スイーツ&スイーツ【短編小説】扉⑦
となりの扉⑦
「今年の恋愛運、最高? 期待しちゃっていいのかな? なんかうれしい」
純粋に無邪気わらった楓を見て、
ほっと一息をつく。
占いをしていると思う。
要は本人がどう思って、
何で行動を起こすかということだということに。
楓は大丈夫そうだな。
もともと人受けするタイプだし、ポジティブな性格が清々しくまぶしい。
結果なんて聞いてなかったかのように、
もう目の前に運ばれてきたスイーツの話をしている。
「じゃあ、僕とかどうですか?」
スイーツを運んできたカフェ店員が声をかける。
スイーツ(デザート)&スイーツ(恋愛)。
頭の中でそんな言葉が思いついた。
楓の恋愛運はいつでも最強だ。
占いを始めたのは3年前。
優美なカードを手に入れるための、単なるつじつま合わせに過ぎなかった。
「将来、役に立つかと思って」
気まぐれに立ち寄った本屋で見かけたオラクルカードのデザインにひかれて購入した。
ただ、それだけの興味心だった。
勉強していくうちに、ふと思ったのだ。
なぜ当たってると思うのだろうかと。
当たるとは何なのだろうと。
オラクル、タロット、数秘術、占星術、占いの種類は数あれど、
それは歴史や文化を知るということにつながるのではないか、
と、ここまで話してしまうと、
占って欲しいと言ってきた相手が
ポカーンとこちらをみているので、
最近はなるべくシンプルに、相手にわかりやすい占いをするように心がけてる。
私は、
「そっかー、がんばるぞー」
って、友達に言って欲しいだけだから。
楽しいが1番。
私の大好きな綺麗なカードの世界を
ちょっと覗き見してくれたら、
それが1番なのかもしれない。
だから、いつも心の中で願うのは、
あなたの夢が叶いますように
その言葉だけだった。
そもそも本当の意味での幸せって、なんなんだろうか?
不幸せじゃなければ、幸せなのか?
それとも、隣にいる子より優れていたら、幸せなのか?
目の前でスイーツを食べる楓を見て思う。
ジャンルが違う。
可愛いギャルと
控えめに言って大人しめの私の
人生の価値観が、重なるとこがあるとは思えない。
だからこそ、人は星に願いをかけたくなるのだろうか。
家でお風呂に入りながら考える。
あったかいお風呂に入れて、
美味しいごはんが食べれて、
ふかふかのベットで寝れてるなら、
それだけで、人生サイコーだぜ!って。
部屋にいる金魚に餌をやる。
いつもの日課だ。
幸せなんていっぱいある。
水の中をスイスイ泳ぐ金魚を見て
満足気に眠りについた。
「それにしても、楓は彼氏作る気あったのか」
sub title 京香の魔法
🔚
前作↓
ちょっと趣味の世界に走ってますが、
一応フィクションです。
↓占いの相手、楓のお話
↓次回作、京香の金魚の話
↓後日談