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スラブ世界の天地創造 第3話


 先日から注文していた本などがつぎつぎと手元に届き、他にもやることあるのだけど、読まずにはいられない。生物学的には立派な大人なので優先順位が先のものを片付けていても、意識が本の方へ向いてしまう、、、って、人間の中身が成長してないのでしょうか。
 と、手元に読みたい本をかかえつつ、その他もろもろの仕事を片付けておりますので更新の乱れ、ご容赦ください。

 それでは、スラブの天地創造の続き、いってみましょう~!
その①とその②はこちらから。


 黒神は偉大かつ、鋭い知性も持ち合わせていたのだが嫉妬心も並大抵ではなかった。初めての大地での夜、白神がいびきをかきながら寝ているその横で、彼は寝付くことができなかった。
 横になりながら、黒神はどうやって自分一人が全能の神になれるのか、と頭の中で計画を練っていた。そしておもむろに起き上がり、白神に静かに近づくと、そっと水の中に突き落とそうとした。しかし、白神を転がすとそこには新しい土地が出来、白神が海の中に落ち込むことはなかった。
 まず初めに、白神を東の方に押しやった。するとそこにはステップ草原が広がった。次に西に押し出した。そうすると、白神が一回転するたびに花咲き乱れる草地が広がった。南に押せば山と谷、北には雪を被った山頂と氷で覆われた岸が広がった。
 努力が無駄となり、怒りに震えた黒神は白神を叩き起こした。
 「兄弟よ、起きるがよい!広がり続ける新たな土地を祝福せねば」というと、白神は
「もう祝福したさ、君が私を四方向に転がした時にね。だから我々も日々の生活の中で祝福を揚げようではないか――パンに」
(注:だからパンに初めてナイフを入れるときは表面に十字を入れ神々が四方を祝福したように我々も四方向、十字をいれるという説もあるそうです)
 
 両者は仕事に励んだ。白神は植物や動物を創り、黒神はそれに倣った。白神が香る花を創れば、黒神はいばらの草木を、甘い木の実が創られればその横に苦みのある草を、麦ができるとその周りに雑草を茂らせた。そして白神は白い羊、黒神は狼を創造し、ミツバチに対してスズメバチ、蝶には蚊が創られ、役に立つ蛇や爬虫類に対しては毒蛇や海の魔物が生まれた。
 このように一方では心が温かくなるモノを、そしてもう一方では恐怖を呼び起こすモノが創られていった。

 白神は広がり続ける大地に不安を覚え始めた。いつか海の生き物たちの場所を全て奪い、最終的に自分が大地の上で作り上げたものをも破壊するのではないかと考えたのだ。白神はこの点を黒神に尋ねるが、黒神は気にすることはないと言い捨て、すぐに離れていった。黒神の態度を怪しく思った白神は、間者としてミツバチを送り込んだ。
 黒神はこのままだと大地がすべてを覆いつくし、世界は火と水のあいまで崩壊するのを知っていた。そして白神が持っている杖で大地の上に印をつけ「既に満ち足りた」と唱えれば、迎えうる悲劇を食い止めることができることも。
 黒神が狼にこの秘密を話しているのを耳にしたミツバチは急いで白神に伝えようと飛び立った。しかし急ぎ過ぎたため、その羽音を黒神に気づかれてしまった。白神の間者では、と考えた黒神は捕まえようとしたが、指の間から何とか潜り抜けたミツバチはその折にお尻の針で黒神の手を刺した。黒神は唸り呪った。
「今、この時からお前をここに送りこんだものは、お前の排せつ物を口にするがよい。そしてお前は、その針を刺した時がお前の死ぬときとなる」
 
 ミツバチは戻って白神に聞いたことを伝えたが、呪いのことは一切言わなかった。しかし、全てを見通していた白神は、ボロボロになっていたミツバチを祝福し、この時から不死の蜜が創られるようになった。しかし二つ目の呪いだけは何ともできなかった。
 白神は黒神が狼に話していた通りにすると、大地はその拡張を止めた。そして大地の中央に位置する山に登り稲妻を起こし頂きにある岩を砕いた。その時、その頂きに「生命の木」ができた。この木オークの根は遥か地下、水のさらに下まで届きそこでまもなくNawiaナヴィアが創られることなっていた。上の方では、枝が空高く広がり、その頂きで白神はWyrajヴィライを創った。そこでは火の鳥が目を光らせ守りをしており、選ばれた魂をここに連れてくる役目を担っていた。
 生命の木は育ち、我々の世界他続く限り大きくなり続けるだろう。

 補足:
 ちなみに、今の私たちの感覚でいうとNawiaは死者の魂が行き着く場所、いわゆる冥界にちかいものがあります。
Wyrajは天上界に相当し、ここにたどり着いた魂はまた生まれ変わる、輪廻の思想があります。

 個人的には、黒神が狼を創造して、この時点で負のグループに入れられているのがなんともこう、納得いかないのですが、後々『うわぃ、こう続くんですか。本気マジですか』と、私も真剣ガチに驚くような続きがありますので、皆さま、もう少しお付き合いくださいませ。

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