彼にワルツを、わたしに餌を
好きだと言ったら好きだと返してくれる相手がいいし、好きだと言われたら好きだと返したくなる相手がいい。
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追い込まれると余計に殻に籠るタイプの彼にいま縋ったところで、勝算など欠片もないことは分かっていたから、一言も異を唱えずに手を離した。理性で女を選ぶ彼の態度を寂しいと思わないといえば嘘になるけれど、わたしはそれ以上に、愛に我を忘れる人のことを好きになれない女だから、きっとこれでよかったのだろうと思っている。いま理性を維持して手を離せる程度には、彼のことをちゃんと好き