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0802.彼らに、わたしたちの声は届かない


『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?これからの経済と女性の話』


はあああああああ。ヤァバァァァァァァい 笑。
これだから本を読むのをやめられないのよな、と思う。ほんとうは、経済の話もジェンダーの話も読みたくない。ぶっちゃけ。

わたしはわたしなりに、女性であることの良きことも悪しきことも、美しい面も醜い面も受け入れて、折り合いをつけて、いまこの人生を歩んでいる。
ままならないこともあるけれど、顔を上げて、なるべく笑って。

それでも、心のどこかではずっと胸が痛いのだ。
「女性であることが苦しくて生きづらい」とかではない。ないのだけれど、大きななにかが….個人的なだれか男性、とかではなくてもっと圧倒的な、抗えないような暴力的な流れというものがたしかにそこここにあって、

それは弱いほうへと、まずは女性へと、そして子どもへと、その非人間的な冷酷な残虐さのしわ寄せが、いまも世界のどこかで絶えず起こっているということを、ひしひしと感じるその痛みが消えない。



この本について、だれかに勧めて、そのだれかと語るのか。
このまま自分の中でゆっくりと醸造させてべつのなにかになるのか。
それとも語り合えるような場をつくるのか。

ちょっと今の時点ではわからないのだけど、わたしを動かす力がすごくって、動かないわけにはいかないなあ、と、まとまらない頭なりに思っている。

戦争を、経済や政策の文脈でさもわかったように語るのが、理性的で知的だとされているこの世界は、半分なんだよ。男性たちだけに見えている世界だ。
交渉とか落としどころとかで語られている時点で、女性とは見えているものがちがう。

わたしはその、さも整合性をとっているかのような理論を、まじめに聞く気にもならない。茶番と思っている。女性の涙を拭うこと、子どもが青空の下で自由に走れること、それ以上に大切なものがあるかのように語るのをやめろと思っている。

市場経済、金融政策、領土問題だのなんだのを分析し、解析し、解説し、話し合うふりして世界を動かしているような気になっている肥大したエゴとエゴをぶつけあっていないで、花を植えろと思っている。

でも彼らには届かない。
女性の体はモノで、強奪できるもので、子どもは資源で、女に産ませて洗脳すればよくて、
花? 花ってなんだ? バカか?

という世界にいる彼らに、わたしたちの声は届かない。


それに絶望しながらも、なんとかなけなしの希望のカケラを拾い集めて生きているというのに、こういう本を読むとやっぱり、触れられたくない心の場所が開いてしまってつらいのだった。

つらいのをつらいままでいるのは悪いことではないけれど、わたしは次世代の男の子を育てる親なので、そこにだけ一筋の希望を持っている。

あなたにはペニスがある。
あなたのペニスはきっと、あなたに「もっともっと、もっと欲せよ」と身体の内側から強く訴えかけてくるだろう。

あなたはとてつもない射精の快楽を知っている。
もっと激しく動きたい。もっともっと大きく硬く強くしたい。遠く遠くはるか遠くまでどこまでも飛ばしてみたいし、世界中にそれを撒き散らして植え付けて、自分が生きた証を叫びたいと願うだろう。
なにかを得るなら、自分を切磋琢磨して、戦って戦って、そして勝利してそれを手にしたいと思うだろう。

けれど、あなたのいのちがどれだけ強くそう叫んでも、いつでもあなたの目の前にいるのは、モノではなく数字ではなく空気ではなくトロフィーではなく、おなじいのちある存在なんだってことを、どうか忘れないでいてほしい。

あなたの身体は、あなたの力は、あなたの強さは、
この世界のどこかのだれかが見えないところでたえず気にかけ、心を配り、ケアしてきたその美しい結晶として存在しているのだから。
それなしでは、ほんとうは、ひとときも存在できなかったのだから。

どうかそれが見えるひとになってほしい。
見えないものを、ないことにしないで、
小さな声を、ないことにしないで、
ほんとうに大切なものを、ほんとうにその手で慈しめるひとになってほしい。

わたしの元に生まれてきてくれた、小さな美しい男の子へ。


これも楽しみ。
ひゃくたけえりさん、教えてくれてありがとう!買ったよー。



2022年1月スタートのライティング・ライフ・プロジェクト第11期生、満席です。ありがとうございました。



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