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正統派男役と言われて

≪前回の記事はこちら≫



「聖夜 椿」は正統派男役、と言われていた。
ノーブルな立ち姿やしぐさ、憂いを帯びるまなざしで圧倒的な人気らしい。




「この人を知りたい」

そう思い手にした歌劇をしげしげ眺め、読みふける。


つい先日観劇してから、椿のことが気になって仕方がなかった。

あの作品はコメディーだった。
あの人はおもしろいタイプなのかな。
そう先入観をもった私にとって、椿が「正統派男役」と言われていることに違和感を感じる。


いったいいままでどんな作品を演じてきたんだろう。


歌劇はほとんど文章ばかりで、写真といえば普段着のポートレートが多い。
舞台写真も少しはあるが、現在上演中のものや終わったばかりの公演、しかもほとんどモノクロだ。


これじゃなんにもわからない。


スカイステージのスケジュールを開く。

上から下へつつーっと目を通すと、やっと椿が過去出演した作品がみつかった。
かなり前の作品らしい。
最近上演した舞台はまだDVDでの売り上げを伸ばしたいのだろう。
みつかったのは椿がまだ下級生のころの作品だった。




主演は私も知っている。
前に好きだった人が在団中すでに活躍していたスターさんだった。
作品名も聞き覚えがあった。
あの当時たぶん同時期に上演されていたような気がする。


この作品のどこに出ていたんだろう。
まったく印象ないんだけど。

そう思いながらスカイステージの再生ボタンを押した。




作品を見終わると、なぜかどっと疲れていた。
宝塚ってこんなに疲れるものだったかな、そう思いながら今見た作品を振り返る。


たしかに出ていた。
椿はその作品の中にいた。
セリフもあった。


そのセリフはただひとこと

「ありがとう」

たったこれだけだった。


重要な役をやっていたとは言えない。
かといって通行人よりは各段に上だった。


作品の中で出演していた(と思われる)時間はほんのわずか。
私はこの作品について全く予備知識が無かったため、椿が出るのはいつどこなのか全く見当がついていなかった。

再生ボタンを押してからというもの、私は目を皿のようにして画面にくらいついていた。


やっとみつけた、と思ったらすぐいなくなった。

何度か巻き戻してチェックする。
やっぱりこのシーンが椿にとっての一番の見せ場らしい。


「これじゃ正統派かどうかわからないじゃない」
ため息と同時に眠気が押し寄せてきた。



宝塚歌劇には年間スケジュールがある。
インターネット上にある公式ページを見ると、その一覧を見ることができた。

すると椿が所属する「虹組」の文字が見えた。


「地方公演があるんだ」

椿はこのあと全国をまわる。
過去作の再演で。
私は自分のスケジュール表をあわてて取り出した。



現在公開されている宝塚の年間スケジュール。
今年の前半だけでもかなりの公演数。
チェケラ(´っ・ω・)っ



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