18の春。歌舞伎町。 家出をしたから卒業式には出られなかった。ネットカフェに泊まる金のために知らない男とホテルに行って、解散しようとしたときに着信がなった。スマホ…
自我というものが、蝶子にはほとんどなかった。ご飯をどこで食べるかと問われても、どこでもいい。友人や恋人と待ち合わせて、何がしたいかと問われても、なんでもいい。口…
蝶子
2024年1月31日 15:09
18の春。歌舞伎町。家出をしたから卒業式には出られなかった。ネットカフェに泊まる金のために知らない男とホテルに行って、解散しようとしたときに着信がなった。スマホの画面に表示されたのは昔のメンヘラ仲間。「もしもし、たくぞうさん?どうしたの」「蝶ちゃん、久しぶり。久しぶりでこんなこと言いづらいんだけどさ、、」久しぶりに聞いたたくぞうさんの声色はなんだか暗かった。「耀一郎とつきあってたよね」
2023年6月1日 09:11
自我というものが、蝶子にはほとんどなかった。ご飯をどこで食べるかと問われても、どこでもいい。友人や恋人と待ち合わせて、何がしたいかと問われても、なんでもいい。口癖は「うん」 だった。 そこが家出少女の宿だと知ったのは、自分が家出少女だからである。歌舞伎町の完全個室のネットカフェの前で、蝶子はうずくまって電話の切れたばかりのスマートフォンを片手に涙を拭っていた。「どうしたのお姉さーん、楽しい