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『ヒプノシスマイク』を降りた女が「言の葉党」のマイクとスピーカーについて考察

中王区「言の葉党」の新曲・ソロ曲・マイク・スピーカーが発表されたのを知って書かずにいられませんでしたので、ネタバレありで書かせていただきました。

実は私、今は完全に降りていますが…『ヒプノシスマイク』にどハマりしていた時期がありました。

どハマりしていた経緯、誰を推していたのか、どこのディビを推していたのか、どの曲が好きか、どんな推し事をしていたのか、なぜ降りてしまったのかは…話すと長くなっちゃうので近いうちに公表します。

個人的にはコミカライズが出る前にマイクとスピーカーを公表してほしかったのですが…公式が中王区に関する情報を出さなかったし、3回目のディビジョン・ラップバトル開催と同時に中王区の曲を出すって公表していたから仕方がないです…。

解禁された「中王区・言の葉党」のジャケット写真

中王区と政党「言の葉党」の歴史について

ラップを通すと人の精神に干渉することができる特殊なマイク「ヒプノシスマイク」を使って政府に対してのクーデターを起こした女性だけの政党「言の葉党」。

その党首である東方天乙統女は前総理をラップで倒し、総理の座に就く。政治や税金などありとあらゆるものを支配し、日本から地名が撤廃され、選ばれた女性しか住むことが許されない「中王区」を作り、他県は「ディビジョン」という形で完全に分けられた。

さらに男性が中王区に入るには政府から発行される許可証が必要であり、男性は女性の10倍の税金を払わなければ生活できないという…(しかし公式が出した10倍の税金設定は活用できておらず、実際にギャンブラーの有栖川帝統を除いたキャラクターが金銭で困っている描写がない)。

中王区に住む条件は?

中王区がどのような基準で住む女性を選んでいるかは分かっていません。ですが2つのコミカライズによって選び方が判明しています。

まず1つがコミカライズ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」第5話に登場するモブキャラクターで、「言の葉党」の党員である蓮歩愛(れふあ)の母親の過去です。

他の女と一緒に出ていった夫が残した莫大な借金を彼女に残し、返済のために娘を抱えて必死に働いていたが、シングルマザーを理由にまともな職に就くことができず、採用されてもクビになるという悲惨な過去を送っていました。しかし「言の葉党」による女性ための政策のおかげで親子は救われ、自分と同じように苦しんでいる人を助けたいと思って入党したと「Buster Bros!!!」のリーダーである山田一郎に話しています。

この話で「女性というだけで不当な扱いを受けている」など問題を抱えている女性でも住むことが許されているのが分かります。おそらく「言の葉党」の党員にならなくても、「独身」「男の家族とは別居している」「専門の職業に就いており生計を立てられている」など、男と関係がない自立心がある女性なら住めるのではないかと考察できます。

次に2つ目がコミカライズ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side F.P & M」で第9話のワンシーン。中王区に住めるのは若い女性だけかと思いましたが、高齢のご婦人もいました。夫に先立たれたのか、熟年離婚なのか、DVを受けいていたのかは分かりませんが、条件を満たしていれば年齢は関係ないことが判明しています

公式が起こした中王区への問題

女性のためにある中王区「言の葉党」だが、ファンから見ると問題点が多く、推しを傷つける過激組織として扱われ、公式でも酷い扱いを受けていました。


【中王区への問題】
①武器を廃棄・製造中止にしても拳・刃物・引火物質など危険物があれば簡単に争いを起こすことができることを考えなかったのか

②相手を洗脳できる「真正ヒプノシスマイク」で罪のない未成年を洗脳・昏睡状態にさせるのはどうなのか

③人身売買や違法薬物売買など裏組織と関わりがある人物を決定的な証拠が見つかるまで放置する必要があったのか(作品内で対処済み)

④脱獄の手伝いをするなど平気で汚職をする人物を決定的な証拠が見つかるまで放置する必要があったのか(作品内で対処済み)


他にも飴村乱数への暴言・暴行など公式によって中王区への強烈なヘイトが集中していたという…これは『ヒプノシスマイク』を降りた理由のひとつに入ります。

彼女たちの問題行動や矛盾点には前から気づいていましたが、気づいた時には時すでに遅し…。好きで悪役側になったわけではないのに…と思いながら作品を見ていましたので、ドラマトラックやコミカライズで登場する度に辛い思いをしていました。

