387.おれにはおかあさんがきれい。と彼は言った
今日は夜になるのがとっても楽しみだった。なぜなら、ベランダに”ソーラーライト”なるものを飾ったから！
ちょっと前につうりアニキ（年下だけどアニキ感がハンパないので）宅のお庭でバーベキューや焚き火をやった日に実は感動したことがあった。それは、お庭の木々や葡萄棚（ぶどうだな！お庭に、ぶどうだなが！）に飾りつけられていた可愛いまるい電飾たちが、日が暮れたあとに静かに瞬きだしたから。
聞けば太陽電池が内臓されたソーラーパネルで昼間に蓄電しておいた電気が、暗くなると自動点灯する仕組みだという。なにそれ、なにその「かわいくってラクでエコ！」みたいな、「かわいくて料理上手で、しかもエロい！」みたいな、かんぺきな仕様は！！と、まあそんな感じで感銘を受けて「ぜひウチにほしい！」と思ってそっこうで注文していたのだった。
説明書を見たら「まずは電源をオンにして日のあたる所に設置します」からスタート。なんだけど、電源ボタンがオンになっているのかオフになっているのかまったく押してもわからない.....ので、何度かカチカチ押したのち最後には「こ、これがオンの状態でありますように」とイチカバチかみたいな賭けにならざるを得なかったのを除けばすごく理想的なイルミネーションで、まじで「あの状態が正しくオンであり、うまく充電されていますように.....」と祈りながら夜を待っていたのであった。
祈りのかいあってか、無事点灯しました。みてみて！か、かわいい.....。
右方向から。天井におしゃれに吊るすとかそういうスキルはないので、ただベランダの手すりにぐるぐると男らしく巻き付けてみた。
左方向から。けっこう長さがあって、ベランダの端から端までいけてる！
きれいに点灯したので、「点灯式するからおいで。コーラ開けていいから」とかんくん（小5息子）を呼びつける。点灯を祝ってコーラを飲む後ろ姿。
「すごいでしょう？きれいだと思わない？」と浮かれて問いかけるわたしに、彼はこくりとうなずいて「うん。きれい」って答えた。そしてかんくんは続けてこう言ったのだった。
「あかりもきれいだし、おれにはおかあさんがきれい。あかりをつけてくれた、おかあさんの心がきれい。」
と、ちょっと照れくさそうに。いや、ホントに。実話だからね？これ。
ちょ、ま、まじかよー。プロかよー。
おかあさん、ひざから崩れ落ちそうになったじゃんかよぉ.....。
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そういえば、コイツ、昔からこういうプロ感があった。
同じ野球チームで仲良しの女の子（かわいくてスタイルが良くて笑顔がかわいくて運動神経がよくて、バッティングセンスがハンパない、チームのキャプテンのまどかちゃん）と遊ぶので、ふたりでコンビニにお菓子を買いに行ってくる！というシチュエーションのときに、彼がさっとわたしの元にやってきて小声で「おかあさん、1000円ちょうだい！」と耳打ちし、電光石火の速さでわたしの財布から千円札を抜き取ったのち、非常にスマートに
「まどかはお金持っていかなくていいよ。おれが払うから。なに飲む？」
とまどかちゃんに言い放っていたのを思い出した。たしか3年か4年のときだったと思う。すごいなぁ。なんか、このまま進んでほしいような、どこかでとんでもないダメ男になっていくところも見たいような、複雑な気持ちになっている。
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でもこのベランダのきらきらは、夜にお風呂上がりにベランダでビールを飲むのが好きな最近おつかれ気味の旦那さんに、きれいなものを見せてあげたいと思っての、わたしからの”ちいさなサプライズ”なのでした。本当は。
くくく。涙が。良い妻すぎて涙が....。前世でどれだけの徳を積んだらこんな良い妻と出会えるんだろうか（こういうとこ残念な）。
だから、あかりをつけたわたしの心がきれいというのは、あながち間違いではないんだぞ、息子よ。
旦那のびっくりする顔が見たいので、引き続き「今日の夜はなんだか楽しみ」なのだった。
ちなみに、これを買いました。ちいさな幸せを買った感じする。
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