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ヒョンビン演じる主人公たちに惹きつけられる理由

「愛の不時着」沼に落ちて以来、ヒョンビンの主演映画やドラマを片っ端から鑑賞した。ドラマ6本、映画6本を2ヶ月で完走したのだからなかなかのハマりっぷりだと我ながら思う。これに加えて愛するリ・ジョンヒョクに会うために、1日1回は「愛の不時着」のお気に入りシーンを鑑賞するルーティンも継続中。

さて、過去のヒョンビン主演の作品を観ながら、ヒョンビン演じる主人公たちのリ・ジョンヒョク的な部分を無意識に探している私。

当たり前だが同じ人間が演じているので、笑顔やしぐさなど似ているところはある。でも作品ごとにまったく違う人物になっている俳優ヒョンビンを観ているうちに、リ・ジョンヒョク探しを忘れ、物語に引き込まれるということの繰り返し。

ヒョンビンの魅力はそのルックスはもちろん、役柄ごとに演じ分ける俳優としての実力なのだ。どのキャラクターも視聴者を魅了する。


さてここでは、鑑賞した以下6つのドラマについて、ヒョンビン演じる主人公の何に惹きつけられているのかを探るべく、思うところを書いてみたいと思う。

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1.  役柄の性格を分類してみる

まずは完全な主観に基づき、それぞれの役柄を以下の軸をベースに分類してみる。

(縦軸)優しい ⇔ 冷たい
(横軸)横柄・傲慢 ⇔ 素直・純粋

人間は多面的な生き物なのでこんなに単純化できるものではないけれど、便宜上、上記の2つの軸を用いる。また、全ての作品が主人公の成長物語なので、物語の前半と後半では表現される性格が変わる場合がある。ここではそれを考慮せず、あえて主人公の成長前に設定されたキャラクターで分類した。

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*「アルハンブラ宮殿の思い出」のユ・ジヌだけは異色なので、分類には入れたが考察の対象からは一旦はずす。


さて、主人公のキャラクターは「冷たい&横柄・傲慢」または「優しい&素直・純粋」に分類される。
また、「アルハンブラ宮殿の思い出」以外の5つのドラマでは、上記4つの性格分類以外に、ヒョンビン演じる全ての主人公が持っている良き資質が二つある。

ひとつは好きになった女に対しては誠実なところ。そしてもうひとつは愛する女に一途なところ。それぞれ程度の差こそあれ全役柄に備わっている性格だ。
つまるところ、視聴者がヒョンビン主演のドラマを楽しむ上で、ヒョンビン演じる主人公が「誠実」「一途」であることは、共感を呼ぶために外せない要素ということだ。

ただ、これは「好きな女」や「愛する女」に対してなので、主人公とヒロインが恋に落ちるまではこれらの良き資質は出現しないこともある。


2. 「冷たい&横柄・傲慢」 というネガティブが生み出す魅力

「冷たい&横柄・傲慢」グループに属するドラマの主人公は、物語前半において「冷たさ、横柄・傲慢」といったネガエティブな部分を如何なく発揮することが特徴だ。

いわゆる先制攻撃的な手法。
イヤな奴であることを最初に視聴者に印象づけ、誠実さや一途さが顔を出したところで、視聴者が主人公を好きになっていくように筋立てられている。
そして、最終話に到達する頃には、主人公は優しさを備えたイイ男に成長し、視聴者が「主人公ロス」陥るというパターン。

一番わかりやすい例は、「ジキルとハイドに恋した私」のク・ソジンだ。
物語前半では、過去のトラウマによって冷徹・自己中心的になった人間として描かれる。しかし、愛するヒロインのために、忌み嫌っていた自分の中のもう一人の人格「ロビン」と共存することを選択し、彼なりの気遣いや優しさを見せるようになる。

視聴者はといえば、ソジンが成長していく過程でチラチラと見える優しさが気になる。物語の前半で冷たければ冷たいほど、その優しさに付加価値がつき、ほんの少しの優しさを見せられただけで彼への好感度が上がるのだ。

ここで大切なポイントは、最終回でも完全に優しさ100%の男になるわけではないということ。冷たい部分や横柄・傲慢な部分が健在ながらも、ヒロインには優しいという、限定的な特別感を持って変化するところにときめきの鍵がある。