私自身も女だからという理由で男性に虐げられ、不当な扱いを受けて生きていました。だから彼女達の気持ちや思想を理解することはできましたが、ファンとして続けることは難しくなり、理由のひとつとして降りる決意をしました。

なにより声優さんの被害が少なくてよかった…ファンの言動で休止・降板・引退してしまう声優さんもいるし、彼女達の素晴らしい演技を見ることができなくなるのは避けたかったので本当によかったです。

そんなひどい状態にも関わらず、オフィシャルガイドブック発売と同時に発表された中王区「言の葉党」の楽曲「Femme Fatale」によって全てが嘘のようにひっくり返りました。

中王区ヘイトを含むヒプマイファンを一気に虜にし、「中王区の女」という新たなファンの呼び名が生まれました。

さらに公式がミュージックビデオをYouTubeに投稿したことによって世界中で『ヒプノシスマイク』と中王区「言の葉党」への注目が一気に広がり、「Femme Fatale」は1年で1000万回再生され、コメント欄には中王区のファンになったなど嬉しいものばかりで、私の心は喜びで溢れました。

2023年3月13日に「言の葉党」初のリリース曲で、世界を中心に活躍する女性ラッパーのAwichさんがラップ制作を手掛けた「Verbal Justice」が発表され、同時に主要メンバー3人のソロ曲・マイク・スピーカーの公開が発表され、中王区の新たなる情報が公開されたことに大きな喜びを感じ、「降りた人間だけど考察が書きたい!」と思ってこの記事を書くことにしました。

3人のマイクとスピーカーにはどんな意味が込められているのかについて『ヒプノシスマイク』のオフィシャルガイドブック、これまで発売されてきたドラマトラックとコミカライズを基に考察していきます。


【注意】
・中王区「言の葉党」のキャラを中心に書いています
・オフィシャルガイドブック限定ドラマトラックのネタバレがあります
・自分だけの考察がありますが、除外するのが勿体ないと思ったので書いてます
・刑事局副局長の邪答院仄仄は公式からの情報が少なすぎたので除外しました→公式から新しい情報が出たら記事にする予定です

東方天乙統女

東方天乙統女のマイクとスピーカー

東方天 乙統女(とうほうてん おとめ)/49歳
内閣総理大臣/中王区「言の葉党」党首

国から武力を完全廃止し、女性中心の社会を築きあげると同時に「ヒプノシスマイク」を広めた現政権のNo. 1で日本初の女性総理。

財閥のトップである父と他財閥の令嬢である母の間に生まれ、「女は男を立てて生きていくことが大切だ」をモットーに育てられてきた。しかし中学生で父親が政治家に金を渡している事を知り、「自分にとって都合のいい未来になるのなら政治家を動かす」という父親の考えと男性を中心とした社会に違和感を覚えるようになる。大学で密かに政治について勉強し、戦争や女性議員の活躍について母親に話すが、「男性がすることだから考える必要はない」と政治に無関心であることを聞かされた。さらに父親の独断で婿入りが決まり、政界で期待の星となる飛鳥帝(あすかみかど)と結婚をすれば、東方天家にとって大きなメリットになると娘の目の前で話した。父親は娘を婿入りのために用意された人形としか見ておらず、母親は「慣れてしまえばどんな痛みも恐怖も耐えることが出来る」と言って乙統女を慰めた(この発言から母も政略結婚の可能性が高い)。乙統女の気持ちを何ひとつ考えてくれない両親に絶望しかなかったが、飛鳥帝に出会ったことで考えは前向きに変わった。女性の社会進出は重要だと考え、否定され続けてきた自分の考えを否定することなく聞き入れてくれた帝に乙統女は惹かれ、2人は愛を育んで結婚した。
結婚後は帝の協力もあり、女性のみの政党「言の葉党」を立ち上げ、長男の帝統を出産し、幸せな日々を送っていた。しかし数年後、帝の様子がおかしくなり寄り添うことができなくなった。父親が自分の地位を狙う親族を不当な理由で逮捕させて排除し、帝は裏で父親の指示に従っていたことを知ったが、乙統女は何もできなかった。その後、東方天家の支援を受けている軍事開発技術者の山田零(後の天谷奴零)に出会い、父親と夫が行っている悪事の証拠となる書類を渡した。
乙統女は警察に証拠書類を提出し父親を逮捕させるが、帝には帝統のために自首して欲しいと話し、帝は家族のためを思って妻の望みを受け入れた(実際に自首をしたほうが減刑されやすくなるので素直に受け入れた帝の判断は正解だった)。
帝統は母方の「有栖川家」に引き取られ、「有栖川帝統」として生活していくことになった。乙統女は自身の理想を叶えるために零が開発したヒプノシスマイクを使ってクーデターを起こし、自らの手で前総理を倒してH歴の内閣総理大臣になった。

