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教師の多様性。

今年の専門学校の2年生は、6クラス。

1年生は、

なんと17クラス😱

しかもひとクラスに42名以上。

どんだけ増えてるの!


3月に大事件がありました。
勤務校の専門学校で
主任の先生がお辞めになったのです。

ひとり辞めたくらいで、と
思うかもしれませんが、
ここは退職者がほとんど出ず
顔ぶれが10年以上変わらない
学校です。

一人ひとりが家族のような
存在なのです。


その中で、
コロナ禍の一番大変な時に
各教師がオンラインで授業しやすいように
IT面をきめ細かく設定して下さった
細身の男性の先生でした。


この先生の国籍は
中国でした。

よくいる他の中国人のように
表情があまり無いのが特徴で、
仕事が丁寧で早く
優しい気遣いの出来る方のため
皆からとても親しまれていました。

その悲報にショックが大きくて
教師中で嘆いたものです。


この学校は学生が多国籍のため
スタッフも様々な人が
働いています。


中国人、ネパール人、ミャンマー人、
スリランカ人、ベトナム人。

日本人なら、英語がペラペラな人。


こちらの方々は主に
ご自分の国籍と同じ学生の
通訳や各種書類作成の補助などを
行なっています。


だけど、
主任教師となると
また質が違いますね。


自分が担任となるクラスをまとめ、
当然その中には
別の国籍の学生もいます。

日本人の教師も
まとめる必要があります。


その中で
誰にでも親しまれた
人望のある先生でした。

寂しいものです。


4月。


新1年生があまりに多いので
専任、非常勤ともに
新任の先生がいらっしゃいました。


専任の新任教師の中には
中国人で
担任を行なう先生も
いらっしゃいます。


細く小さくて可愛い
一生懸命頑張っている
「女の子」という形容がぴったりな先生で、

ついつい応援してしまいたく
なります。


もう一人、
日本人のお名前なのですが
お話してみたら

あれ?中国人訛りがある、

と思った先生もいらっしゃいます。


その先生はある日、学生と
ペラペラの中国語で
お話していました。


きっと帰化されて
日本人名に変更
されたんでしょうね。


私、こういった先生方の存在は
すごく良いと思います。


日本語「を」教えるのが基本の
日本語学校なら
正確できれいな日本語を話す教師が
求められるでしょうが、

こちらは
日本語「で」教える
専門学校のため
基本より応用に重きがありますし、

留学生で帰化したい学生は
たくさんいるからです。

それは発展途上国からの
学生だけでなくて、
中国人の中にもいます。

自由がなくて
自分の発言が
何かに影響するんじゃないかと
毎日怯えて暮らすのが嫌だから、と


母国にいた方が裕福でも
日本人になることを
希望する中国人学生は
少なくありません。


こういった学生たちに
この先生方はとても、
良い影響を与えると思います。


自分だったらどうするかな?

国へ帰るかな?

この先生みたいに
日本で仕事するために
頑張ろうかな?

日本に長く住んだら
帰化しようかな?

母国の名前を捨てて
日本人名にしようかな?

それとも親からもらった名前を
死ぬまで大切にしようかな?

先生はどれだけ頑張ったのかな?

ここまで来るのに何が
大変だったかな?


たくさん大切なことを
考えるきっかけになると
思います。


それは留学生が
中国人じゃなくても同じです。



10年以上前の話ですが、
日本語教師になるために
学校へ通いました。

一般に日本語教師養成講座
と言って
420時間以上、授業を受けます。


この中で私が一番尊敬する先生は
韓国人でした。


日本語の専門家である
教師となる日本語ネイティブを
韓国人が教えるのです。

すごいでしょう?

他のどんな先生よりも熱心で
日本語に、
発音指導さえ含めて精通されていた
当時、40代前半の女性の先生でした。


この先生の授業は
まるで魔法でした。



日本人なら何かを覚えさせるために
ガリガリとテストをやりますが、
この先生の授業に参加すると
授業内で自然と重要事項を
覚えてしまうのです。


かと言ってゆっくりと
授業が進んでいる訳でもなく、
苦しい気持ちもない中で
気づいたらたくさんの内容を
我が身に取り込んでいる。


学校では教育実習の担当教師を
選べました。
この韓国人先生は厳しくて有名でしたが
私は迷わず彼女の希望を出しました。


集まって来た実習生たちは
学校でも有名な方ばかりでした。

内モンゴル人ちゃん、
韓国人ちゃん、
その分野では有名な映画監督、
ロック歌手......。


実習では
集まってくれた留学生に
実際に授業を行なう前に
実習生や先生の前で
模擬授業をするのですが、

このグループは多国籍で
真面目な実習生も多かったので

先生、実習生ともに
忖度ない厳しい意見が飛び交って
悪夢を見るほど辛くも、
とても学びになりました。


私たちは学校のない日でも
何度も集まって模擬授業を行いました。
自分で言うのもおかしいですが
熱心な、
目が燃えている集団でした。



今、私は
ゴマスリかもしれないけれど
留学生に
「先生の授業は頑張れる」
「時間が経つのが速い」
「面白い」などと言ってもらえます。

それは一つには私が
この韓国人の先生の
日本的ではない教授法に傾倒していて、
今だって

「あの先生だったらどうしたら
 分かりやすく教えるかな」

と思いながら教えているから
だと思います。


そこに
英国や米国で感銘を受けた
外国人英語教育のやり方にも
いまだに影響を受けていて、


本来の私が持っている
日本的な教授法の良さと相まって
特異な教え方をしているからだと
思います。


日本人のきめ細かい
教授法を決して
否定する訳ではなくて、


異質だ、という意味で。



この韓国人の先生と私は
SNSで繋がっているのですが、
何年か前
先生が帰化されて
お名前も日本人名に変更されたと
知りました。


私は本来の先生の
韓国人名も美しくて好きでしたが、
先生が望まれた日本人名なら
それはそれで良いと思います。


多様性が与える好影響は
決して少なくない。


この先生に出逢えたことや
英国や米国で英語教育を受けた経験は、
今だって役に立っていて
それは私の貴重な財産です。


だから
私の教え子たちも
たくさんのバックグラウンドを
持った人に出逢って
宝を作り続けて欲しい。


多様性って、いいな。

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