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のんびり鎌倉紀行 一条恵観山荘/七番『光触寺』/八番『明王院』

 紫陽花——

 そう。私たちは紫陽花あじさいが見たかったのです。

 6月の鎌倉、といったら紫陽花。そもそも、鎌倉、といえば紫陽花。そのくらい、鎌倉の紫陽花は名物であり風物詩です。

 昨年は明月院に行きました。

 紫陽花で有名なお寺と言えば、まずは明月院です。
 『のんびり鎌倉紀行』のスタート初日に訪れています。

 なんとこの旅、初めてから1年経っていました。

 花や季節に応じてゆっくりのんびり周りましょう、と言っていたのは確かですが、まさか1年以上かかるとは思っていませんでした。
 しかも、結願どころかまだ半分も廻っていない状態です。

 思えば、感染症流行の切れ目を狙って少しずつ外出を始めたのが昨年6月。その後、この5月にはほぼアフターコロナといっていい状況になったのを機に、お寺に行く回数も着実に増えています。とはいえ、やはりコロナ禍の傷跡は大きい――

 お寺が「開いているか、いないか」「御朱印が再開されているか、いないか」などを考えながら回っております。とはいえ、このごろは、ずいぶんコロナ禍前に戻ってきているのを感じます。お寺に行っても必ず誰かがいますし、観光のお寺は、かなりの人出です。

 さて今回、わたしと空ちゃんは紫陽花の見ごろを狙って計画をたてておりましたが、昨年より早いと見越した紫陽花は意外にも例年並みで、まだ咲きそろっていないことが判明。街の中は紫陽花が咲いているので、お寺はさぞかしと思っていたのですが、そうでもないのです。

 そこで急遽、路線変更。

 以前から気になっていたこちらに行くことにしました。

 一条恵観山荘いちじょうえかんさんそう。庭園が美しいと評判のお屋敷です。前々から行きたいと思っていたので、こんな日は行くにはうってつけ。

 詳しいことはHPをご覧いただきたいと思いますが、もともとの建物は江戸初期に建てられた京都西賀茂の一条家別邸の離れでした。恵観公自身が設計をした皇族の「茶屋」、とHPに説明があります。国指定重要文化財です。

 中でお抹茶とお菓子のセットをいただくこともできるとあって、私も空ちゃんも気分は上々、張り切って向かいます。

本日も空ちゃんの写真たっぷりでお送りしたいと思います。

入り口。拝観料500円です。
入り口を入ってすぐのお庭
中に川があり、「お屋敷」と思っていると
想像以上に広いので驚きます。
ありました!紫陽花
こちらは西洋紫陽花でしょうか。
入ってすぐのお庭を出ると
おもてなしスペースのように
紫陽花が出迎えてくれます。
手水の中には蟹
斑入りの紫陽花。
ちょっと珍しい
享保年間に当時の天皇が行幸した際
通った門、と説明がありました
丸太がそのまま使われています
庭園内の小さな小川
ここにも蟹
「アナベルの小径」
ここを下っていくと
「滑川」という川に出ます
鎌倉市内を通っている川です

紫陽花はまだ咲きそろっていません
かふぇ「やまももてい」。
「楊梅」と書いて「やまもも」
と読むんですね
Caféの隣には
丸窓と鏡面の部屋
あじさいじゅーす!
下に ↓
バタフライピーのジュースと、和菓子
こちらは空ちゃんが選びました
私はオーソドックスに
お抹茶とお菓子のセット
ベランダのようなものがあります
おしゃれ~
苔むした階段をくだると
川があります
「滑川」
お屋敷の中に川が!
と驚きますし
なんとも心地のよい
せせらぎの音に包まれます
川の方からCaféを見上げると
こんな感じ
みやびです
水量は多くはありませんが
音が涼し気
梅でしょうか
川の傍には
憩いのスペース
「猪目」っていうんですね
これが「猪目」
なんともファンシー
庭の中に小さな滝
ガクアジサイ
再び階段を上り順路を進むと
東屋のようなところが。
ここにも紫陽花が
なんと、スマホ立てを発見!
自撮り用
こんな感じで撮れます
至れり尽くせり
庭の土に植えてある紫陽花だけでなく
設えられたおもてなしの紫陽花
とこどころに
こんな手水が


一条恵観山荘、「わざと鄙びた感じを演出する野趣があり、とにかく雅」という印象でした。緑が鬱蒼としている様子は、ちょっと別世界。そして「映え世界」。カメラマンや趣味で本格カメラをされるかたが沢山いらっしゃってました。