中学生・大学生・妻・母親と歳を重ねていく乙統女様を演じた小林ゆうさんの演技がすごい…ラップも上手にこなすし、言葉ひとつひとつに丁寧さがあって、実力があるってこういうことなんだなぁと思い知らされました…。

マイクについて考察

中王区のロゴとマークが飾られ、シンプルとエレガントを兼ね備えたスタンドマイク。モデルとなった種類は「カーボンマイクロフォン」と呼ばれる最古のマイク。「カーボンマイクロフォン」は発明王のエジソンが開発した炭素を使った原子的なマイクであり、遠距離での音声通話を可能にし、ラジオ放送や電話の受話器に使われるなど深い歴史を持つマイクである。49年という長い時を生きてきた東方天乙統女という人物を表すのに相応しいマイクだと考える。乙統女が使っているタイプはアンティーク型であり、マイクの種類とタイプ、そして中王区のマークで自身を表現できているのは彼女の品の良さが関係しているのかもしれない。

左が乙統女のマイク、右上が昔のカーボンマイク、右下が現在のカーボンマイク


スピーカーについて考察

キーワードとなるのは全部で5つ。

【10時10分を指す時計】
【蓄音機】
【花のスピーカー】
【フラワーアーチに絡みつく黒い棘】
【ヒビが入った歯車と壊れた歯車】

全キャラクターのなかでも闇が深く禍々しさを感じさせるスピーカーだが、どのような意味が込められているのか。順を追って考察していく。

【10時10分を指す時計】
時計業界で10時10分は「針のデザインを全て見せられる」「見た目が美しく見える針の配置」という意味があり、展示品の時計は全て10時10分に設定されるようになったとか。都市伝説になるとアメリカの偉人である「エイブラハム・リンカーン」「ジョン・F・ケネディ」「キング牧師」の3人が偶然にも10時10分に死亡しており、3人の偉業を称えるためにアメリカでは販売する時計を10時10分に設定するようになったとか…。他にも妊娠から出産までの期間(10月10日)、乙統女が帝と出会った日、又は結婚式を挙げた日など様々な考察ができるが…一体、何を示しているのかは不明。

帝統の出産時刻の可能性もあったが…7が付く男なので7時7分7秒に生まれてそうなので…(7月7日生まれ、身長177cm、体重77kgなので)。


【蓄音機】
蓄音機は最古の録音再生機である。カーボンマイクロフォンと蓄音機には大きな共通点があり、発明したのがエジソンであることだ。これもカーボンマイクロフォンと同じ、長い時を生きてきた乙統女に相応しいスピーカーだと考える。同じ発明家の機械を使うということは同じブランドで揃えている感覚に近いのではないかと考えて調べた結果、「ディドロ効果」と呼ばれる同じ物で統一することに満足感や安心感を覚える人間の心理効果だと判明した。この心理効果はファッションやインテリアなど様々なものに利用されており、同じメーカーやブランドで揃えてしまうのは「ディドロ効果」が関係しているからである。彼女のことだから幼い頃から絵本の代わりに伝記を読んで育ち、最古の機械について勉強した結果、カーボンマイクロフォンと蓄音機に繋がったのかもしれない(ってかそうであってほしい)。最初にスピーカーを見た時、蓄音機にも鏡台にも見えたが、違うと感じてすぐに除外した。鏡台は嫁入り道具の1つでもあり、女性を象徴させることから母親に「男性を立てるためにお化粧を覚えましょうね」という意味を込めて乙統女様にプレゼントしたかもしれないし、専門の講師を呼んで化粧を教えたのかもしれない。女性は化粧を施さねばならないという「女性への抑圧」もスピーカーに込められていたりして…。


