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ドラマで勉強「虎に翼」(第18週・第90話)

今日の航一さんの告白は重かったですね。
告白というより懺悔かな。

「総力戦研究所」の存在は知りませんでした。

何度もシミュレーションを重ねた結果、敗戦必至であること。
その報告が「これは机上演習であって実際の戦争とは全くことなる。研究に関する諸君らの努力は認めるが、この演習の結果は政府の方針となんら関係ない」と一蹴される。

航一さんは「その後、机上演習をなぞるように進み、日本は敗戦した。流石に原爆投下は予測できませんでした。」とつなげる。

今、占いの講座を受講中。
そこで出た話題とリンクしました。

占いは「当たる・当らない」を求められます。
占い師が言うのもなんですが、全てを当てることなど出来ない。
当たるも八卦当たらぬも八卦。

「もし、全てを見通す力があったらどうだろう?」という先生が問いました。

自分の人生の終末まで見えてしまう。例えその間に良いことがあったとしても、終わり・結果、つまり死を知ってしまったら人は発狂すると思う。だから占いでは生死は見ないことになっています。先が分からないから生き甲斐や楽しみを見出せるから。

「その後、机上演習をなぞるように進み、日本は敗戦した」

航一さんは「全てを見通せる人」になってしまったのだ。
結末を他人に言うことは出来ない。
目の前で自分が予言(想定)した通りのことが起きる。
もうそれだけで耐えられなかったことだろう。

「自分を信じられない」と言っていたけど「自分が嫌い」ということかな。
自分を嫌いなまま生きるのは辛いよな。

航一さんは何度も「ごめんなさい」と言っていた。
その都度、微妙に意味は違ったと思うけど「戦争を止められなくてごめんなさい」と同時に「生きていてごめんなさい」ということだろう。

これを告白された人達も複雑だったと思われる。
確かに航一さんのせいじゃない。でも人は誰かのせいにして心を落ち着けたいのだから。本当に戦争は行き場のない悲しみと怒りしか生まない。

新潟は原爆投下の候補地だったはず。
少し調べたら本物の原爆を落とす前の訓練としてテスト用の爆弾で「模擬原爆」を実施し新潟の長岡市、柏崎市、阿賀町に落とされ、合計6人の命が失われました。

8月1日は長岡空襲があり、ドラマでも取り上げられていました。
もうすぐ8月6日(広島)、9日(長崎)の原爆の日です。そして15日の終戦の日。

確か憲法記念日とドラマの内容が重なっていた気がするので、意図的にこの時期に合わせたのでしょう。

戦争は全く罪のない人の命を奪い、大切な人を失った人にも傷を残したけれど、航一さんのように「ひょっとしたら止められたかもしれない」側にいた人の傷もあった。傷しか残さない。

戦争を始めた人は確かにいるのだけど、庶民的にはいつの間にか、誰かが戦争を始め、いつの間にか国の為に動くことになり、いつの間にかお国のために死ぬことが美とされた。
今、考えれば全てが狂っている。

始めた人の家族や親戚は戦地にも行かず、安全な場所にいるのだと思うと本当に腹立たしい。まずお前の妻子供を戦地に送り出せ。これは美輪明宏さんがコンサートの度に言っていたことだけど、本当にそう思う。

昔「バトルロワイヤル」という本がヒットし、映画にもなりました。

架空の国の中学3年B組が毎年ランダムに選ばれ、無人島に送られる。
様々な戦闘具を与えられ、殺し合いをさせられる。最後の一人になったらゲームオーバーというストーリー。

殺し合いには全く意味はない。「そういう国」で「たまたま選ばれた生徒」というだけ。

誰もが「嘘!嫌!そんなこと出来ない!」と最初は抵抗するのだけど、ほんの数ページ進むと既に殺し合いが始まっていた。それが何より恐ろしかった。

戦争は相手がいないと出来ないのだけど、こちらが「戦争はしません」と言っても、攻撃されてしまえば戦わざるを得ないのか・・・

バトルロワイヤルでも、恐怖に飲まれた一人が「死にたくない」と友達を殺したのがスタートだった。

ドラマで一貫しているのは「諦めたらダメ」「怒りを忘れるな」ということだと思う。
前回の記事で書いたけど、寅子の諦めの悪さ、もがく姿。そして怒り。

幸いにも平成・令和の現在、日本は戦争をしていない。
しかし世界のどこかで戦争はある。人ごとだと思ってはいけないのだ。

戦争がない世界をどのように作ればいいのか、正直わからない。
それでも寅子の言うように「私に出来ることはないのだろうか?」と考え、出来ることがあればアクションに移す。

歴史から学べるはず。なぜ戦争が起こったのか。その前に映像や記事が残っているのだから、どんなことがあったのかを知る。

戦いには必ず相手がいる。だから相手を知ることもしなければならない。戦争には信仰も利権も絡んでいるので宗教や政治や経済も知らないといけない。「知る」「知ろうとする」ことはとても大切なんだな。

