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【日本ダントツ】 自信のない若者

2018年実施の内閣府「若者の意識調査(国際比較)」によると、日本の若者の『自信のなさ』は相変わらずのようです。

2018年調査データ(抜粋)

「自分に満足している」は10.4%、「長所がある」は16.3%。主なデータは以下のとおりです。

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(内閣府資料)

前回調査(2013年実施)はどうだったか

2013年と2018年の調査結果を比較してみても、日本の目立ち振りは変わりません。下記は、4年ほど前に前回の調査データを見たときの私のコメントです。

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世界の主要国を比較したちょっと前のデータです(対象は13-29歳の若者)。日本人は謙虚な国民だとは思っていましたが、これはもう謙虚を通り越しています。

どうしてここまで日本の若者は自分に自信がないのでしょうか。

「長所や得意がない」「欠点が多い」「痛い失敗体験」といったストレートな理由、国民性や文化による強気(Overestimate)と弱気(Underestimate)など、いろいろな要因が考えられます。

一つの見方ですが「社会が過度な画一性を求め」その結果「個人の自由と自己肯定意識が低下している」点が気になります。

日本は長い歴史の中で「単一民族、単一言語、単一国家のハイコンテクスト社会」を作り上げてきました。そしてそこでは「異質は排除する」「期待される自分になる」ことが大切な行動原理となってきました。

しかしこの副作用として「多様性に対する臆病なまでの警戒心」が身についてしまっています。また学校や企業を通じた人材育成では「高品質の規格品=ミスが少ない人材」の量産には成功したものの、次期モデルへの転換(高度人材の育成とボリューム層人材のデジタルスキル化)は手つかずの状態です。

失敗しないことばかり考えている企業、先生の教えたこと以外は〇にならない学校。尊い失敗や独創的なアイデアもその多くは、既成組織の中ではなんらかの理由をつけてスルーされます。どんどん保守化していく日本にあって、世界的なダイバーシティの潮流をどう受け入れていくか。

「若者の自信のなさ」は大きな変革局面における「板挟み状態」の危険シグナルです。そしてSTEMはジレンマを脱する有力な解法と言えます。

<参照データ>2013内閣府「若者の意識調査」


日本がツマンナクなってることが問題

今回の内閣府レポート(2018)は、調査結果を下記ポイントでまとめています。

〇日本の若者の自己肯定感の低さには自分が役に立たないと感じる自己有用感の低さが関わっている
〇諸外国の若者と比べて、外国留学や外国居住を望む者の割合が低い傾向にある
〇ボランティア活動の経験者や自分自身に満足している者の中には、外国留学を希望する者が多い傾向にある
 

やはり、集団社会の日本では個人の力や影響はなかなか出しにくいですし、一般生活の場面で異文化と交流する機会が少ないことも事実です。

ですが、私が一番気になっているのは「ワクワク感のない社会が若者たちの心を重い雲で覆っているのでは」との疑問です。1980年代の「Japan as No.1」と言われていた頃の「根拠のない自信」がどこにもありません。

日本の実体経済は、1990年台からダウントレンドに入っています。家庭所得もアジア諸国の上位層に抜かれています。

にもかかわらず、企業や社会では一段と「長老支配」「シニオリティ」が色濃くなっており、若者の意見やチャレンジを受け入れる姿勢も、活力の下向きベクトルを切り返す気力もまったく感じられません。

人材育成に直結する学校教育を見ても、本質的な部分は明治以来変わらないまま。グローバル社会の変速にとてもついていけない状況で、学力とは別の「時代に必要なEssential」が抜け落ちています。

若者たちの自信のなさや自己有用感の低さは、そんな「先の幸せが見えない社会環境」から来ていると感じられます。例え高学歴をゲットしても、グローバルなビジネス舞台に立った時、相手と戦う武器を持っていない自分に気づいて、唖然とすることでしょう。

多くの大人は若者の「自己肯定感の低さ」や「心の鍛錬不足」を指摘しますが、本当のところは「日本の先細り」「親世代(親々世代)の居座り」といった『やる気を失わせるもの』が、根底の原因ではないかと思っています。

「なんでこんなこと、続けてかなきゃいけないの?」「もっといい方法、いっぱいあるのに」という若者の声が聞こえてくるようです。

私たちが取り組んでいること

世界で一番高齢化が進んでいる日本で、世代交代(イニシアティブシフト)は上手くいっていません。若者の「自信のなさ」は現社会に対する「失望と諦め」の変容です。

「今の仕組みを守ってほしい世代」vs. 「合理的な考え方で世の中を変えたい若者」という図式をどうするか。そして、日本の若者が再び自信を取り戻すには? 

決して難しいことをするわけではありません。私たちのチームでは、「明日はもっと楽しくなる」と思えるような環境設定と、子どもの時から夢の実現を応援していくエンジン作りに取り組んでいます。

とりあえずは、東京と近郊都市で始めていますが、次はこのプロトタイプをアップデートしながら、地方エリアで広げていきたいと思っています。

世の中がまた順回転に戻っていく日を楽しみにしながら。




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