【花のスピーカー】
Twitterでは百合の花だという考察が出ていたが、筆者は水仙にも見えた。両方とも花びらの形や重なり方が似ていることもあり、どちらに似ているのか花に詳しい知人に意見を聞かせてもらったが、どちらの花にも似ているから判断するのは難しいと言われた。水仙の学名には「ナルキッソス」と呼ばれるナルシストの語源になっていることから水仙ではなく、百合の可能性が高いと判断した(もし水仙だったら自分の力を過信しすぎているとか?)。百合の花言葉は「純粋」「無垢」「威厳」、聖母マリアに捧げられた花であることから「母性の象徴」とされてきた。またフランス王家では百合の紋章が使われており、古代から神聖な花として扱われていたことが分かる。百合は世界から愛されている花でもあり、国を守る母という意味で百合の花を使ったのかもしれない。

上は乙統女のスピーカー、右は水仙の花、左は百合の花

【フラワーアーチに絡みつく黒い棘】
これは限定ドラマトラックに出てくるシーンから来ていると考える。婿となる飛鳥帝を招いて東方天家で食事をした後、父の提案で乙統女と帝は2人で庭を散歩することになった。全国から取り寄せた珍しい木や花がある自慢の庭だと話しており、そこには薔薇を使ったフラワーアーチがあったのかもしれない。その時、自分の思想を否定することなく聞き入れてくれた帝に惹かれた思い出をそのままスピーカーで表現したのではないかと。人から見れば些細な出来事に思うかもしれないが、彼女にとってこの出来事は「自分という人間を理解してくれた素晴らしい男性との出会い」だったと考える。黒い棘は痛々しい雰囲気があり、帝が罪を犯したことによって「あの頃の帝さんはもういない。大切な思い出は永遠に封印しよう」という意味でアーチに絡みついているのかもしれない。


【ヒビが入った歯車と壊れた歯車】
時計はたくさんの歯車によってできており、夫の帝と息子の帝統との時間を意味しているのではないか。「最愛の夫が罪を犯した」「私を理解してくれる人はいなくなった」「世界を変えるために息子を手放さなくてはならない」など壊れた歯車=家族との時間が壊れてしまったことを示しているのではないかと考察される。

勘解由小路無花果

勘解由小路無花果のマイクとスピーカー

勘解由小路 無花果(かでのこうじ いちじく)/31歳
内閣総理大臣補佐官/警視庁警視総監/行政監察局局長/中王区「言の葉党」党員

長い巻き髪・大きなリボン・体のラインを強調させるスーツ・ウエストを強調するコルセット・ミニスカート・高いヒールといった女性の象徴を全体で表現している現政権のNo.2。

この美貌と容姿から見て中王区のセックスシンボルとして扱われ、各女性雑誌で色々と取り上げられてそうなイメージがあるが…どうなんだろうか…。

「言の葉党」の党員として働く前はTV局の局員として働いており、妹の棗(なつめ)と一緒に暮らしていた。とある汚職事件について探っており、関係者に「これ以上は危険だから探るな」と言われても屈することなく立ち向かっていた。汚職事件に関するデータが入ったUSBをフリージャーナリストの霜崎から貰うが、脅迫文が届いた霜崎は家族の安全を優先させるために事件から手を引くこと無花果に話した。政党「言の葉党」の党首である東方天乙統女とは取材で出会い、乙統女の目的である「男性を排除し女性のみの政権の樹立」を力説し、無花果に自分が言ったことが分かる時が来ると言い残して取材を終えた。取材から家に帰る途中で霜崎とその家族が遺体で発見されたことをニュースで知り、急いで家に帰ったが棗の姿はなかった。その時、代議士の秘書を名乗る男性から電話が掛かり、妹を助けたかったら指定の場所にUSBを持って来いと要求された。指定の場所にUSBを持って行くと棗は既に死亡しており、それを見た無花果は泣き狂った。その後は自分も狙われそうになったが、代議士を狙って秘書に近づいていた乙統女がヒプノシスマイクを使って倒す。乙統女は無花果に「男は争うようにできている、だから我々女性はこれを使って男を制するべき」と言ってヒプノシスマイクを見せた。妹と同じ犠牲者を出さないために無花果は乙統女と一緒についていくことを決心し、時を経て今の地位を手に入れた。