つまりは典型的なツンデレ効果。
そしてヒョンビンが演じるツンデレキャラの破壊力は、それはもう凄まじい。


同様のパターンだが、「私の名前はキム・サムスン」のジノンも、「シークレット・ガーデン」のジュウォンも決して性格が良いとは言えない。
共に御曹司であり、偉そうで生意気、自己中心的なことこの上なし。

ヒロインたちにも相当失礼な態度をとる彼らだが、好きになったら態度が一変。
相手に一途に尽くす。
冷たさの場合と同じく、物語前半で彼らの横柄・傲慢度合いが高ければ高いほど、一途で純粋な部分を見せただけでヒロインや視聴者の気持ちを掴んでしまう。

要するに、ツンデレ式ギャップ萌え戦略とでも言うべきか。
これを外見が完璧な、しかも冷たい表情と優しい笑顔を作らせたら天下一品のヒョンビンが演じることで最強の魅力的な男が出来上がる。

それにしても、冷たい男を演じるヒョンビンの表情はすごい。
まるで氷のようで、心底冷える感じ。
その一方で、たまに見せる控えめな笑顔が本当にずるい。
これにはヒロインのみならず視聴者のときめき度は上昇するに決まってる。


3. 「優しい&素直・純粋」はそれを貫くことで魅力が増す

「優しい&素直・純粋」グループの主人公は初めから視聴者に愛される。
たとえば「ジキルとハイドに恋した私」のロビンは、天真爛漫で素直。ひたすら明るくどこまでも優しい。人助けが性分の彼は、つまらぬ意地をはったりすることもなく、ヒロインが望むことは全力で叶えてあげようとする神のような男だ。

こういうタイプが好きな女子は多いとは思うが、個人的には、まったく影のない男だと人間的深みを感じず恋愛対象になりにくい気がしないでもない。
とは言っても、「優しい男」はそれだけでアドバンテージがあることは間違いない。

ちなみに「雪の女王」のハン・テウンは純粋無垢だが、天真爛漫とは真逆の悩める男だ。
「優しく&素直・純粋」にがっちりハマるが、優しすぎるがゆえに傷つきやすい。自分の放った言葉が原因で親友が自殺してしまったと思い込み、それを何年も引きずるナイーブさがある。彼の場合はその弱さがあることで、人間としての層や深みが感じられ、個人的にはリ・ジョンヒョクの次くらいには惹かれている。


何はともあれ優しい男が嫌いな女はいない。
彼らは女を泣かせることなく幸せにする才能のある男たちだ。
もちろん、好きな女への誠実さや一途さも持ち合わせている。

「2. 「冷たい&横柄・傲慢」 というネガティブが生み出す魅力」で冷たい男を演じるヒョンビンの表情や「ツンデレ王」っぷりを絶賛したばかりだが、ひたすら優しく純粋な男を演じるヒョンビンの表情も尊い。視聴者はそれを観て癒され、心が温まり、幸せな気持ちになる。

ちなみに、私の愛するリ・ジョンヒョクもこのグループに属するが、彼はロビンやハン・テウンより進化していて、優しさだけでなく冷たい部分も適度に持ち合わせている。
彼の場合はそのバランスが絶妙。リ・ジョンヒョクついては別のnote記事で詳しく書いたのでここでは省略したい。


さて、このグループに属する主人公たちは、持ち前の優しさと純粋さを貫き通すことで魅力が増す。

しかし女心とは勝手なもので、「優しい男」というだけでは物足りなさを感じるもの。

なので、心優しい主人公たちは、「抗えないほどの大きな障害」という枷を背負わされている。「冷たい&横柄・傲慢」グループの主人公にも親の反対やら恋のライバルやらの障害はあるが、それとはレベルが違う。

たとえば、ロビンにとっては主人格のソジンが障害だ。ロビンがロビンとして生きることを望むと主人格のソジンの人格を殺してしまうという、なんとも重く複雑な事情を抱える。
ハン・テウンの障害は、恋の相手が自殺した親友の妹だったり、その彼女が重病で余命わずかであるなど、自分にはコントロールできない類のもの。そしてリ・ジョンヒョクの場合は38度線がそれにあたる。