これを書きながら日本とアメリカで原爆投下に対しての見解が違うように。同じ事実を見ていても解釈が違うことを思い出した。

解釈の違いの一つには歴史があるだろう。代々と親や先生、国から語り継がれた価値観が根っこにあるので、良い悪いという話になると決着がつかない。

だから「知る」と同時に「自分なりに考える」ことが大切になってくる。

「虎に翼」の初回で「妻の無能力」というパワーワードが出て、法律に興味を持った。義務教育で法律を取り入れても良いと思った。
自分の身の回りに興味を持ち、知り、考える。普通のことだけど忘れてはいけないと改めて思った。

普通の人間関係においても「相手を知る」ことから始めるのだ。
そして「恐怖」や「不安」に心を乗っ取られないことも大切。このネガティブな気持ちを利用することこそマインドコントロール。

Lighthouseへのイタズラも、人種差別も、弱い立場の人がやられてしまう。
セクハラもイジメもそうだ。

今、ハラスメント問題が逆に振れ過ぎて、これはこれで窮屈なこともあるけれど。
一人の怒りは大きな立場の人からみたら小さもの。小さな怒りも何個も集まり、何年もかけて声を上げるところまできた。

穂高先生が言っていた「雨垂れ石を穿つ」の雨垂れの一粒でも決して無駄ではない。最後の一撃の役目の人はいるが、それまでの雨垂れがあってこそ。

航一さんはずっと悔いていた。まだ戦争が終わって10年も経っていないので生々しい傷だろう。
だけど、この先もずっとずっと悔いていたらナルシストになってしまう。

航一さんは子供の養育の為に法律家として働いているようだが、手元に置いて可愛がって育てている様子は伝わってこない。

昔LOVE & PEACEが流行ったように、愛と平和はセットだといいな。満足な治療を受けられず亡くなった奥さんの死を悔やむのもしょうがない。だけど、子供との関係にも距離を置いてしまっているのが残念。愛を与える相手がいるのに。

でも子供がいて良かった。きっと子供がいなければ、義務がなければ航一さんは生きることを放棄したかもしれない。

あの髪型は目を隠す為では?誰とも目を合わさずにいたい、ということではないのかな?

「こんな話をするるもりじゃなかったのに」と航一さんは言った。

人は重すぎる十字架を、重すぎる気持ちを飲み込んだまま生きられない。吐き出したい。そして誰かに「もう十分だよ」と言われたい。

話すつもりじゃなかったけど話した航一さんの中の"命"が少しだけ「生きたい」と光ったのかもれしたのかもしれない。

寅子の「航一さんの抱えているもの、少し分けてくれませんか?私たち誰しもに何かしらの責任があることだから。だから、バカの一つ覚えですが、寄り添って一緒にもがきたい。少しでも楽になるなら」は覚えておきたいセリフ。

寅子のモデルである三淵さんは原爆裁判をされたそうです。
きっとそこまでドラマで描いていくのでしょう。

そして来週は美佐江が「なぜ、人を殺してはいけないのですか?」とスッゴイ問いかけをしている。

「ミステリと言う勿れ」で整くんが言っていましたが「人を殺してはいけない」という法律はないんですよね。道徳や倫理観などで平時は「そりゃいけないよね」と思われているもの。

もし「人を殺してもOKですよ」となったら、一気にバトルロワイヤルの世界になりそうです。
伊藤沙莉さんは風呂光刑事役で出ていました。
その時も「法律にないんだ!」と思った。

来週の展開が楽しみだし、寅子はどう答えるのか。


タロットに「罪悪感」を表現するカードがあります。
「ソードの9・残酷」。
血が滴っているので自傷を表現しています。

7月30日、今日8月2日、続けて出ました。

同じことは書けないので、ちょっと変えて書きました。

見るからに痛たそうです。
このカードが出る時、その人は「もっと自分に出来たことはなかったか」「私の何がいけなかったのか」と考えています。
とても心優しい人です。

だからこそ「もう十分です」と告げるし、なんなら「誰かのせいかもよ」というアドバイスになります。実際そうだから。

ソードは剣で神経などにも例えられます。
タロットで「9」の次は「10」。「11」はない。
「9」で引き返さないと「10」の完全終了になってしまいます。

絵的に「9」でも痛いので「10」は本当に神経(精神)が終了になる。

過去は変えられないから、ある程度振り返って、反省するところがあれば反省したら、次に行く。あの時出来なかったことがあれば、未来にやればいい。

他人を傷つけたらダメだけど、自分を傷つけてもダメなのです。
どうか存分に「私は悪くない」と人のせいにして、心を休めて下さい。


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