限定ドラマトラックにしか登場しない無花果様のジャーナリスト時代は声の高さが違うので、まだ聞いていない人はこれを機会に聞いてほしい。ほんと泣ける…。

たかはし智秋さん、いろんなとこで見たり聞いたりしてきたけど…本当に成長して美しくなったなって思う。アニメ「ザ・カップヘッド・ショウ!」に登場する人魚のカラ・マリア、美しくて可愛くて歌上手くて最高だったよ…。みんな見てね。

マイクについて考察

強さとゴージャスを組み合わせたハンドマイク。胸のタトゥーと同じ中王区のマークを模した飾りが付けられており、東方天乙統女への尊敬と絶対服従を表していることがよく分かる。女を理由に蔑まれた過去、自分のせいで最愛の妹を亡くした過去を乗り越え、世界を変えると決意したことを表現してくれるマイクだ。持ち手はサーベル、マイク自体は王笏(おうしゃく)をイメージしているのだと考察する。サーベルは日本刀と違って片手で扱えるように軽量化した刀剣であり、古くから軍隊で使われている歴史ある湾刀である。王笏は権力の象徴であり、持つ者を王であると認めさせる物品として扱われている。使われたのは形や装飾から見て英国王室で扱われているものをモチーフにし、無花果風にアレンジしたものだと考えられる。

上は無花果のマイク、右は英国王室の王笏、左はサーベル

3人のジャケット写真を見て、マイクに付いている謎の鎖を「鎖鎌」みたいな武器ではないかと思っていたが、全体像が公開されたあとに「分銅鎖」と呼ばれる武器であることが判明した。「分銅鎖」は一般的にあまり知られてはいないが、古くから忍者などの間で使われていた武器である。短い鎖は振り回して敵に打ち付ければ武器になり、長い鎖は武器だけではなく敵に打ち付ければ絡め取ることができる。折りたためばコンパクトに収納できるので武器にも護身にも使える優れ物である。

上は無花果様のマイク、下は分銅鎖

無花果のことだからバトルをふっかけてきた男相手に「この下郎が!」と言って、一本鞭みたいに分銅鎖を敵に振るのではないかと思ったが…それではただの女王様だし、人によっては仕置きと称した褒美になる…って国のNo.2を相手に喧嘩なんて売ったらすぐ中王区が管理している特別刑務所行きになるわ!と自分自身にツッコんだ(笑)。

Twitterで「無花果のマイクがプリキュアのステッキに見える」という投稿をチラホラと見かけたが、マイク本体は妹を表しているのではないかと私は考察した。第三次世界大戦が勃発した頃、無花果様の年齢を逆算すると高校生と同じ年齢になる。両親についての情報はなく、戦争で死別した可能性が高いと考えられる。たった1人の家族である妹と戦争に怯える日々を送りながら世話をするのはかなりの労力が必要だと思われる。それでも妹と離れ離れになることはなく、自分自身の力と正義感の強さを生かしてTV局のジャーナリストになり、彼女なりの幸せを手に入れたが…そのせいで妹は亡き者になってしまった。棗の容姿や年齢について何も公表されていないが、大戦勃発中は小中学生だったかもしれない。年頃の女の子らしく可愛い服やおもちゃを欲しいと思っていても、生きるために必要な食糧や水など生活必需品が優先されるから無理だと諦めていたのかもしれない。姉の無花果に買って欲しいとねだることもできなかっただろうし、棗の気持ちを分かっていても買ってあげられないことにお互い悩んでいたのかもしれない。限定ドラマトラックのラストで「棗、お姉ちゃんはまだまだ頑張るからね」と語っていることから妹への思いは変わらず、妹に与えてあげられなかったものをヒプノシスマイクに込めたのではないのかと私は考える。

スピーカーについて考察

キーワードとなるは全部で3つ。

【3頭のライオン】
【重圧さを感じさせる金の監獄と開こうとする檻】
【自身の髪飾りにも使われている太めのリボン】

華々しさと強さを兼ね備え、女の強さを最大限にイメージしたスピーカーにはどのような意味が込められているのか。順を追って考察していく。

【3頭のライオン】
口を開けた3頭のライオンがスピーカーの役割をしており、目と口から出るショッキングピンクのビームが無花果らしい演出である。3頭の怪物と聞いて連想したのが「ケルベロス」という犬であり、冥界の王・ハーデスが支配する冥界の番犬だ。しかしスピーカーに使われているのは犬ではなくライオン、これは何故か。ライオンは「動物界の王」という意味があり、「力・勇気・勝利」を象徴する動物である。さらに勝利の象徴であるため、エンブレムや紋章に使われることが多く、「言の葉党」が日本のトップであることを象徴するためにライオンが使われていると考える。そしてライオンが3頭なのは乙統女と合歓を入れた自分達3人か、父と母と妹の3人を表現しているのかもしれない。


