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プロセス工学による「問題発見・解決」、「未来創造」とは

プロセス工学による「問題発見・解決」とは何かを理解するため、まずは「問題」とは何かを定義する必要がある。

問題とは何か?

ここでは問題には二つの種類があると考える。

  • 「顕在化している問題」: 理想と現実の乖離やギャップとして認識されている問題。

  • 「潜在的な問題」: 我々が認識していない問題であり、顕在化している問題の根本原因。

理想と現状との間に乖離が生じるのは、原因となるプロセスが存在するため

顕在化している問題は、潜在的な問題から生じるプロセスの結果である。

「プロセス工学による問題発見・解決」、「未来創造」とは何か?

プロセスとは、通常、「自然界のものを加工、処理し、有用な原料や材料に変えること」と言われるが、ここでは、「現在の状態を理想的な状態にするための最適な工程、手順、経路など」という意味で使用する。

現在の状態は、過去からのプロセスの結果である。したがって、プロセスを分析することで、顕在的な問題(理想と現実の乖離)の根本原因である潜在的な問題を発見することを「問題発見」。理想の状態に達するための最適なプロセスを構築し、解決することを「問題解決」と言う。
また、未解決の社会問題などを解決するプロセスは、未解決の問題が解決された新しい未来を築く過程、つまり「未来創造」(企業にとっては新規事業)となる。

プロセス工学による「問題発見・解決」の事例

具体的な事例を考えてみましょう。例えば、息子がサッカーの試合から帰ってきて、そのユニフォームを洗濯しても、汚れが落ちないという問題があったとする。

なぜ汚れが落ちないのか?
洗濯物を入れすぎたのか、洗剤を間違えたのか、洗濯機が調子悪かったのか、など様々な要因を考えたが、解決できなかったとする。

なぜなら、本当の問題、原因を特定できていなかったためである。

「問題発見」のプロセス

では、どうするのか?
現在の汚れだけでなく、その汚れが発生したプロセスを見てみる。
汚れがどのようにして発生したかを調べると、息子がサッカーの帰りに自転車のチェーンが外れていたため、そのチェーンを元に戻す際、チェーンの油がユニフォームに付着したことが分かった。要するに、汚れの真の原因は泥などではなく、油であったのである。

「問題解決」のプロセス

本当の問題が分かれば、次はそれをどのように解決するかである。
このためには洗濯のプロセスについて理解する必要がある。
洗濯とは、汚れたユニフォームからきれいなユニフォームと汚れを分離するプロセスである。汚れをユニフォームから分離するためには、ユニフォームの繊維より、汚れ吸着するものが必要となり、その役割を果たすのが洗剤である。
その汚れが泥でなく、油だと分かったので、泥を吸着する洗剤でなく、油を吸着する洗剤を使用したら良いのである。
問題さえ、分かれば、ほとんど解決できたようなものである。

注)ここでのプロセスは問題発見から解決へのプロセスを理解するために、簡略化した事例であり、実際のプロセスとは異なる。

この様に、プロセス工学を活用することで、科学的に本当の問題を発見し、最適な解決策を構築する手助けができる。

問題を明確化することが重要な理由

先程は、汚れが落ちないことを問題とした。
問題を、理想と現実の乖離、ギャップと定義すると、

  • 理想:汚れが落ちてきれいになる

  • 現状:汚れが落ちない

となり、汚れが落ちない原因を追求し、汚れを落とすプロセスを構築した。
ところが、理想と現状を下記の様にした場合はどうでしょう。

  • 理想:きれいなユニフォーム

  • 現状:汚れたユニフォーム

つまり、問題はきれいなユニフォームがほしいのに、汚れていることとなる。
この場合、必ずしも、汚れを落とす必要はないかもしれない。
汚れたユニフォームは処分し、新しいきれいなユニフォームを購入すると言う解決策も考えられる。

現状の上下のプロセスを考える

この様に、問題をどの様に捉えるかによって解決策も大きく変わる。
従って、まずは、問題を明確化することが大切である。

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