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医者とユーモアの関係。

自慢しているのではない。

私の父は医者である。
そして父母、両家の親(つまり祖父祖父)も医者である。母方の祖母の家も遡って医者家系、父も医者家系………。
つまり親戚縁者医者だらけ……

「なんで医者にならなかったの?」と聞かれることがよくあるのだが逆に聞きたい
「そんな簡単になれると思ってるの?」

父の周りの医者仲間の息子や娘たちで医者になった人は一握りにすぎない…この時代にそんなに簡単に医者になれるかよ。

父やその前のご先祖様の時代の進学率を考えてくださいよ…今は生まれる前から英才教育、
「医者にしよう」と強い意志がないと、その道には進めない。

カシコなんて、
医者の家以外にも山ほどおるやん。
それに勤務医と開業医で子どもに投入できる教育資金も桁違いであろう。

まあ、そんなわけで父の「子どもは自由に」の想いもあって我々兄弟は好きなことをさせてもらったので誰も医者にならなかった。

しかし、医者に囲まれた環境。
医者にはいろいろあるけれど、おもしろさをかなぐり捨てて勉強した者の集まりである。

たまに飛ばすダジャレに
「やーだー!お父さん、なにそれー!」
と娘にめちゃくちゃ気を遣わす程度のおもしろさである。

「悲しませたくないの、だってHSPだもの…みつを。」
HSPについてはこちらを参照ください。
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もなか(最中)のことを「さいちゅう、さいちゅう」と言って真面目に間違い?ギャグ?どっちなん?と迷わすほどのレベルである。
「おもんな」なんて言えない…
なんか笑ってあげなきゃ…って思わせる
カシコのギャグ、ほんま気ィ遣うわ

*****

5年ほど前になるが、
夫が鼠径ヘルニアになった。大まかにいうと腸が腹膜からはみ出して出てくるのだが、(ブラマヨ小杉がなってる)春の花粉でくしゃみ連発、
腹圧がかかりすぎて出て戻らなくなり大きな病院で診てもらうことになった。

手術をした方がいい、
ということで簡単な手術だし大きな病院はがん患者の手術の順番待ちで空きがないという理由で家の近所の中程度の大きさの病院で腹腔鏡手術をしてもらうことになった。

外科担当の院長先生は腹腔鏡手術を初期の頃からやっていてなかなかの技術者であることがわかった。

手術も終わっていよいよ退院となった時、
エレベーターの中で院長先生と一緒になった。
「ありがとうございました」とお礼を言ったら
先生が
「鼠径ヘルニアはひとつ塞ぐと別のところから出てくることがあるから気をつけてね…」と言ったので
とっさに、

「それって、桐の箪笥みたいですね!」


………と、いつもの調子で言ってしまった。
静まり返るエレベーター内……。
くすりともしない院長…。
あ、不謹慎ですか…スミマセン…と思った。

*****

この話をすると、みんな
涙を流して笑ってくれる。
でも医者は笑ってはいけない。
ものすごく大変な仕事だな…と思う。

*****

わたしが乳がんになった時も、
担当の先生に毎回渾身のおもしろ回答を飛ばすのに
「アハ……アハ……笑っていいのかな?」
と聞いてくる。
「笑っていただけます?」と何度も言ったが、
手術前には絶対に笑わなかった。

アレ、めっちゃ我慢してるよなぁ…


看護師さんの話によると、
医師は患者さんへの気遣いがハンパないそうで
朝早くから夜遅くまで気遣いしまくり、
笑うなんてとんでもない。

笑ってしまって、
「今、笑いましたよね!」と噛みつかれることだってあるだろうと思う。

手術前日の夜に絶妙に面白くないカシコが言う
“ゆーもあ”(あえての平仮名)を言った時にようやく先生とわたしの間に流れる溝が埋まった!…と思った。

あの手術前の診察室での渾身のおもしろ回答、
笑って欲しかったよなぁ。患者の方が気を遣ったっちゅうの。

#医者とは
自分もあんまり他人を笑わせられない代わりに、
笑ってもいけない職業なんだなぁ…と思った。
なんだか切ない。


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