こうして、心優しく一途な男たちはその険しい障害に負けず、愛に突っ走ることを運命付けられている。一方の視聴者は運命を受け入れ行動する彼らの情熱に心打たれるのだ。

ちなみに、障害ゆえに辛いことが多いこのグループの男たちはよく泣く。
特にハン・テウンはもう始終泣きっぱなしなくらいに泣いているが、いい大人のリ・ジョンヒョクも結構な頻度で涙を流す。

これも「優しい&素直・純粋」グループの特徴で、視聴者はそんな主人公に共感し、共に胸を痛め物語にのめり込む。


このように、「冷たい&横柄・傲慢」または「優しい&素直・純粋」のどちらであっても、視聴者が観たい男性像を主人公のキャラクターに織り交ぜ、それをヒョンビンが魅力的に表現している。
これが、ヒョンビン演じる主人公たちに惹かれる理由のひとつなのは間違いない。


4.「アルハンブラ宮殿の思い出」はこれまでとパターンが違う

さて、「アルハンブラ宮殿の思い出」の主人公ユ・ジヌだけは、今まで説明したパターンに当てはまらない。
そもそもこの物語は、ARゲームの世界と現実を行き来するユ・ジヌの人生が主軸のサスペンス。つまり、他のドラマのように視聴者が見たいと思うカッコいいヒョンビン、あるいは理想の男性像を作り込むことに、そこまで固執していないのだと思う。

ユ・ジヌとヒロインとの恋愛もこの物語の軸のひとつではあるが、基本的にヒロインの役割は主人公を支え助けるという位置付け。主人公との恋の行方がこの物語のメインテーマではない。

ちなみに、ユ・ジヌは会社の社長。野心家で極めて現実的な男だ。それに今までにはなかった既婚者という設定。それも初めの妻を親友に奪われ、2度目の妻とは離婚協議中という泥沼っぷり。

また、彼が一番大切なのは仕事であり自分が創った会社。
冷たくも優しくもあるが、彼のその性格が視聴者を惹きつけるために使われているシーンは少ない。

「アルハンブラ宮殿の思い出」でのヒョンビンも相変わらずステキだけど、今までの恋愛物語とは系統が違う。


5. 様々な役柄を演じ分けるヒョンビンのプロフェッショナル度

「冷たい&横柄・傲慢」「優しい&素直・純粋」はキャラクターとしては対局にある。

ヒョンビンはそれらを使い分け、視聴者を楽しませる。
また、同じグループの主人公であってもそれぞれ全く違う演技を見せ「何を演じても似てる」という状況に陥ることがない。
演技の幅が広いのだと思うけど、正直同じ人が演じてると思えないことがよくあって、これぞ役者と感心する。

たとえば、「ジキルとハイドに恋した私」では二つの人格を見事に演じ分けていた。また、2005年に演じた「私の名前はキム・サムスン」のジノンと、2007年に演じた「雪の女王」のハン・テウンは、ほぼ同じ時代の作品なのに表情ひとつとってもまったく別人になりきっている。もちろんストーリーやキャラクター設定が違うということもあるけれど、それ以上に顔つきが違うのだ。

「アルハンブラ宮殿の思い出」のユ・ジヌと、「愛の不時着」のリ・ジョンヒョクだって、同じ人が演じてる?と思うことが多々あった。
こちらも制作の年が近いにも関わらず、ユ・ジヌには私の愛するリ・ジョンヒョクはかけらも見当たらない。


すなわち、それが演じるということ。
ヒョンビンのプロフェッショナル度の高さに惚れ直す。
プロとしてずっと努力を継続しているんだろうな。
でも、ルックスが良すぎて演技よりもそちらにより注目が集まりがちで、ちょっと惜しい気もするけれど。

いずれにしても、ただカッコいいだけじゃないのがヒョンビン。
ドラマのみならず、映画でもそれぞれ別の顔を見せていた。
一方で、視聴者は様々なキャラクターで演じるヒョンビンの姿をもっと観たいと思っている。

つまるところ、視聴者が観たいヒョンビンを演じる彼の演技力、そして作品ごとに巧みに変化する彼のプロの仕事に魅せられているというのが、ヒョンビン演じる主人公に惹きつけられる理由なのだと思う。


トップ画像:tvN「愛の不時着」公式サイトより引用
http://program.tving.com/tvn/cloy



(day 82)



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