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民話で独りコラム ~多国籍企業の難しさと 『言葉の選び方』~


 今回はちょっと民話と離れるかな~、でも『言葉の選び方』に思うところがありましてこのテーマでちょっと独り言を。

 親族に欧州資本の多国籍企業に勤めているものがいます。その彼からの話なのですが・・・

『会議は数か国のマネージャーがネットで意見交換や報告をするんだけど、うちの会社、エストニアのロシア国境に近いところにも工場があるんだよね。で、会議で出席するエストニアの代表、そしてその工場の多くはロシア系なわけ。社長があまりこの工場の人たちを刺激したくなくて「今回の紛争に関しては・・・」と始めたら、他の国のマネージャーたちからブーイングが飛んで大荒れ。なかには「これを紛争なんて言葉で公の場で言ってるのは2か所だけだ。一つはロシア政府、もう一つはうちの会社だ!」と言っちゃうのもいてさ。』

 おぅ、そうだね。君が正しいよ。それをバッサリ社長に言えるのが素晴らしい。

 とにもかくにも、なかなか座り心地の宜しくない会議だったようで。

 さらにポーランド代表の親戚も「これ、ポーランドで同じこと言ったら、ロシア側についてると取られますよ」と参戦。

 確かに、ポーランドはこの戦争、明日は我が身なので国民の反応もすごい。ロシアでまだ商売を続けると言った会社の売り上げは、ポーランド国内でことごとく落ちています。(カード会社の調査で証明済み)

 商売を続けると言ったフランス系のスーパー、スポーツ用品店、ホームセンターなんてものすごいボイコットにあって、店の前でも不買運動のアクションがとられています。とにかく、ロシアから撤退しないといった企業はすぐにブラックリストで公開され、マヨネーズ一つをとっても別の企業のものを買うべし、という風潮があります。

 社長は社内で問題を起こしたくなかったそうですが、すでに彼の言葉の選択で問題を起こしてしまったようです。

 ある国が他国を突然侵略し始めた「戦争」を、あたかも二か国が同じレベルでもめているような「紛争」と言ったためですね。


 この言葉の本質問題 、Pochipicoさんの記事で「そうそう」という記事がありましたので張り付けちゃいます。えい!


 さて、この揉めた会議。結局社内全体ではノーコメントでスルーするとして、各支社で扱うようにというところで妥協点を探ったそうですが、話によれば、別の支社同士で「あのエストニア支店にはロシア人が多すぎる。どこまで情報流せるのか」という、まぁ、そんなんで会社として機能するのかしらね、というような話になっているとか。


  多国籍企業、これって本当に平和時の会社の在り方なんですね。

 さて、仕事上とはいえ、それなりに付き合いがあったはずの人たち。会議でエストニア代表のロシア人の言動については聞きませんでしたが、きっと多くの支店代表がうっすらと距離を取ったと思います。このエストニア代表本人の立ち位置は知りませんが、やはり「何人」「何語を話す」というのはいろんな意味での判断材料にされるんですね。

 ちなみに、エストニアのエストニア人の名誉のために言えば、彼らは一生懸命ウクライナ人を助けております。が、ロシア系住民が多数を占める町になると、ウクライナ人の子供の幼稚園入園拒否、エストニアに住んでいたウクライナ系の住民が、親戚の難民を呼び寄せても家を貸さないなど地味な嫌がらせが多発しているそうです。その工場でも、プーさん支持を表明する従業員が結構いるそうで、さて、どうなることやら。

 

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