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パパのオレ、オレになる?! 第17話

エピローグ

「本当に?!そんなことになってたの?俺の結婚式で?!え、じゃあ今日はもちろん祐二のおごりだろ?!」

祐二が社長をする「転職前のパパと子どもの冒険留学」サービスのサイトに並ぶ祐二と俺の写真を見ながら真柴が目を丸くする。

真柴の結婚式があった次の春。4月の半ばに久しぶりに拓海が東京に来るということで、真柴と拓海、広瀬、俺の5人は「酒肴 なごみ」に集まった。

あれから俺は、祐二と一緒に働いている。

パパという役割を頑張るために、自分を抑えすぎて自分が分からなくなってしまったパパ。
会社員という役割を上手に演じすぎて、自分の本音が分からなくなってしまったパパ。

そういう人たちの転機の時に、「パパ」や「夫」、「部長」や「課長」という役割と両立して、「オレ」を生きるきっかけを作ったり、「オレ」としても生きる背中を押す仕事だ。

祐二がこの仕事を始めたのは、俺と同じような経験をしたからだと聞いた。

だからこそ俺たちはこの仕事を通して、仕事、家族、自分のどれも犠牲にすることのない幸せの実現を、俺たちなりの形でサポートしようと日々奮闘している。

実際に、俺たち家族もイキイキしだしたと思う。

毎日ではないけど俺が在宅勤務をするようになったことで、理沙は毎日お迎えのために急いで帰るプレッシャーから解放されたようだし、自由に曜日を選べるプランで会社帰りにたまにヨガに通うようになった。

さらに、俺はときどき受け入れ先の開拓に翔太を連れていくようにもなったので、前に祐二が言っていた通り、その間に理沙は一人時間を満喫しているみたいで、いつも快く送り出してくれる。

その時は、だいたい一泊二日とか短い期間だけど、俺自身が翔太と一緒に実体験をするのも心からの喜びを感じるし、その体験をもってお客さんに良さを伝えられるという仕事上のメリットもあって、今が本当に楽しくて仕方がない。

1年前には想像ができなかった俺が今ここにいる。

そんなことを、パパになることが決まった真柴に語ってしまった。

翔太に誇れるように、育児を頑張るパパたちに向けて、俺はこれからも仕事をする。

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

1組でも多くの幸せ夫婦を増やすために大切に使わせていただきます。ありがとうございます。