【重圧さを感じさせる金の監獄と開こうとする檻】
監獄と檻の雰囲気とから見て、古代のコロッセオをイメージしているのではないかと考えた。コロッセオは殺し合いのために作られた闘技場であり、古代ローマの象徴とされている。ディビジョン・ラップバトルは現代のコロッセオでもあり、最後に生き残った男が無花果と戦うということを示しているのか…?檻が開こうとしているのは「私の本気はこれからだ…覚悟するがいい!」ということを意味しているのかもしれない…(一番怒らせてはいけないタイプだ絶対に)。


【自身の髪飾りにも使われている太めのリボン】
スピーカーに飾り付けられているリボンには「Dogs never bite me. Just humans.(犬は決して私に噛みつかない、裏切るのはいつも人間だ)」と刻まれている。これは無花果の座右の銘でもあり、マリリン・モンローの名言である。マリリンはアメリカのセックスシンボルとして扱われていたが、女優として演技したいという思いがあった。実際に1960年に撮影された映画「荒馬と女」でマリリンは自立した女性を演じたが、セックスシンボルのイメージが強いマリリンには似合わず、興行は失敗に終わった。映画監督のジョン・ヒューストンはマリリンに「君は心と体を売る娼婦だ。そのまま演じればいい、役になりきろうとするな」と説教しており、無花果と同じ抑圧された毎日を送っていた(映像の世紀バタフライエフェクト「運命の恋人たち」から引用)。座右の銘をスピーカーに、自分を象徴であるリボンに刻み込んだのは男に立ち向かう強い気持ちを表現したかったのではないかと考える。

碧棺合歓

碧棺合歓のマイクとスピーカー

碧棺合歓(あおひつぎ ねむ)/19歳
行政監察局副局長/中王区「言の葉党」党員

19歳という若さで国のトップに立った現政権のNo.3。ヨコハマ・ディビジョン「MAD TRIGGER CREW」のリーダー・碧棺左馬刻の実妹。

両親は死別しており、母親は暴力的な父親を殺害した後に自殺。その後はH歴元年になるまで左馬刻と2人で暮らしており、誕生日を盛大に祝ってくれるなど愛情深く愛されていた。しかし暴力で生計を立てる左馬刻に対して合歓は強い嫌悪感を示すようになり、暴力はいけないことだと批判するが左馬刻が聞き入れてくれることはなかった。その後は飴村乱数のクローンによって洗脳され、左馬刻に「一郎くんに言の葉党は素晴らしいと教えてもらった」と嘘をつき、左馬刻をヒプノシスマイクを使って倒した後、「言の葉党」の党員になった。ラップの才能は兄・左馬刻に匹敵するレベルの持ち主と言われており、「言の葉党」は戦力を確保するために彼女を洗脳したとされている(ドラマトラックで実際に合歓ちゃんのラップを聞いた方は分かるかと)。「言の葉党」のために忠実に動くという洗脳の効果によって19歳という若さで行政監察局の副局長に就任され、上司の無花果に気に入られていることから中王区での暮らし、「言の葉党」での仕事は彼女に合っていることが分かる。

担当声優の山本希望さんのラップはとにかくすごい。合歓ちゃんのラップは力強くて良いけど、山本さんのはラップは自然体って感じがして楽しくなるのがいい。合歓ちゃんは山本さんが演じて大正解だよ、本当によかった。本当に。

YouTubeのリンク貼っておくのでよかったら是非↓


マイクについて考察

十字架とドクロと短剣をモチーフにし、強さと可憐さを感じさせるハンドマイク。乙統女と無花果のマイクは中王区のマークが付けられた金色だが、彼女のマイクはマークが付けられていない銀色だ。ドクロの目の色に注目すると中王区のトレードカラーであるピンクを入れていることから「自分は中王区の人間だが思想は違う」という意味があるのではないかと考える。

