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手術から9ヶ月。

夏だ!
先日、誕生日を迎えた。

もうすっかり時が経った感があるのだが、
乳がんの手術をしてから9ヶ月しか経っていない。

去年の今頃は会社の健康診断を受け、
48歳にしてはものすごい健康値を叩き出していて、
夏のデザート作りに勤しみ、自分は健康と信じて疑わず日々をめちゃくちゃ楽しんでいた。
自作のコンポートで自分の誕生日に自分でケーキを作ったくらいである。

知らない間は「がん」など存在しないも同然。
知ってしまったから「がん患者」なのである。


先週、腫瘍マーカーを含む血液検査をしてきて
先生に「ものすごく健康だよ!」と太鼓判を押していただいた。やはり年齢の割に数値は正常だった。
もっとコレステロール値とか尿酸値とか血糖値とかいろいろ問題抱えてる人もいるだろうが、
私は至って健康なのである。

がんサバイバーだけどね!


次は3ヶ月後にCTとマンモグラフィ(残ってる方のおっぱいだけね。左は肋骨だから)の検査を予定している。

ホルモン治療もずっと継続中で3ヶ月に一度の検診は
自分が「経過観察中」の身の上で病人であることを認識する日でもある。


待ち合いで待ってる人々のこれから起こりうる事象の
大まかな予測もつくようになってしまった。

一連の流れを自分も味わったからだ。

がん……という言葉の破壊力は想像を超えてくる。
まさか自分が?…とは思わなかったけど(子供の頃から
老成してたんだよな…自分自身に起こった現実に「そっかー」とどこか客観的に見てしまう癖がある。)

自分に起こったことに関しては、前向きにいられるのに待ち合いで待ってるこれから告知されるであろうご夫婦や告知されて、これから深く精密検査をする人には
「どうか無事であってくれ」と願ってしまう。

綺麗事を言うつもりもないが
誰かが病気になるのが辛いのだ。

私に関して言うと、
乳がんになって落ち込んだことがなかった。
ありがたいことに趣味が山ほどあったし死ぬ前に
埋めておきたい知的好奇心もあったし、
「がん告知ハイ」と呼んでいるのだが、
今まで欲しかったけど「高いしな」と思ってたものを
どんどん買ってしまった。

特にカンペールのブーツは
「幽霊なったら履かれへん」とさっさと二足も買ってしまった。

手術後しばらく経って、
「あれ?これ死なないヤツじゃね?」と認識するまで
「死」がいつも自分にまとわりついていたように思う。結局、有給処理してもらった金額分散財して、
がん告知ハイは収まった。


今現在、復職して不思議な心持ちである。

こないだ「非正規雇用」の人が乳がんになって、
投薬で良くなるのに「お金がかかる」という理由で
治療をやめてしまう事例が多いというお医者さんの
コラムを読んで複雑な心持ちになった。

がんは生きる病気になりつつあるのだが、
生きることのみでアップアップしているのだ。

日銭を稼ぐ家業、
パート、アルバイトは休めば何も入ってこない。
最低時給が東京で1000円超えるって話題になってるけど計算してみるとワーキングプアには変わりない…。
死活問題。
日本っていつからこんな国になっちゃったんだっけ?
…とあらためて思った。

なるべくがんに罹患した人がお金を気にせず治療を受けられる国にがん以外の病気でも健康に生きられるように制度が整えばいいのに…と思う。

年金もあるんだかないんだかわかんない状況だもんね…やっぱ依頼心を捨てて自分の身を自分で守るしかないのかなぁ…などと思ってしまう。

私はいったい幾つまで生きるのだろうなぁ…。
そんなことを時々考えている。



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