「自分のことのように」嬉しいと感じた

 自分のことのように嬉しい、という言葉はよく見聞きしますし、私も使ったことがある言葉ですが、なんとなく腑に落ちない言葉でした。腑に落ちない言葉というよりは、腑に落ちない感覚。腑に落ちない感覚というのも少し違っていますね。経験したことがないと言った方が近いように思います。

 20年と少し生きてきた中で、よくわからなかった感覚ですが、これがその感覚なのかな、と思えるようなことがありました。折田翔吾さん、通称アゲアゲさんのプロ編入試験合格という出来事がありました。

 僕は一人のファンでしかなく、つながりはとても薄いものです。しかし、折田さんが編入試験第四局で勝利したと知ったときの気持ちは、私が大学の入学試験に合格したと知ったときの気持ちと似ていました。そしてそのあとの、少しふわふわとした感覚も、少し懐かしい感じがして、ああ、私はこの気持ちを感じたことがあるな、と思われました。

 将棋のプロ編入試験と、大学入試では、私はプロ編入試験の方がより人生に及ぼす影響は大きく、また難しいものだと思います。それを同じように感じた、と言ってしまっては、怒られてしまうかもしれませんね。

 自分が、自分のことで感じた「嬉しい」という気持ちと同じようなものが、他人のことでも「嬉しい」と感じられた。なんとなくとしか言いようがありませんが、こうした感覚を覚えたことに驚くとともに、これが「自分のことのように」というものなのだろうかと思いました。

 こういった感覚や気持ちのことを言葉にして表現することは難しいですね。

 しかし、この年齢になって、このような気持ちの経験ができたことはとても嬉しく思います。まだまだ私の心も、いろいろな可能性を秘めているのだなということが分かり、自分がこれからまたこういったことを感じられると思うと、それも嬉しく思います。

 私の将棋の腕は、折田に到底及ぶものではありません。将棋ウォーズで3級という、なかなか厳しい棋力ではあります。そんな私ですが、折田さんの指したプロ編入試験を見て感じたことは、絶対に負けない、という思いでした。序盤、中盤で勝ち取った少しのリードを、また少しずつ拡大し、そのリードを絶対に渡さないぞという気迫と、決めに行きたい気持ちを我慢する気持ちが混在した指し回しだな、と感じました。実質プロの先生の将棋を講評するような真似をするのは、やはりおこがましいですね。これくらいにしておきましょう。

 折田さんの動画を見ていると、非常にストイックな姿勢を感じることができます。とても高い能力を持ちながら、さらにその能力を高めるための方法や考え方を身に着けようとおられます。考え続けることをやめない、自分の思考の範囲をひろげようとする姿勢は、間違いなく見習うべきものであり、非常に刺激的で勉強になります。

 折田翔吾さん、本当におめでとうございます。

 また、上記のことも含め、貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございます。

 「アゲアゲ将棋実況」、おすすめのYouTubeチャンネルです。是非見てみてください。

Think, think, think.

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