実際に2度目のバトルで公表されたMAD TRIGGER CREWのドラマトラック「A dream...for good or evil」で合歓の洗脳は解けており、左馬刻に自分の意思で中王区に残ることを決意したと話しているシーンがある(悲しい兄妹喧嘩から真っ当勝負に路線変更になってよかった…本当に)。いくつかのツイートで「洗脳がかけられた後」と「洗脳が解けた後」でマイクとスピーカーが違うのではないかという考察も出ており、今回発表されたのは洗脳が解けた合歓自身を表しているのでないかと考えられる(かけられていた時のマイクとスピーカー、見たかったなぁ…)。

マイク本体の色が銀であること、装飾にドクロが使われているなど兄の左馬刻と共通している部分が多い。左馬刻はヴィンテージ風のスタンドマイクだが、合歓は短剣をイメージしたハンドマイクである。短剣が使われているのは楽曲「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem- +」の歌詞、「ペンは剣よりヒプノシスマイク」という部分から来ていると考察する。さらに短剣(ダガー)をモチーフとして見ると古くから純潔の証として扱われ、「強くあろうとする意思」「愛するものを守る」という意味が込められていることが判明している(引用元:クロムハーツのアイコンモチーフに込められた意味と魅力について)。

最後に碧棺兄妹はなぜ同じマイクなのか気になって種類を調べたところ、使用しているマイクの正式名称は「SHURE/55SH2」であり、ガイコツのような見た目から「ガイコツマイク」という通称がある(以下略、ガイコツマイク)。マイクの種類までガイコツとか…碧棺兄弟、どれだけガイコツに思い入れがあるんだ…かっこよすぎるわ。

上が左馬刻のマイク、下が合歓のマイク


スピーカーについて考察

キーワードとなるのは4つ。

【棺から出てきたピンク色のドクロ】
【包み込むように交差させられた腕】
【死者の日】
【右腕に着けられた碧棺家のお守り】

合歓の生涯を色と花で美しく飾られたスピーカーにはどんな意味が込められているのか。順を追って考察していく。


【棺から出てきたピンク色のドクロ】
左馬刻のドクロと違い、合歓のドクロは行儀良く佇んでいるのが分かる。このドクロはメキシコのカラベラ(頭蓋骨)がモデルとなっており、「死は悲しいことではなく幸せなこと」を象徴している。さらに中王区と女性を象徴するピンク色で彩られていることから、母親を表しているのではないかと考えた。コミカライズ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」第1話で母親と思われる人物の仏壇に兄妹揃って手を合わせていたこと、スピーカーの右手に「碧棺家のお守り」と思われるブレスレットを「言の葉党」の党員になるまでの間に着けていたことから、「自分達の命を守ってくれた母親への敬意」と「暴力的な夫から解放された母」を思ってピンク色のドクロが使われたのではないかと私は考える。


【包み込むように交差させられた腕】
左馬刻のドクロは棺の蓋をこじ開けているが、合歓のドクロは交差されている。包み込んでいるようにも見えることから、ハグを表現しているのではないかと考察する。ハグは愛情表現のひとつでもあり、合歓は母親からの愛情が欲しくても手に入ることがないという悲しさをスピーカーに込めたのではないかと考える。


【死者の日】
メキシコでは伝統文化として扱われている「死者の日」。死者を偲んで感謝し、生きる喜びを分かち合うことを目的としている祭りである。これは母への感謝と今生きる喜びについて表現しているのではないかと考える。スピーカーにたくさんの花が付けられているのは死者を迎えるためであり、マリーゴールドやキク類などを中心にカラフルな花を使うことが多い。マリーゴールドは死者の日にとって一番大切にされている花で、死者を導くという大きな役割があると言われている。

〈スピーカーに飾られている花と花言葉〉
白い百合→純粋、無垢、威厳、無邪気、高貴、自尊心、栄華
黄色とオレンジのマリーゴールド→変らぬ愛、健康、予言
白いマーガレット→心に秘めた愛、誠実、信頼
ピンクのガーベラ→神秘、崇高美、前進
青いヒヤシンス→変わらぬ愛


【右腕に着けられた碧棺家のお守り】
コミカライズ「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」第12話で、合歓が母から貰ったお守りをブレスレットにし、左馬刻に渡していることが判明している。おそらくアクセサリーが何らかの形でバラバラになり、残った石をブレスレットにしたのかもしれない。左馬刻は今でも着け続けているが、合歓は「言の葉党」の党員になった途端に着けることはなくなった。しかし洗脳が解けたことにより、制服に身を包む自分の代わりにスピーカーに付けさせているのは自身の変化と左馬刻を思う気持ちが残っていることを示していると考える。

