20話 三日坊主は悪くない

昔から、物事が続かない人に対して、三日坊主と呼ぶ。
物事が続かない人は1日でも嫌なのに、3日も続けたのなら立派だと思う。
何かを習得したいと思うならば、毎日コツコツ続けることは大切だ。
しかし、そのことによって、プレッシャーに押しつぶされる人も多い。
毎日ではなくても、少しずつ、気が向いた時にすれば、長く続けられることもある。

ピアノのレッスンも同じように考えても良いと思う。
大学時代まで、ピアノのレッスンが辛かった。
毎日練習しても、先生の思うように弾けないと怒られる。
だから、毎日練習をしたくない、ピアノを弾きたくないと思う。
それでも、レッスンまでに練習をする。
ピアノを弾くことが好きだからではない。
怖いからだ。
今でも、曇りの朝が苦手。
木曜日が嫌い。
それは、ピアノのレッスンで怒られた日だから。
曇りの日はピアノが重く、気分も重く、さらに、片頭痛があって上手く弾けない。
その上、ピアノの先生が機嫌を損ねやすいのも曇りの日だったから。
いつからだろうか?
怖いからピアノを弾くのではなく、好きだからピアノを弾くようになったのは?
25歳だ。
この年、人生を考え直す怪我や病気に悩まされた。
右手の粉砕骨折、リハビリ兼ねて1年も上手くピアノがひけなかった。
その上、顔面麻痺、右耳の神経にヘルペスが出来、難聴、味覚障害になる。
ここで初めて、音楽が奏でられないことへの恐怖が生まれた。
上手く弾くとかの問題以前。
音も出せないのだ。
フルートは唇が動かないから音が出せない。
指は広げられないから、スムーズにピアノが弾けない。
このまま、二度と音楽が出来ないのでは?と思うと怖くて、夜中に飛び起き、涙を流していたこともあった。
あの時から、少しでも音楽を続けたいと思った。
たとえ1年休んでも、もう一度挑戦しようと思う気持ちも大切。
今は、毎日、長時間ピアノを弾くと、胸膜のガンがこすれて痛くなることがある。
だから、自分の体調を見極めながらピアノやフルートを練習している。
好きだと思える範囲で物事を続けられるなら、それで良いと思う。
強制的に毎日することは良い結果を生まない。
三日坊主は悪くない。
三日でも続けられたのだから。
休んでも、好きなら続けられる。
何度でもやり直しが出来るのも生きている証。
後悔しないように自分のペースを見つけて欲しい。

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