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今はまだ夢の途中。

何度も繰り返し読んでいる本のひとつに、『パリの国連で夢を食う。』があります。

著者の川内有緒さんが東京のシンクタンクで働いていた31歳の時、パリの国連で働くチャンスを掴んで渡仏し、そこで働き、生活する5年半を綴ったエッセイ。やりたいことや夢と愚直に向き合い、現実とのギャップに悩み、自分はどう生きたいのかと自問自答するさまに、何度も励まされています。

以下、とても素敵だと思った文章の一部です。

どこか特定の組織で働くといったような代替不能な目標を立てて、そのハードルの高さに思い悩むよりも、今この瞬間にその足を軽やかに前に出して泳ぎだしてごらん、というシンプルなことだ。別に不器用な泳ぎ方だっていい。それよりも、日々積み重なる「今日の自分」という経験ほど、絶対的なものはない。(中略)「今日」をきちんと生きていれば、いつしか点と点がつながって、未来の岸辺に続く道になる。

『パリの国連で夢を食う。』あとがきより引用

私も、新卒で憧れだった機関に就職した後、現実と理想とのギャップに悩んでいました。どの組織も素晴らしい理念を掲げているものですが、ブランド力が高く外からキラキラして見えているほど、中の現実の泥臭い部分とのギャップは、大きいのだと思います。

その頃、「〇〇で働いている自分」にアイデンティティを置きすぎるとよくないな、と感じ(もちろんそれもとても大事なことではあるのだけど、重要視しすぎて周りが見えなくなったり、そこだけに囚われたりすると危険だという意味です)、それ以降は、自分自身の「しっくり感」により目を向けるようになりました。

どんなことにも、泥臭いことやしんどいことはつきものです。それを加味してもやりたいと思えること、頑張れること、そして、自分にうそをつかずに素直に生きられること。そっちのほうが、大事なんじゃないかな。

「夢」や「目標」は、叶えた後は思いのほかあっけないし、燃えつきてむなしい気持ちを感じてしまうことすらある。でも、不器用ながらでも自分なりに進んでいると、ある日、過去の「夢」が、新しいチャンスを運んできてくれることがある。大事なものを分かち合える人と繋がることができたり、自分らしくいられる時間が、増えたりもする。

誰と比べることもなく、自分の大切な「夢」を、手放すことのないような。それを守れる世の中になってほしいな、と思う。



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