上は現在の左馬刻、左は洗脳前の合歓、右は現在の合歓

碧棺合歓の全体像がTwitterに公開された時、「リメンバー・ミーじゃん!」というツイートをする利用者が多く、テレビ放送されていないにも関わらず、「リメンバー・ミー」がTwitterのトレンドに入るという…。「死者の日」=「リメンバー・ミー(原題:Coco)」になるのは分かるし、映画名をそのままツイートする気持ちは分からなくもないけど…メキシコでは重要な風習として扱われているから、映画名じゃなくて「死者の日」って投稿してほしかったなぁ…。

兄と妹の絆

左馬刻と合歓とマイクとスピーカーには多くの共通点がある。しかし色や雰囲気など異なる点が多く、同じものだが同じものではない。共通点と異なる点についてひとつずつ考察していきたい。

碧棺左馬刻のスピーカーと碧棺合歓のスピーカー(公式サイトから)

【2人のマイクとスピーカーの共通点】
・マイクとスピーカーにドクロが使われている
・銀製の「ガイコツマイク」が使われている
・スピーカーの音はドクロの口から出ている(左馬刻は口の中、合歓は口の端)
・スピーカーに棺から出てきたドクロと青色が使われている(碧棺だから?)

【左馬刻のマイクとスピーカー】
・ガイコツをモチーフのスタンド型のヴィンテージマイク
・スピーカーの全体の色は青→MAD TRIGGER CREWと男性を象徴する色
・ひび割れたスピーカーのドクロがハードボイルドな雰囲気を出している
・スピーカーのドクロがこじ開けて顔を出しているのは地獄に落ちた外道の父親を意味しているのではないか

【合歓のマイクとスピーカー】
・短剣をモチーフにしたハンド型のヴィンテージマイク
・スピーカー全体の色はピンク→中王区「言の葉党」と女性を主張する色
・柔らかいピンクで彩られたスピーカーのドクロが優しい雰囲気を出している
・スピーカーのドクロが上品に佇みながら包み込むように腕を交差しているのは命をかけて自分達を守ってくれた母親を意味しているのではないか

マイクとスピーカーから見る碧棺兄妹の強いこだわりは【ドクロ】と【銀】であることがわかる。スピリチュアルから見る【ドクロ】と【銀】はなにか。

【ドクロ】
ドクロは死の象徴でもあるが、再生や真実という意味も込められている。碧棺兄妹の場合、ドクロは家族を意味している可能性が高い。左馬刻は暴力的な父の封印を解き、合歓は自分を救ってくれた母への愛情を示しているのではないかと考察する。

【銀】
古くから魔除けとして使われており、ヒ素などの毒を判断する力を持つなど人々の間ではお守りとして扱われていた。だが碧棺兄妹の髪色が白にも銀にも見えることから、自分たちを表現しているのではないかと考える。

余談

めちゃくちゃ長い考察を読んでくださり、ありがとうございました。10,000字を超える文章なんて書いたことなかったので、達成感が半端ないです。

実はこの記事を書き始めたのは新曲が発表された3月13日で、今すぐにでも投稿しようと思って頑張って書いたんですが…記事の内容と私のスケジュールが合わなさすぎて今日になったという…(大学から卒論のテーマについて考えておけという課題が1番のプレッシャーでした笑)。

乙統女様は新曲「Verbal Justice」で中王区の女王って言ったけど、「言の葉党」の3人いるからチェスの駒で表現したほうがしっくりくると思う。3人がいるから引き締まる感じ(乙統女様→キング、無花果様→クイーン、合歓ちゃん→ナイト)。

「言の葉党」の新曲とメインキャラ3人のソロ曲、全て聞きました。やはり政権を握るTOP3はひと味違う…曲への考察、書けたら書きたいです。

そしてドラマトラック「No one lives forever」、聞きました。
百合の花に囲まれた庭を連想させるような甘い会話だったのに…一気にどん底に叩き落とされて、頭が真っ白に…乙統女様、一体何を企んでいるのだろうか…。そして公式は何を考えているのだろうか…全然読めない…。

次の記事は『ヒプノシスマイク』を降りた理由について書いていく予定です。またお会いしましょう、では!



この記事は音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』の
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に基づいて執筆しました。


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