 カフェでお茶していると落ち着きすぎて、午前中なのに動きたくなくなるほど。
 空ちゃんとHPを読んでいたら、もともとは京都の一条邸の「離れ」だったところを鎌倉に持ってきた、というので、

「離れは離れでも、京都の離れを鎌倉に、ってずいぶん離れた離れだよね」

 と思わず笑ってしまいました。
「離れ」というか、まあいわゆる「別荘」なんですが。

 カフェの方に聞いたところによると、今の時期は西洋紫陽花が咲いていて、庭に植えられているヤマアジサイやアナベルはこれからなのだとか。紫陽花はまだまだ楽しめそうですし、どんな季節に来ても「映え」そうです。

 もみじが多かったので、きっと紅葉も素晴らしそうだね、と、空ちゃんと再訪を誓いました。


 さて、充分堪能した後、お腹も程よく空いてきたので(「えっ、さっき、まったりとカフェでお茶してましたよね?」という声はスルー)、一条恵観山荘からほどちかい、こちらのお店にいってみることにしました。

 地図上ではとても近いので、迷うことなく向かったのですが、途中から突如民家の立ち並ぶ道に入り「そろそろこの辺に看板でも」と思うのになかなかお店らしいものが発見できず。さらに奥へ奥へと細道を進むので、正直「こんなところに本当にお店があるの?」と不安になりました。

 しかし細道の行き止まりに、ありました。
 もうめちゃくちゃ素敵なカフェ。

 残念ながら空席がなく、もう少し待てば13:30にテーブルが空くと言うことで、食後行こうと思っていたお寺を先に回ることにしました。予約が必要な人気店だったんですね。

 さて、もともと計画していたのは「明王院」。ですが、ここからほど近い場所に「光触寺」があります。「光触寺」さんは、コロナ禍でしばらく御朱印もお休みでしたし、以前来たときは夏休みで、行ってはみたもののお参りだけをして帰ったことが何回もあるお寺です。

 これはチャンスかもしれないね、ふたつまわってちょうどいい時間だし、ご縁があるならお参りができ、さらには御朱印もいただけるかも――ということで、さっそく「光触寺」さんに向かいました。

 お寺についたところ先客がいらして「ああよかった!」と思ったのですが、なんと「12:00~13:00」が昼休み。待っていらしたかたは、御朱印が出来上がるのを待っていらっしゃる午前中最後のお客様(?)だったようです。

 どうしよう、せっかくここまできたんだけれどと思いながら、先客さんの後ろをうろうろしていましたら、住職さんが「御朱印承りますよ。1時間も待つのは大変でしょう」とおっしゃってくださって、その時はもう「仏!有難や!」と思いました。

 お昼のお休みを返上して御朱印を書いてくださった住職さん。「光触寺」さんでは、御朱印帳を書いて納経札を出すと、必ず読経して返してくださるお寺です。台風が来ているのを感じさせる少し荒々しい風もふいていましたが、まだその風は爽やかで、清々しい気持ちになりました。

 御朱印は300円。
 受け渡しのとき、住職さんが「どこからおいでですか」と尋ねてくださったので、横浜からです、と答えたのですが、少しだけ、遠くからじゃなくて申し訳ないような気持ちになりました。きっと遠方から来て待つのは大変だろうと融通を聞かせてくださったのだろうに、いつでも来られるような近場の人だったわけで・・・すみません。
 とはいえ住職さんは「ああそうですか。今日はそちらからの方が多いなあ」と言ってくださいました。ううう。ありがとうございます!


「光触寺」さんは時宗のお寺
入るとすぐ両脇に普通のお墓があります


台風の前で空がまだ青いですね
一遍上人さんの像が見えます




 さて、次に向かったのは「明王院」です。
 こちらはお不動様(不動明王様)。真言宗のお寺です。

 さて皆さま覚えていらっしゃるでしょうか『鎌倉殿の13人』。昨年大ヒットの大河ドラマですが、こうして新しい大河が始まるともうずいぶん昔だったような気になりますね。

 しかし鎌倉では『鎌倉殿の13人』の関係者及び関係各所にしょっちゅう出会います。それはそうです、お膝元。この明王院は1235年、鎌倉幕府四代将軍藤原頼経ふじわらよりつねにより建立されました。

