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命の繋がり

2年前に、父が畑を始めた。
近所の農家さんから敷地の一部を借りている。
母がほとんど一緒に行き、プラスきれいに食べられる状態にしているのも母なのだが、父がやっている畑ということになっている。
新鮮な無農薬の野菜を食べられるので、ありがたい。

畑というものは小さな環境、自然のひとつなのだと実感する。
まず、コンポストを始めて改めて認識したが、土の一部は生き物の死骸だ。
特に葉物野菜は、虫さんの食べ残りをいただくことも多い。葉の裏には卵がびっしり付いていたり、ゆで野菜の中から、ゆで芋虫が出てきたこともある。(ごめんね)
スーパーの穴ひとつないキャベツが不気味に感じる、今日この頃だ。

私もラディッシュ栽培に挑戦してみたが、きれいに野菜作るって本当に大変。
農業に携わられている皆さまには、頭が下がる。
そして、穴があいていたり、整った形ではない野菜たちがもっと出回ればよいなと思う。
そんな野菜たちを買う人が増えたら、土壌が喜ぶことはもちろん、大らかに受け入れ合う繋がりができるんじゃないかな。


先月、ラディッシュに青虫が付いたので、ケージで育てることにした。
ほんの数日で元気がなくなり、やはり室内ではダメなのかなと思って観察していた。
色がだんだん抜けていき、体に小さな卵のような塊を見つけたとき、ハッと。寄生蜂に卵を産み付けられてしまっていた子だった。
モンシロチョウの9割は寄生蜂に産み付けられてしまうそう。
飼育下で孵化させたい場合は、卵から育てないと難しいことも知った。
しまいにはペチャンコになって、青虫だったことが分からない姿で命を閉じた。

蝶々として可憐に飛んでいるのは、産み付けられた卵のうちの1割にも満たないのかと思うと、蝶を見る目が変わる。
今後、蝶を見ただけで泣けちゃいそう。

特に子どもたちには、虫に親しんでほしい。
嫌な子や、親御さんが苦手な場合も多いから、無理強いはできない。
そうでなければ、虫たちには申し訳ないが、手に取り、ときには育て、じっくり観察する。
本物の命に触れる経験によって、身体の奥深くに、他では得がたい何かが残る気がしている。

2023.6.17


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