要件によ

          【特集】第26回参院選(2022年)自民党――過疎化する自民と地方をめぐる攻防

          これからの活動について

           こんにちは。三春です。今回は何か結果が出たというような記事ではないのですが、これからどんなふうにやっていくのかということを簡単にお知らせします。 相変わらず一人でやっていきます  活動は相変わらず一人で続けていくつもりです。ぼくは「未来社会プロジェクト代表」を名乗っているけれど、これはちゃんとした肩書きではなく、たった一人のプロジェクトをやって代表と言っているだけなんです。  ぼくの父親はコンピュータの技術者で、電話の打ち合わせで「何々のプロジェクトが……」というよう

          三春充希のプロフィール

          自己紹介 三春充希(みはる・みつき)です。発信をはじめた当初は「はる」としていましたが、2019年に本を書いた時、ついでに名前も出すことにしました。  もともとは理科系の出身で、大学では化学や物理を学び、大学院では宇宙や天体を研究してきました。東日本大震災や政権交代などがおきた2010年代前半の社会状況のなかで、政治と関わる必要性を感じ、科学研究の経験を活かして世論や選挙をデータにもとづいて考える試みを始めました。現在もそれを「未来社会プロジェクト」として続けています。

          次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

           先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき参院選の全国比例の検討をしていません。  そこで今回は参院選に関して同等のシミュレーションを行い、その議席帯の分布を明らかにしていきます。ドント式など基本的な計算は衆院選と共通するものが多いので、必要に応じて下の記事を参照してください。

          次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション

          次期衆院選比例代表「議席帯」シミュレーション

           日本の国政選挙では、衆院の37.8%と参院の40.3%の議席が比例代表で決められます。割合としては半分に及ばないものの、中小規模の政党は議席を比例代表に依存する割合が大きく、その見積もりは重要です。  そこで今回は、各政党の地域的な勢力バランスを反映したうえで投票率と得票数が様々に変化した場合を想定し、次期衆院選の比例代表を念頭においた大規模なシミュレーションを行いました。  その結果、獲得が見込まれる各政党の議席数を、投票率と得票数でつくられる平面上の「議席帯」として

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          【特集】第26回参院選(2022年)公明党――組織票の実像に迫る

           公明党の票が減少傾向にあることは過去に幾度か取り上げてきましたが、はじめにもういちど確認しておきます。参院選の選挙区と比例代表のそれぞれについて全国で集計した得票数を図1に示しました。  党勢をより良く反映するのは、赤色で示した比例代表の側です。選挙区の票は候補者の擁立状況によりますが、公明党は現在、全ての一人区と二人区で独自の候補の擁立を控えて自民党に協力しているため、全国の票を集計しても不完全な結果しか得られません。対して比例代表は全国が一区とされており、各党が日本の

          【特集】第26回参院選(2022年)公明党――組織票の実像に迫る

          神道政治連盟の組織的集票力の推定

           神道政治連盟に関しては、これまで自民党の支持基盤の一つとしてしばしば論じられてきたものの、その集票力を具体的に描き出した例がありませんでした。今回はそれを実現したので結果を示します。 神道政治連盟 推定15万7051票の分布  これは、神道政治連盟が推薦した候補の票をもとにして行った推定で、それぞれの候補がもつ固有の支持層の影響を排除して、純粋な組織票を捕捉したものです。全国の票数は、15万7051票と推定されました。  以下では推薦候補の票の分布を個別に示し、推定の

          神道政治連盟の組織的集票力の推定

          【特集】第26回参院選(2022年)共産党――疑惑の「ゼロ票」

           前々回にあたる第25回参院選(2019年)のできごとなのですが、共産党のある候補者の得票数がゼロと集計された自治体がありました。このことは投票した当事者によって、自身の票が計上されていない問題があると指摘され、自治体との訴訟になりました。この裁判は高裁まで進み、今年1月に原告らの訴えが棄却されています。  裁判の反響は大きかったようで、この問題をデータの面から検証してほしいとの要望を、今年になってからしばしば受けました。今回はそれに可能な範囲でこたえつつ、選挙のデータを見

          【特集】第26回参院選(2022年)共産党――疑惑の「ゼロ票」

          衆参補選の情勢のまとめ

           10月22日に投開票が行われる衆参2補選は、今後の与野党の趨勢や、岸田政権の運営にもかかわる重要な選挙です。現状を簡単にまとめました。 参院徳島・高知県選挙区補欠選挙 参院徳島・高知県選挙区の補欠選挙は、野党各党が支援する広田一氏と、自民党の西内健氏の一騎打ちの構図となっています。  まずは情勢報道を見てみましょう。  この表は、各社の選挙情勢の記述を極限まで要約したもので、形勢が良いものを暖色、形勢が悪いものを寒色として、記述の表現の差が開くほど濃い配色で塗っていま

          【特集】第26回参院選(2022年)NHK党――最多の候補を立てた政党

           第26回参院選(2022年)の選挙区で最多の候補を擁立した政党――そのように聞くと、少なからぬ方が自民党を思い浮かべるのではないでしょうか。けれどもそれはNHK党です。  NHK党は2013年に設立された「NHK受信料不払い党」にルーツを持ち、6年間で首都圏を主とする市議会や区議会に拡大した後、第25回参院選(2019年)で国政に乗り出します。そうして成功をおさめたのは、れいわ新選組の事例とともに、それまで政党要件がなかった政治団体が現行の全国比例で当選者を出した初のでき

          【特集】第26回参院選(2022年)NHK党――最多の候補を立てた政党

          日本保守党の見立てについて

           今月はまだみちしるべに成果をのせられていないので、つなぎとして一つ記事を書くことにしました。ですから今回は主に内部での公開とさせてください。NHK党の分析にはもう少し時間をかけて、今月中に出すようにしたいと思います。  最近は、百田尚樹氏らが結党を計画している日本保守党について質問を受けることが増えています。そこで今回は、まだ結党もしていない段階ではあるものの、これまでに存在した保守政党や極右政党のデータを参考にしながら、この政治団体に検討を加えることにします。  これ

          日本保守党の見立てについて

          内閣改造で支持率は上がっていないのでは

           今週末に新たな調査が発表されると評価は変わるかもしれないですが、現時点では、内閣改造に前後して支持率が上昇したとはあまり思われません。その理由を述べます。  内閣改造の後に実施された緊急世論調査は、これまでに3つ発表されています。読売と日経はほとんど変化がなかったのに対し、共同通信の数字は大きく動きました。  なぜ共同通信だけ大きく動いたのでしょうか。その一因として考えられるのが質問の変更です。  内閣に対する支持・不支持を聞くときに、読売は「あなたは、岸田内閣を、支

          内閣改造で支持率は上がっていないのでは