 はい、皆さん。思い出してください~。
 声優・山寺宏一さんが「慈円」役を務められて、ものすごい長いセリフを早口で2回も繰り返した場面があるのを。

 最終回も近い第46話「将軍になった女」。
 実朝が暗殺され、次の将軍をたてるためにそれぞれの思惑のある中、京都から慈円が極秘に鎌倉にやってきた場面。

 慈円「我が九条の一門、道家公の三男、虎の年寅の月虎の刻の生まれ故三寅と呼ばれておる。(中略)源頼朝卿の妹君が一条能保よしやす卿に嫁がれ、その長女は月輪関白兼実つきのわかんぱくかねざね公の子、後京極摂政良経公ごきょうごくせっしょうよしつねに、そのまた次女は大宮大納言公経きんつね卿に嫁ぎ、その姫君が後京極摂政の子である道家公に嫁がれ、その間に生まれたのが三寅様にござる」

 義時「???———申し訳ない。もう一度、お願いいたします」

 慈円「源頼朝卿の妹君が一条能保卿に嫁がれ、その長女は月輪関白兼実公の子、後京極摂政良経公に、そのまた次女は大宮大納言公経卿に嫁ぎ、その姫君が後京極摂政の子である道家公に嫁がれ、2人の間に生まれたのが三寅様にござる」

2回目は猛スピード。さすが山ちゃん。
ノーミスで1回でOKが出たシーンだとか

 そう。この名場面の中に出てくる「三寅様」こそ、四代将軍頼経さんです。摂関家と頼朝さんとの遠縁であり、慈円とも縁浅からぬ間柄だった頼経さん。鎌倉に来たときは2歳と幼かったので、後ろ盾である政子が尼将軍となりました。

 その三寅様が建てた由緒あるお寺がこちらの「明王院」。「鎌倉殿」である「将軍の発願」によって建立されたお寺の中で鎌倉市内に現存する唯一の寺院、とHPには説明があります。詳細はWEBサイトをご覧ください。

 御朱印は500円。
 御朱印をお願いするときに初めて、私たちは「本堂」と「観音堂」が別々だということを知りました。住職さんが親切に教えてくれました。なんと、ずっと本堂だけをお参りしていた我々。観音様、お許しくださいませ。

 こちらのお寺でも、御朱印を受け取る際、住職さんが話しかけてくださいました。ご縁日が二十八日と十六日で、午後にすべてのお不動様を公開しているのでぜひ来てくださいね、とのことでした。

 なんか最近、わたしたちお寺の住職さんとよく話すようになったよね、と空ちゃん。たしかに話しかけてくれるよね、最近、と私。

 「もしかして、ベテラン感が漂ってるんじゃない??」←勘違いも甚だしい。

由緒正しい感じが出ている
敷地も広いです
猫がいました

 そんなこんなで明王院を後にして、いよいよsawviそうびさんに向かいます。  

糀の飲み物
ふたりとも、季節のセット
「豚生姜焼き定食」
お肉がすんばらしく柔らかかったです
「飲むアップルパイ」と説明があった
温かいりんごの飲み物
ジューサーにかけるので100%天然果汁
空ちゃん曰く
「コンポートをレンジで作ったときに出る
汁?つゆ?スープ?のような感じ」
空ちゃんはこれ大好きーと言っていました✨
入り口の看板もオシャレ
まさかこんな場所に?
というようなところにオシャレな店が出現
5周年を迎えられたそうです

 sawviさんは、糀を使ったお料理のお店。
 メニューも多く、ボリュームたっぷりで大満足でした。
 5周年で色々なサービスをしていらっしゃいました。
 記念のシュークリームもあり、お土産に購入した空ちゃんが「美味しかった!」と絶賛していました。


 こちらでは、パフェ付きのコースもあったのですが、実は空ちゃん、今回鎌倉でぜひ食べたいパフェがある!ということで、こちらのお店を出た後、腹ごなしをしながら(といってもさすがに遠いのでバスに乗りましたが)、小町通り方面へ。

 目指したのはこちらのパフェ。


紫陽花のパフェ


 私は、もうお腹がいっぱいで食べられなかったので、カフェラテをいただきました。空ちゃんによると、抹茶のアイスクリームは最高に美味しく、かたつむりのビスケットも可愛い!でも最下層が抹茶アイスじゃなくてババロアで、その上もアイスではなくクリーム多めだったのがちょっぴり残念、とのことです。

 さ。
 今日も今日とて楽しい鎌倉めぐり。

 本日の行程は終了。
 大満足の旅でした。

おまけ
一条恵観山荘のおもてなし
蝶がいました

All photo by 空
(一部みらっち)


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